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将来の夢

 午後2時、6月でもかなり日差しが強くなる時間帯に、国際通りを歩いた。やはり熱気がすさまじい。歩いているだけで熱くて楽しい気分になりそうだ。ゲストハウス近くの商店街には土産物を売る店や飲み屋が軒をつらねていた。しかし国際通りは、土産屋はもちろんだが、それ以上にステーキハウスや琉球料理の居酒屋、大手チェーンのマクドナルドやスターバックスと多くの飲食店が乱立していた。

 さっきおにぎりを食べてしまったし、ステーキを食べるほど腹も減っていないので、とりあえずスタバに入って涼むことにした。店内はアジア系の客が多く混んでいたが、空席を見つけた。アイスコーヒーのトールサイズをひとつ頼むと、窓際の席に荷物を置いて、ストローに口をつけ、一息ついた。さて、この後どうしよう?一応休学中とはいえ学生だし、北京語の勉強でもしようかな。とりあえず中国人観光客が多くて注意書きにも必ずといっていいほど簡体字の文章がある。人がたくさん来れば来るほど、トラブルも起こるのだろう。ぼくは外国人に対する偏見の声を、大学内やネット上でも時々みかける。けれども、昭和の時代に一部の日本人観光客が海外でトラブルを起こしたことは知っていたし、きっと、「中国人だからどうこう」という理由ではない。そんな気がした。一度何人はどうこうと決めつけると、偏見から抜け出せなくなってしまう。日本人にだってすぐにトラブルを起こす人間はいるのだから、安易に国籍や人種で判断するのは危険だと、そのことを忘れないように今回の旅では肝に銘じている。

「おいしいは、好に吃。で好吃ハオチー・・・」ぼくはノートとペンを取り出し、なんとなく頭に浮かんだ中国語を書き連ねた。マイノートには、思いついたまま外国語や自作の小説ーこれは大抵未完に終わるーを書き連ねている。とりあえず思いつくままに北京語の単語を少し書くと、いきなり雨が降ってきた。いつやむかはわからないし傘も持っていない。とりあえず、雨宿りも兼ねてゲストハウスの掃除が終わるまではここで書いていよう。午後4時を過ぎたら、戻って寝よう。とりあえずそう決めた。せっかく那覇に来たというのに、雨が降ってきたこともあってビーチや港に行く気分でもない。昨日のわくわくした気分はどこへいったんだ?人混みに疲れたのか?人が多いといっても東京に比べたらどうってことないのに。なんだかやるせない状態のまま、

「自分は何になりたいんだろ?」と、ふいに人前でつぶやいてしまった。周りにきかれてしまっただろうか?少し不安になりつつ、ノートに目線を戻した。なりたいものを書いてみることにした。

「親みたいな学校の先生。図書館司書。作家。」ん?作家?どうしてぼくはそんなこと書いたんだ?先生か司書か作家になりたいなんて。我ながら自分の考えはよく分からない。むしろ、自分の親の方が自分のことをよく分かっているような気がした。自分は自分のことを何も知らない。


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