リッチが再登場しました。
水晶玉にウサギの姿が映った。
「実は、相談があって」
「旦那のことか?」
ひよこが答えた。
「いえ、お姉さまに相談してほしいと言われたの、全部話していいのかしら」
本日のリッチはずいぶんと意気消沈していた。前日の怒り狂った姿は嘘のようだった。
「それは相談していいわよ、一人で悩んでも仕方ないでしょ」
ハリネズミはそう勧める。
「心配かけたくない気もしますが」
「あのさ、一つ気になったことがあったんだ」
シマリスが何か歯に挟まったような顔で言った。
「リッチのお子さんは五歳なんだよな、で旦那の元婚約者は今十八歳だとすれば、婚約破棄した時点で何歳だったんだ?」
政略結婚なら幼い子供でも婚約が成立することはないわけでもないが、その場合年齢差は一けたに収めるのが通常である。
「夫と七歳違いだと聞いたことはあるわ、たぶんその時点で十歳になってなかったんじゃないかしら」
「え、ずっと愛してたんじゃ」
ブチ犬がドン引きしていた。
「いやいや違うよ、だってリッチはつい最近まで夫が元婚約者を愛しているって知らなかったんだろう、単に平原が嫌いなだけさ、だからまっ平らな婚約者と婚約破棄して山あり谷ありのリッチに乗り換えたんだ、だが子供を産んでしぼんでたるんだリッチと比べて立派な丘陵地帯に成長した婚約者にこっちにすればよかったと後悔して」
「誰がたるんでしぼんだだって」
水晶玉を通してすら伝わる殺気にそのままその日はお開きになった。