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リッチを慰めてあげてください

「リッチです、悲しいです」

 以前の勢いとは打って変わってリッチはしおしおとしおれている。白い耳も垂れ下がっていた。

「何があったの?」

 ハリネズミが慌てて問いただした。

「夫の浮気相手が確定しました。といっても最近ので、前のはまだわかっていないんですけど」

「それじゃうれしいんじゃないのか?」

 ブチ犬が怪訝そうに聞いた。

「浮気相手が分かった時点で、親族に医者にかかるように勧められました」

 リッチはさめざめと泣いている。

「だからどうなった?」

ひよこさんが突っ込んだ。

「浮気相手の旦那が……とんでもないヤリチンだったんです」

『ああ』

 全員が唱和した。

「その妻だったら変な病気持っていてもおかしくない、いやその妻も貞操観念と無縁の女だって言われて、まあそうですよね、だからうちの旦那と浮気してたんですし」

 しくしくと泣くリッチ。

「その手の病気の診察はなあ」

 ブチ犬は首を横に振りつつ同情する。

「結構心に来るよねえ」

 むせび泣くリッチに慰める言葉もない。

「で、病気だったのか?」

 ブチ犬がそう聞くとリッチは首を横に振る。

「まあ、不幸中の幸いね」

 ハリネズミがそう言った。

「しかし、どうしてわかったんだ?」

「お前の旦那に妻を貸してやった借りを返せと言ってきました」

「それはそれは」

 実に頭の悪い行動だとひよこさんは呟く。

「それは断りましたし、それにしても自分のどこが魅力的だと思ったんでしょうねえ、誘ったらすぐついてくるって思いこんでたみたいですけど」

「そういう女としか付き合ったことないんだろう。リッチみたいに貞操は守るべきって女がそばにいなかったんだろうな」

「世の中にはいろんな人間がいるなあ」

 ブチ犬が締めくくった。

 

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