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星降夜譚  作者: 稲葉 鈴


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7/19

みじかめ。

 夢を見た。夢を見た。


 夢の中で小鬼になった私は、目を覚ました。そこは暗く、昏く、目の前は闇である。けれど小鬼は夜目がきくというのか、月明かりでも星明りでも問題はなかったので、よっこらせと家代わりにしている大木のうろを出た。ちなみにこれは自慢なんだけど、新月でも自由に行動できるよ。別に見えなくても、よく考えたら困らないし。


 さて今日はどうしよう。昨日の続きにしようか。昨日っていつだっけ、もう大分前のような気がする。


 それじゃあ他の街にしよう。別に、どこに行こうがそれは小鬼の自由だ。それを妨げるものは誰もいない。なにもない。なぜならこの常世の森には、小鬼しか住んでいないから。鳥も虫もいない。動物もいない。植物だけはある。


 何で小鬼が来なくなったんだろう、って、考えるのはいるかもしれないけれど。でも別に、それは小鬼の行動を縛る理由にはならない。というより、小鬼はそんなことを考えない。



 という訳で、小鬼はぴょんぴょこぴょんと森を出た。目指すのは、目指すのはええと、こっちの方角。それがどっちの方角なのかは、小鬼は分かっていないけれど。


 夜、陽が落ちて目を覚ました小鬼は、朝日が昇るころまでぴょんぴょんぴょんとはね続けた。そうして、一つの街が見えてくる。


 ようやく、到着である。


 この辺りの街は夜になると門を閉める、ということは特にない。城壁はあるけれど、城門は特にない。街と街を行き来するものは皆無ではないが、とても少ない。


 ぴょんぴょんと跳ぶ勢いをゆっくりにしながら、小鬼は門をくぐる。


 門の側にいたのが、声を上げた。小鬼はちらりとそっちを見るけれど、すぐに興味を失った。あっちに、ご飯どころはない。というか、あれはご飯じゃない。ご飯じゃないなら、まあ別にいい。


 きょろきょろしながら大通りを歩きだそうとしたところで、小鬼は死んだ。


 白い服に黒い上着、白い帽子の人間に殺された。



 今日はここまで。




 また、来るね。

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