リッチが相談します
「どうもリッチです、先日は姉がお世話になりました」
水晶玉に映ったウサギがぺこりと頭を下げた。状況が好転したせいか最初の怒りに任せてシャウトするようなことはない。
「お姉さんから話は聞いたけど、お姉さんから実家に話が回ったでいいのかね」
ヒヨコが胸を張って言う。
「そうなんです。まあ、もともと嫁ぎ先が隣り合う領地となんだかまずい関係になってしまって、うちの親に助けを求めたのがそもそもの始まりだったわけで、恩知らずにもほどがあるって、うちの親が激怒しました」
「つまり、負い目は旦那のほうとか?」
「特産品を優先的に実家に卸してもらう約束は今も継続中なのでそのあたりはフィフティフィフティな感じです」
双方に利益のある政略結婚ということだ、だからこそ最初にどのような夫婦関係を気付くかが問題になるということなのだが。
「一つ、問題があるわ、リッチ、貴女誰かに恨まれている覚えはない?」
ハリネズミが頬に手を当てながら聞いた。
「恨み?」
リッチ個人に恨まれるような覚えはない。
「逆恨みかもしれないけど、それにさんざん浮気三昧されてたのに気づかないリッチなら気づかず怨まれている可能性もありそう」
言われてリッチは水晶玉の中で沈没した。
「で、でも、私デビュタントしたあとちょっとで結婚したし、ほかの男性と付き合ったこともないし」
「もう一つの可能性は旦那が怨まれているんじゃね、ものすごく恨まれていそうだし」
ブチ犬が返す。
「まあ、舅も怨まれている自覚なさそうだし、あの旦那もそうかもね、親子だし」
「さもなければ玉の輿に乗った夫の元婚約者さんかも」
トラ猫がそう言った。
「とにかく、なんかわからないけど、旦那をそそのかした誰かがいるんじゃないかは調べてもらったら、ご家族がフォローしてくださるなら手はあるでしょう」
「わかりました、旦那の友達は少ししか知らないから、でもいけそうな人は確かめてみます」
リッチは決意を秘めた目で言う。
「離婚するの?」
「子供のためにしない。でも多分もう夫と一緒に暮らせないたぶん名前だけの夫婦として生きていくことになりそう」
「まあ、確かに相続問題もあるしねえ」
ハリネズミがうんうんと相槌を打った。