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夢を見た。夢を見た。
空には月が輝いている。久しぶりの常夜の森だ。星はどうだろう。月が明るいからよく分からない。あんまり興味もないことだし。明るいとか、暗いとか。小鬼はそういうことにしか興味がない。
前は毎日ここで目が覚めたのに、最近はそうでもない。まあ、べつにいいか。また今日も、ここで目が覚めたのだし。毎日じゃないのは分かるけれど、じゃじゃ前がどれくらい前なのか。小鬼は分からないし、あんまり興味もない。だって今、ここで、目が覚めたのだし。
ぐうぐうなるお腹を抱えて、小鬼は森を出る。目指すのは、この間と同じ街だ。あそこにはまだまだ美味しそうな匂いが一杯あった。知らないけれど美味しそうな匂いもあった。知ってる匂いと知らない匂いと、知ってるのと知らないのが入り混じった美味しそうな匂い。とても楽しみ。
だからルンルン気分で街を目指して、夜中ぴょんぴょこ跳ねた。
街のひとびとは小鬼を見ると少し足を止めるけれど、特別小鬼に何かをしない。この間の店までの道が開かれるくらい。歩きやすくてありがたい。
ゆっくり小さめに、店を見落とさないように、ぴょんっぴょんっと跳ねて、小鬼はこの間のお店に向かった。
お店はすでにあかりがついていて、ドアをガラッと開けたら先日注文を聞いてくれた男のひとが小鬼を出迎えた。けれど別に小鬼に声を掛けるわけではなく、小鬼がカウンターの隅っこの隣の席に座るのを待っていた。小鬼は店内を見回すでもなく、メニューの二つ目を指さした。ちなみに小鬼に手とか指に該当するものはない。だから実際は、視線で示すのみだ。
「承りました」
同じようにじっとメニューを見つめた男のひとがそう言って、厨房へと戻っていく。まだかな。楽しみだな。
出てきたのはこの間の肉が乗ったご飯に、目玉焼きが乗ったやつ。覚えてる。これも好き。
もぐもぐもぐと食べて、食べ終わって。じゃあお代わりを頼もうかな、と思ったら白いひとが来た。
残念、時間切れ。
また、来るよ。




