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星降夜譚  作者: 稲葉 鈴


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14/20

 夢を見た。夢を見た。


 その日は雨が降っていた。しとしとしとではなくて、割とザーザー降っていた。あっちにもこっちにも、森には水たまりが出来ている。


 こんな日は温かいものが食べたいなあ、なんて考えながら、ぐうぐうなるお腹を抱えて小鬼はぴょんぴょん飛び跳ねた。飛び跳ねて、街へ向かった。体中に泥水が跳ねて冷え切っていたから。


 街の入口を通り過ぎる。今日は、あの白いひとはいない。まだ居ない。という訳できょろきょろする。どこがいいかな。


 鼻をクンクンと鳴らす。食べたことのあるにおいがする。でも多分、まだ食べたことのないものもある。じゃあここにしよう。このお店だ。



 どこだ。



 匂いは分かるけれど、場所までは分からない。だからゆっくりと、道を跳ねて歩く。ここまで来たように大きく跳ねると、通り過ぎちゃうから。


 見つけた見つけた。


 だから勝手に戸をガラッと開けて中に入る。店の外にはひとだかりが出来てきていたけれど気にしない。いつものことだ。


 小鬼が飯屋に入ると外にひとが来る。


 店内をきょろきょろと見まわす。


 入って左側にカウンターテーブル。椅子がいつつ。それから長椅子が置いてあるタイプの四角い、一杯のひとが座れる四角いテーブルが二つ。二つから四つくらいの丸椅子が置いてある丸いテーブルが三つ。どこにしようかな、と、小鬼は店内を見回す。


 天井からは、オレンジ色の提灯が沢山吊るされている。一つ二つ、それ以上はいっぱい。


 四角くて大きなテーブル席にしようかな。


 カウンター席の隅っこもいいな。


 丸テーブルは、食べ辛いから好きじゃない。


 店内には誰もいなかったから、小鬼はとりあえず大きなテーブルに座った。しっくりこない。なんか違う。


 だから降りて、カウンター席の隅っこに座った。これも違う。隣だな。



「ッヒ」



 誰かが声を出した。小鬼はそっちにちらりと視線をやった。おそらくは、この店の店員の女性。小鬼がこの店に来るのは初めてだから、まあ、気持ちは分からなくもない。


 黒いふわふわした毛玉に、鳥の足。うん、びっくりはするよね。


 だから小鬼はちらりとそっちを見ただけで、店内を見回す方に戻った。メニューはどこだ。


 小鬼は字が読めないから、なんとなくそれっぽいもの、を、いつも指さして伝えていた。ずっとずっと昔、いつだったかは忘れたけれど、他のにんげんがそうやってるのを見たから。それをまねしたら食事が出てきた。



「ご注文はお決まりですか」



 さっき悲鳴を上げたのとは違う、男が声をかけてきた。だから、ええと。


 何かメニューみたいなものを指さす。どれが出てくるかは分からないけれど、美味しいといい。



「お待ちください」



 男はそれをじっと見つめた後、厨房に戻っていった。たのしみ。


 しばらく待って出てきたのは、どこでも食べられる肉ご飯。どんぶりご飯の上に、肉が乗ってる奴。これ好き。ぺろりと食べて、じゃあ次、と思ったところで白いひとが入ってきた。昨日のひとだ。



 今日はここまで。


 美味しかったから、また来るね。

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