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倉庫内仕分け

 30分後、ぼくは眠気をこらえて牧志駅のホームにいた。夕べは仕事が全うできるかという心配とアルコールの覚醒作用で寝付けなかった。こんな体調で大丈夫だろうか。などと不安がっていると、すぐにゆいレールが来た。那覇空港駅に到着した。会社の倉庫は、駅から歩いて10分くらいのところにあった。緊張して恐る恐る事務所に入ると、

「おはようございます」と小声であいさつし、派遣会社から来たことを受付の社員に伝えた。社員に連れられて、倉庫内の集合場所に向かう。そこには、6人くらいの青いヘルメットをかぶった契約社員と、黄色いヘルメットをかぶった4人のアルバイトと、自分を含めて白いヘルメットをかぶった5人くらいの派遣社員とがいた。青いヘルメットをかぶったうちの一人が仕事についての簡単な説明をし、

「それでは今日も一日、よろしくお願いします!」と威勢の良い声で言い放った。それにつられてみんなも挨拶した。

 作業が始まると、「ボックス」と呼ばれた鉄製のかごに段ボールに入った荷物を流していった。これがかなり重い。荷物の中には米やトランクなども混ざっており、それらをひたすらコンベアにのせていく作業がつらかった。つらさをこらえた落ち着いてゆっくりと運んでいると、

「なにを、あそんどんねん?」隣にいた関西弁を喋るおっちゃんが小言を言った。白いヘルメットなので派遣社員だろう。長髪で、黒いめがねをかけている。年は、40くらいだろうか。

「はよ、運ばな!終わらへんで!」と叱咤した。倉庫内では機械の音がうるさいせいか、作業をする人の声も大きい。小声では相手に伝わりづらいのだろうから仕方ない。だが、大変なところに来てしまったと感じた。それでも最低限の会話はしないといけないので、

「あ、はい」と、ぼくは内心むっとしつつも、力なく返事した。コミュ力の低いぼくでも、勤務中の簡単な返事ならどうにかなるかもしれない。仕事内容は荷物が入ったボックスから段ボールを取り出してベルトコンベアに乗せるだけだ。きっと、誰でもできる。しかし暑い!そして腕と足腰が痛む!こんな作業を休憩まで4時間も続けないといけないのか。そう思うと、ますます気が重くなる。

4時間の勤務が終わって、ようやく休憩時間になった。2個のスパムおむすびをほおばりながらさんぴん茶を飲んでいると、さっきのおっちゃんと出会った。

「おれ、奥田や。自分、名前は?」

「小柴です」

「小柴君、おとなしそうやからなめられる」ぼくはそう言われてムッとした。けれど、あまりにも本当のことを言われて何も言い返せなかった。その後残りの4時間を無心になって乗り切り、地獄の8時間労働を終えた後、ぼくと奥田さんは他の日雇い仲間の車に乗せてもらって事務所に直行した。それぞれ一人ずつ契約書にサインして、指紋を押印した。そして給料の入った封筒を受け取った。奥田さんいわく、日雇いが終わったらすぐさま派遣会社の事務所に直行して給料を受け取る。これが日雇いで確実に給料をもらうための手段だ。

「給料はその日のうちにちゃんともらわなあかん。日雇いはな」と、奥田さんから日雇いのこつを教わった。良い経験はできたけれど、明らかに倉庫内仕分けは自分には務まりそうも無いと決めつけた。結局、次の日に電話で「やめます」と軽々しく事務所の社員に告げることになるだろう。ぼくの沖縄での仕事体験は、たった一日で終わった。二日くらいはどうにか続けられるかもしれないと思ったけれど、どうにもならなかった。しょんぼりしながら古島駅からゆいレールに乗って牧志駅で降りた。ゲストハウスに帰ると、すぐさま服を脱いでシャワーを浴びた。とにかく汗と汚れを落としたかった。きつい仕事でストレスがたまっていたけれど、酒には手を出さず、そのまま寝た。

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