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妹の罠

 「ただいまー」

 と明るい声色で言って玄関を開けた。鍵がしてないので妹はいるみたいだ。

 2階に荷物を置きに行くついでに妹と会話しようと思った。あくまでついでだからね妹様。

 「陽菜起きてるか?」

 そう言ってから自分の部屋から、妹の部屋に向けて壁を拳で軽く叩いた。

 これが俺達兄妹とのルールだった。いくら家族とはいえ、いきなり扉を開けるのは失礼だからだ。鍵がかけれない扉てのが最大の理由。

 「…………」

 返事がないので、寝てると思いリビングでテレビを見るために1階に降りる事にした。本当は妹の寝顔を見てみたいと思ったが……。

 妹が寝てるならと昨日レンタルしてきたアニメのDVDを見ることにした。

 

 【俺の妹が可愛すぎてこんなに辛いわけがない①】というタイトルが書いてあるパッケージを開けて再生開始をリモコンで指示する。

 内容は妹と兄がイチャイチャするて感じらしい。千葉県にある鉄道やプロ野球の球団とコラボもした事でかなり話題作と言われてる。

 なぜ曖昧な言い方かの理由は、田舎なので深夜アニメは1つも放送されていないからだ。

 県境でどちらの県の放送局からも、見放された事により、此処は魔界と俺は思ってる。だからレンタルで見るしかない。


 再生が始まり10分程経った。

 『お兄ちゃん大好き』

 と言ってヒロインの妹が兄に抱き着いているシーン。おいおいいきなり展開早いなと思っていた。

 その時玄関が開く音がした。玄関の先は、俺がアニメを見ているリビングである。

  

 「本来ならただいまと言うべきなんだろうけどね遼ちゃん……」

 そう言われて、声が聞こえた方を振り返った。そこにいた帰宅者は妹だった。ストレートパーマで後ろ髪は腰の辺りまで伸びた黒髪。上下黒色のジャージ姿。

 「ああ出掛けてたのか」

 妹物のアニメを見ているのを実妹に目撃された。その動揺で気の利いた返答が出来なかった。

 「実妹がいるのに妹物アニメを、見れるとは遼ちゃんはいい度胸してるな」

 とジト目でこっちを見ながら、俺の隣に腰を下ろした。この時アニメの再生を止める事を思い付かなかった。何が何だか分からなくなってしまったからだ。

 「今日は入学式何で出なかったんだ?」

 とりあえず間を持たせる為に適当に質問した。

 「そんな事より遼ちゃんアニメのシーン進んでるよ」

 「なんで一緒に見ようとするんだ」

 「いや……妹としては心配なんだよ。三次元と二次元の区別出来なくなって、襲われたら困るじゃない」

 「それで何で隣に座るんだ?」

 「試練みたいな感じて、言うのが一番適切。ほら妹と兄がキスをしてるみたいよ」

 そう妹に言われてテレビに視線を向けたが、すぐに恥ずかしくなり顔を伏せた。

 「陽菜こそ兄と妹がキスしているの見て恥ずかしくならないのか?」

 「馬鹿じゃないの?……なんで遼ちゃんと私を、このアニメの兄妹に重ね合わせて、恥ずかしくならないといけないわけ」

 そう言って急に妹は立ち上がって、手に持っていた荷物を俺に投げつけて2階の自分の部屋に行った。妹の顔を見ると若干顔を赤くしていた様に見える。

 まさに今テレビに映っている妹と同じだ。

『お兄ちゃんは何があっても絶対に離さないんだから』

 そう言ってこのアニメの1話目が終わった。

 この時の俺は、陽菜にこの台詞を言われる事に、なるなんて知るよしもなかった。

 

 なんてある訳のない事を頭の中でナレーション風に流して、再生停止を押した。

 続け様に2話目を、見る精神力ゲージは残っていないからだ。

 この流れで更に妹について補足をしよう。


 妹は都合が悪くなると2階の部屋にしばらく引き籠る。

 兄目線からだと、妹の見た目は超絶可愛い。そこら辺のアイドルなんか全然相手にならないくらい。

 しかし常にジャージの上下でいる。その恰好でコンビニとかも平気で出掛けている。

 友達もいないと思う。俺もその点では同じ……あと二次元が好きなのもだ。

 俺がさっき見ていたのが、妹ものアニメと一瞬で看破したのから見ても納得して頂けると思う。


 今はこんな所にしておこう。

 



  

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