別れの握手
翌朝ぼくは7時に起き、スパムおむすびとコーヒーの朝食を済ませて荷物をまとめた。今日で一週間お世話になったこのゲストハウスともお別れだ。良い思い出ばかりだったと浸っていると、サクさんが声をかけてくれた。
「守くん、おはよう」
「サクさん、おはようございます」
「今日でお別れだね」
「そうですね、でもまたきっと来ますよ。那覇にも、このゲストハウスにも」
「そっか。次来た時にはおれはいないけどさ、新しい出会いがあるよ」ぼくは思い出した。そうだ、ゲストハウスのスタッフは、ずっとは続けられないんだ。きっとサクさんとも、今日でお別れだ。でも仕方ないよな、一期一会だから。そう思ったら、自然に言葉が出た。
「サクさん」
「ん?」
「握手、しよう」
「わかった」サクさんは黙ってぼくの手を握ってくれた。
「じゃあ、またね」
「うん、またね」
「元気でね」別れの挨拶をして、ゲストハウスを後にした。
牧志駅からゆいレールに乗って、終着駅の那覇空港駅で降りた。
「今日で終わりか」きっと、しばらく那覇には来られないだろう。けれども、またいつかここに来る日がきっと来る。搭乗手続きを終えてカフェで昼食を取り、無事に午後1時の羽田行きの飛行機に乗った。初日に那覇空港にいた時には涙が出たけれど、今は涙が出てこない。代わりに充実感と楽しい気持ちで胸がいっぱいになった。




