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ほらやっぱり、結局貴方は彼女を好きになるんでしょう?  作者: 望月 或


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39.待ち望んだ幸せ ※[王子エンド]①




 ※[王子エンド]に入ります。



 ※よろしいですか? ⇒はい

           いいえ





 ※[王子エンド]が選択されました。





 ※では、最後までお楽しみ下さいませ。






◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆






 勇者様一行を見送った私は、数日後、レムとモコと一緒に別荘へと向かった。



「色々あったし、静かな場所でゆっくり休んできなさい」



 という、両親の優しい計らいに甘えたのだ。



 別荘は町から少し離れた場所にあり、近くに森と川があるので、森でお花を摘んだり川で魚釣りをしたりと、日々の喧騒を忘れゆったりと過ごした。




 今日もモコを連れて森に入り、モコが野生の兎と戯れ合っているのを、草の上に座り微笑みながら見ていた私に、



「隣、いいか?」



 と、後ろから声を掛けられた。

 私が驚いて振り向くと、そこにはユークリット様が微笑みながら立っていた。



「えっ……ユークリット様、どうしてここに?」

「公務が落ち着いてね、君に会いに来た。――すごく会いたかったから」



 ユークリット様はそう言いながら隣に座ると、私の腰に手を回して引き寄せ、唇を重ねてきた。

 突然の口付けに思わず目を見開いてしまったけれど、優しい光を湛える瑠璃色の瞳に見つめられ、慌てて瞼を閉じた。


 角度を変えながらの長い口付けがようやく終わり、私は息切れでユークリット様の胸にクタリと寄り掛かる。



「すまない……。君の顔を見た瞬間我慢出来なかった」

「……もう……いきなり過ぎよ……」



 呼吸を整えていると、頭上からフッと笑う気配がした。



「俺の恋人は本当に可愛いな。愛してるよ、セイフィ」

「……私もよ、ユーク」



 そしてまた重なる吐息。




 あの時、「俺と結婚を前提に付き合って欲しい」と言うユークリット様の返答に、私は、



「まずはお付き合いからお願いします」



 と、答えたのだ。

 今回、ヒロイン(リルカ)とヒーローのユークリット様は結ばれなかったので、再び新たな『ヒロイン』が彼の前に出てくるかもしれない。

 その時、ユークリット様が少しでも彼女に興味を示した場合、すぐに別れることを条件にして。


 彼はそれをすぐに了承した。『ヒロイン』に靡かない自信が相当あるらしい。



「俺の愛する人は生涯君だけだ、聖。君に勝る女性などこの世にいる筈がない。“強制力”には絶対に負けないから」



 そう熱く何度も語られ、《前世》の悠とのあまりの違いに、私は思わず笑ってしまったのだった。



「何が『公務が落ち着いた』ですよ。無理矢理休暇を捩じ込んだんじゃないですか。帰ったらまたたんまりと公務が待ってますよ」



 不意に後ろから声が飛び、お兄ちゃんが呆れた顔つきでこちらに歩いてきた。



「お兄ちゃん」

「聖來、コイツが少しでも別の女に目移りしたら、すぐにフッちまえよ。そんなヤツ、お前の相手に相応しくねぇからな」

「俺は絶対にそんなことはしない。貴方にだって聖は決して渡さないからな」

「はっ、オレはちゃんと目を光らせてますからね。ちょっとでも別の女に目を向けたら、オレは即行殿下と別れさせますから。オレの可愛い妹をまた泣かせやがったらブッ殺しますからね」

「……肝に銘じておく。だがそんなこと、もう二度とない。俺からも言わせて貰うが、貴方は聖に近付き過ぎだ。勇者殿一行が城に挨拶に来た時、かなり顔と顔が近かったぞ。周りに人がいるんだから分を弁えろ」

「大きな声を出せないんだから、どうしても顔が近くなるのは当たり前ですよ。――あぁ、嫉妬ですか? 器が小さいですねぇ殿下」

「嫉妬して何が悪い」



 あぁっ!? また二人の間に火花がバチバチとっ!? 何なのもうっ!?

 私は慌てて違う話を振った。



「二人共、いつまでここにいられるの?」

「いや、またすぐに戻らなければならないんだ。君はゆっくりと休んでくれ。あちらに戻ってきたら、俺と沢山デートをしよう。今までの詫びとして、欲しい物を何でも買わせてくれ」

「ふふ、そんなの気にしないで。私は貴方とデート出来たらそれで十分よ」

「聖……」



 感動した面持ちで再び私に顔を近付けようとしたユークリット様を、お兄ちゃんが頭を掴んでグイッと引き剥がした。



「はい、そこまで。さっき散々したでしょうが。これ以上はオレが許さねぇ」

「……この前までは止めなかったのに……」

「お前が悠人でもあるからだよ。聖來を死なせた恨みは一生消えねぇからな」

「それは《今世》で一生償っていく思いで――」

「私は気にしてないわよ?」

「甘やかすな、聖來。コイツは一度大滝に飛び込んで打たれ続けた方がいいんだ」

「……宇龍兄さんと一緒なら打たれてもいいよ」

「何でオレもなんだよ!? 道連れにすんなっ!」

「……ふふっ」



 まるで《前世》での三人の会話に、私の口から笑いが溢れてしまった。

 それにつられて、ユークリット様もお兄ちゃんも笑う。




 ――あぁ……私、とても幸せだ……。




 幸せを噛み締めていた私は、その時気付く筈もなかった。





 “強制力”が次の仕事をしようと、重い腰を上げて動き出していたことを――






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