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39.似ている、二人。

 うう、一度書き上げたのに、PCがフリーズしちまったい。

おかげでもう一度書く羽目になりました。

     ……

頑張ったな、オイラ。うんうん。

今度は純子が、頑張れよ。

 それは純子が動いたのか、それともタンヌだったのかは本人達にもわからなかった。

ただ、純子は反射的にデハウを押し倒すと、そのまま上に覆いかぶさった。

だが衛士の剣は止まらず、そのまま純子の上に振り下ろされようとした。

 次の瞬間、飛び出してきた追捕師が体当たりを食らわせる。

衛士はその衝撃で吹っ飛ぶとそのまま床の上を転がっていった。

投げ出された剣は宙を舞うと、横になった純子の目の前に突き刺さる。

目の前に突然現れた白刃に、純子は固まった。

 追捕師も衝突の勢いを吸収しきれずに、なんとかバランスをとろうとした。

しかし、片足のかかとで全体重を受け止めたとき、その下には純子の左手の小指があった。

不幸な純子の小指の骨はその荷重に耐え切れなかった。

「い! ――ってえええ!」

 純子が悲鳴を上げたとき、衛士はよろよろと立ち上がった。

「指が、小指が――痛え、折れた、痛い、変な音がした、やっちまったー!」

「す、すまん。タンヌ。事故だ。わざとじゃない」

「曲者じゃ! あやつを取り押さえろ、逃がすな!」

 純子、追捕師、そして女王の声が交錯する。

衛士たち、そして女官たちが武器を取って、曲者を追いかけた。

追いかけられた衛士は壁のほうへと駆け出す。

 そして壁際のカーテンの前までくると、兜を脱ぎ捨てる。

「クリティア!」

「剣断か!」

 黒い長髪に端正な顔、そして冷たい瞳。口元には笑みさえ浮かべている。

指の痛みに耐えながらも純子は剣断を見つめた。

『ぶちのめすんだったよね、ジュンコ』

(うん。忘れてないよ)純子は左手を押さえながら立ち上がる。

「近寄るな!」

 剣断はそう叫ぶと、腰の剣を引き抜いた。

そして横のカーテンを切り裂く。そこには金髪の女性が縄に縛られていた。

顔の下半分が口封じに布で隠されているけれども、その瞳は間違いようも無かった。

「サンチュっ!」

 純子は叫んだ。


「近寄るな。近寄れば、この女の命はないぞ」

 剣断はそう言うと、剣をサンチュの喉元に当てる。

じりじりと取り囲んでいた追っ手の足が止まった。

「あんなところにいただなんて……」

「くそ、だからどれだけ探しても見つからなかったのか……」

 追捕師の声に剣断は笑みを大きくする。

「似たようなものの中に紛れ込ませてしまえば見つからない。頭からいるはずがないと思っているから、見えているのに気がつかない。人とは愚かなものよ。なあ、追捕師」

「王宮中をくまなく探した。が剣断もサンチュも姿かたちもなかった。見つからないないはずだ。この部屋だけは探していなかったのだから。最初から衛士に化けてこの部屋に潜り込んでいたら、確かに気がつかない。盲点だった。くそ、今度隠れるときがあったらこの手にしようか」

「冗談言ってる場合じゃないよ。サンチュを助けてよ」

 そう言ってはみてもサンチュに切先が向けられていては誰にも手の出しようが無い。

「武器を捨てろ、剣断」

 女王の声が響いた。

「どうあがいても逃げられぬ。今なら命は助けてやろう。だから降伏しろ」

 女王の声に剣断は笑い出した。

「イアフメス様。この女、サンチュは切り札でございます。これがある限り、降伏などいたしませぬ」

 その強気の態度に、女王も不審に思ったようだ。

「なぜじゃ。いったい、その女が何を握っておるというのじゃ」

「剣断!」

 純子が叫んだ。

「あんたのねらいは、母さんじゃないの?」

「そのデブか? もうそいつに用はない。このサンチュが手に入った以上は無用な女。余計なことを言う前に口を封じてやろうと思ったんだが、邪魔が入ったな」

 クリティアの言葉にデハウは青ざめる。

(やっぱりサンチュが鍵なんだ。でもどうしてサンチュなの?)

 純子は懸命に考える。わずかな揺れが足元を駆けていった。

(また、地震だ……)一瞬、そう思った純子だが、すぐに余計な考えを振り払う。

そして、いきなり思い出した。あの風笛の神殿のお風呂で考えたこと。

母親に会ったら、訊こうと思っていたこと。それは……。

「母さん……サンチュの父さんって誰なの?」

 その言葉にデハウは蒼白になって純子にしがみついた。その口は何度も喘ぎ、

純子を掴んだ両手は激しく震えている。

「ああ……タンヌ。それは、それだけは……お願い……タンヌ……」

 デハウの様子を見て、純子は確信した。

(サンチュが鍵なんじゃない。サンチュの父親が鍵なんだ)

『でもどういうことよ。サンチュの父さんって一体なんのことよ』

(それがわからないから苦労してんじゃないのー!)


「お前の狙いはなんじゃ。その女が欲しいわけではあるまい。金か」

 女王がクリティアに問いかけている。

「とんでもない。もっと大きなものですよ。この国です。この国を手に入れるのです」

 クリティアの言葉に今度は女王が笑い出した。

「何を愚かなことを。王族でもない貴様がどうやってこの国を手に入れるというのだ。たとえ、私を殺すことに成功しても、それで国が貴様のものになるわけではないぞ」

「だから、言ったでしょう。この女が切り札だと。まだ気がつきませぬか。では愚か者のために説明してあげましょう」

 クリティアはそういうと、サンチュの長い髪の毛を掴んだ。そして剣で切り刻む。

耳が出るぐらいにまで切ると、今度は顔を隠していた布を取った。

「どうです。これでもまだわかりませぬか」

 クリティアの得意げな顔。そして誰かが呟いた。

「イアフメス様……」

 確かに似ていた。

 頬骨が出て、あごの形もサンチュのほうが鋭い。全体にやせているのは日々の食事にも困るような墓守の娘だからだろう。二人とも白い肌だが、サンチュの方が日に焼けているのも育った環境の違い。

手足の筋肉がごついのも力仕事をやってきたサンチュのほうだ。

 サンチュのほうが背が高いこと、そして決定的に胸の大きさが女王に軍配が上がること。

二人を比較すれば違いははっきりとわかる。しかし、全体の雰囲気は似ているのだ。

「この女を使えば、女王の代わりになる。この女を支配すれば、この国が支配できる。ならばもうあなたの下にいることはない。オレがこの国を支配する、その鍵なのです。わかりますか、イアフメス女王様。もはや、オレにとってあなたも不要なのですよ!」

 クリティアの高笑いが広間に響いた。


 改行はこれぐらいの方が、読みやすいかも。試行錯誤中です。紙と活字で読むのと画面で読むのとではやっぱり違うみたいですよね。

 さあ、どんどん山場に近づいています。どれくらいどんでん返しができるでしょうか。

では。

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