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第四話 水藻亜美という女

 二年になってから、一週間ほど過ぎた。

 平凡な日々を送っている俺。

 平凡というのはいいことだ。


 水無月の恋を何とかしなければいけない俺だが、昨日文化祭のグループ決めで、霜月との作戦通り、水無月と水無月の気になる相手、神楽坂を同じグループに。

 水無月によると、少しは話せるようになったみたいだ。


 水無月の恋を本気で応援したいのだが、俺が応援しているもう一つの恋、水藻亜美の恋。

 水藻が好きな相手は水無月なので、どちらも応援しづらい状況。

 だから、俺はこれ以上水無月に協力することは止める。

 後は水無月と水藻の本人次第だ。


 昼休みに図書委員会で教室を抜けていた俺だが、今仕事が終わり、教室に帰っている所だ。

 その途中で声を掛けられる。


「楓くん!久しぶりだね」

「神月か。久しぶりだな」


 神月桜(かみつきさくら)。去年Bクラスから、今年Aに昇格した彼女。

 俺がこの学校でで合った中で、暫定一位の実力者だと感じている。


「楓くんとも一緒のクラスになりたかったのになー。私クラスに友達全然いなくてさ」

「神月ならすぐできるだろう」

「それがねー中々できなくて」

「まあ生徒会とかもあって忙しいだろうけど頑張れよ。何かあったときは俺で良ければ相談に乗るぞ」


 神月も生徒会のメンバー。

 少し怪しい立ち回りをしていると感じているため、敵になる可能性もあると俺は考えている。

 まあ、どうなるか今の所だけでは何も判断できない。


「うん!ありがとう」


 神月と別れ、教室に戻る。

 すると、そこは少し騒がしい様子だった。


「うるせえなあ。あまり調子に乗ってるとなぐるぞ」


 そう言っているのは、確か小田次万(おだじまん)

 何があったのかは分からないが、もめているようだ。


 次万に対抗するものは多くいる感じだが、それらを取り締まるかのように綾華が次万の前に立ちふさがっている様子。


「だから委員長だからって調子に乗るなっていてんだよ」


 次の瞬間、次万はいきなり拳を振るった。

 とっさに俺は止めにかかる。

 次万の拳を手で受け止める。

 受けて分かる。

 こいつは今本気だった。


「お前当たってたらどうしたんだ」

「そん時はドンマイだ」


 こいつはいったい何者なのだ。こいつこそ退学させるべきだ。


「綾華、なにがあったんだ?」

「いろいろあって私が注意したの。それだけ」


 俺は何も言わず次万の方を見る。

 黙ったままだったので、俺が口を開く。


「どうなんだ?次万」


 その瞬間、次万の重心が動いた。

 俺はそれを確認し、頭を後ろの方へ。

 そのまま次万は足を蹴り上げ、俺の目の前で止まる。


「チッ」


 次は何が飛んでくるかと思ったが、以外にも次万はこの場を引いた。

 不機嫌そうな顔をしながら、手をポッケに入れ、何も無かったかのように去っていく。

 それと逆に綾華がこちらに近づいてくる。


「ありがと。楓」


 俺は何とか話を鎮めることに成功した。

 小田次万。注意しておかないとな。


 ***


 水藻亜美 個人ポイント405 総合評価 B+



「一緒に帰ろ?」


 私と蒼空は幼馴染。

 家も近い。

 久しぶに一緒に帰る。

 私にとって、蒼空と一緒に帰れるだけで十分。


「なんだか久しぶりだな、一緒に帰るの。」

「だね。」


 なんで。二人で話して帰るだけなのに。

 こんなこと、小学、中学の頃なんて普通だったのに。

 なんで今は、こんなに緊張するんだろ。

 ま、そんな理由は一つなんだけどね。

 歩きで帰る私と蒼空。

 学校から徒歩20分くらい。

 まだあと15分くらい歩く。

 まだ、沢山お話しできるね。


 あれ、なんで。

 なんでもう私の家が見えるの?

 あっという間に、こんなとこまで歩いていた。


「ねえ。蒼空。」

「ん?」

「今度さ。見にきて。ダンス。」


 私が所属している部活。ダンス部。


「次、学校で放課後にやるみたい。だから、来て。」

「急にどうした?」

「え、いや、別に。」

「分かった。行くよ。」

「いいの?」

「亜美。昔からずっとダンスしてたし、久しぶりに見に行くよ。」

「うん。待ってる。」


「あ、あとさ、今日あれやろ」


 私は最近流行りのゲームの名前を上げる。

 オンラインゲームで、友達とよくやるやつ。

 まだ、よくわかんないんだけど、最近そのゲーム頑張ってるんだ。

 蒼空がやってたからね。


「亜美ほんと好きだな。ハマってるのか?」

「まあね」


 いや。

 全然ハマってない。

 一緒やりたいだけ。

 もう、いっそ告白しちゃおうかな。


「亜美大丈夫か?」

「何が?」

「顔、赤いぞ。」


 バカ。そんなの分かってる。

 体温が上がってる。

 誰のせいだと思ってるの。

 やめて。

 今にも言葉に出ちゃいそうだから。

 好きってね。


「蒼空。」

「ん?」

「す、好きな人とかいるの?」

「え、いや、いないかな。」

「そっか。」


 もう、違うんだ。

 ()()()()()()()()()()()()()


 でも、分かってる。

 蒼空が私の事全然意識してないのくらい。

 そろそろ、期待しても無駄だって気づかないと。


 ()()()、私が蒼空を好きになるのがもうちょっと前だったら、未来は変わったのかな。

 あの時はなんとも思っていなかったのに、今の私は。

 あなたを、私のものにしたくてたまらない。

 もう、家に着く。

 またね。と言うだけなのに、目も合わせられない。


 幼馴染の私たち。

 本気で運命だと思い込んでいた私。

 バカみたい。


 そうして、私は家へ吸い込まれていく。

 まだ、一緒にいたかったのに。

 ねえ、蒼空さ、最近好きな人出来たでしょ。

 分かるよ。

 好きな人のこと見ちゃうの。

 私に勝ち目あるのかな。

 ねえどうなの?


次回、水無月回&ついに楓が生徒会に潜入調査!?

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