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すでに死んだも同然

 リリーチェは水晶玉を封じた。

 そして、すでに一人しか休む者がいなくなったベッドを見た。

 親戚一同、そして、いろんな立場の人間に根回して、夫と舅から実権をもぎ取った。

 そして自分がいろんなものを見ていなかったということを思い知った。

 毎日この領地を守るためにいろいろと頑張ってきたのだが、その頑張りを足元から侵食していたのが夫だと知ったとき、いろいろとブチ切れそうになった。

 姉の姑が味方になってくれていろいろと情報を回してくれた時は本当にありがたかった。

 あっちこっちで夫は恨みを買っていたことも。

 自分の前ではいい夫を演じていた、それにまんまと騙されていた自分の間抜けさに乾いた笑いしか出なかった。

 今まで表面上だけはまともな人間を演じていたのは自分の実父の圧力を恐れただけだったがその恐怖すら打ち消したアリエルの美貌の凄まじさよと、思わず感心してしまった。

 アリエルの秘めたる憎悪、よっぽど質の悪い切り捨て方をされたんだろうなと舅の教育に呆れるばかりだ。

 弱いものは徹底して貶めていいと本気で信じていたのかもしれない。

 そして領民たちも実は結構割を食っていた。それを聞いてその代表者に協力を求め。

 本当に頑張った。

 リリーチェはもうこの寝室に戻ってこないだろう相手を思う。思い出すのはこれが最後だ。

 金もなく修道院に入れれば最低限の食事と過酷な労働が与えられる。あのひ弱な男がどれほど生きられるだろうか。

 来年まで生きるかも怪しいと思う。

 死んだも同然の男のことなど忘れてもいいが、息子の教育方針を巻がなければ。

 願わくば反面教師になってほしいと心から思う。


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