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政治経済エッセイ

日本経済をクラッシュさせたいの? 日銀金融政策決定会合10月の「1%越え容認」

作者: 中将

筆者:

 本日はご覧いただきありがとうございます。

 金利と言えば、アインシュタインが『利息が利息を生む「複利」は人類最大の発明』と言ったそうですが、

 そもそも預ける金が今ない人が多いよね? と率直に思いました。



質問者:

 だから格差が広がっていそうですけどね……。


 今回は日銀が「1%越え容認」が決定したそうですが、これはどんな影響を及ぼすのでしょうか?



筆者:

 経済については様々な要因が複合的に絡んでいますし、一般論としては「利上げの影響は半年後」とも言われています。


 そのために、利上げがどう影響すると一概に断言することはできませんが、

今日本が金利を上げることがいかに良くないことか? ということについてこれまでの経験則から解説していこうと思います。


 今回の決定で一つ確定したことは、


「異次元の金融緩和の実質終了(アベノミクス以前の状況に戻った)」


ということです。

 最低でもその布石ぐらいは打たれたと言っても良いでしょう。



質問者:

 利上げをするしかない経済状況になったということでしょうか?



筆者:

 まず、利上げをするとプラス効果としては主に2つあると思うんです。


 一つ目は今の物価高の要因の一つになっている円安の打開につながる可能性ですね。

 特に今これがクローズアップされていますね。



質問者:

 大体、値上がっているか容量が減っているかのどちらかですからね……。



筆者:

 ところが利上げが必ずしも通貨を守ること(日本なら円高)に繋がっていないことが解っています。


 内田稔氏(高千穂大准教授)によりますと、

『ロシアの軍事侵攻後、ほぼ全ての国でインフレが高進し、各中央銀行も利上げを重ねたが、対ドルで上昇した通貨は主要通貨の中ではスイスフランだけだ。スイス以外の国や地域の通貨は、コロナ以降の金融緩和から正常化へとかじを切ったものの、対ドルで下落した。』


 としています。

 つまり利上げは円安にほとんど影響を与えず空振りに終わる可能性が大きそうです。

 

そもそもの話として、


「日本経済そのものが見限られている」


 これが真実じゃないかと思うんです。戦争が起きているのに「有事の円買い」がありませんでしたからね。


 若しくは大口投資家が、


「円安を利用して、安く会社や土地を買収しようとしている」


 ために円安を意図的に起こしている可能性もあります。

いずれにせよ、「利上げをすると通貨高になる」とは全く関係のない要素が今の円安に占めていると言っても過言ではないでしょう。



質問者:

 なるほど……。少なくとも自国でできることは経済の回復というわけですね……。



筆者:

 そうなります。

 またもう一つ利上げによる効果としては物価抑制効果です。


 日銀の今回の会合でも

 「2023年度の消費者物価指数(生鮮食品を除く)上昇率の見通しを前年度比2・8%と、7月会合で予測した2・5%から上方修正した。24年度の見通しも2・8%と、前回の1・9%から引き揚げた。22年度の実績(3・0%)から3年連続で2%を上回る見通し」

 と、物価の継続的上昇が織り込み済みです。


 しかしながら、今回の物価高はコストプッシュインフレと呼ばれているものです。


 これは海外の影響が強く値上がり分はすべて海外に流れています。

利上げによって抑制されるディマインドインフレとは全く性質が異なります。つまり、


「利上げのメリットはゼロ」


 と言っても過言ではないのです。



質問者:

 ではどうして利上げをしているんでしょうか?



筆者:

 純粋に上級国民過ぎて今の状況が見えていない可能性もありますが、

「何かやっている感を出さないと批判される」とかそういうしょうもない理由の可能性もあります。


 しかし、「何もしない勇気」というのも必要なのです。

 それぐらい長期停滞を日本は強いられていますからね。



質問者:

 ちょっと利上げをするのが悲しすぎる理由ですね……。

 しかし、この「異次元の金融緩和」で日本の経済はなぜ浮揚しなかったのでしょうか?



筆者:

 そもそも「アベノミクス」の両輪として金融緩和以外では「機動的な財政政策」がありました。


 しかし、財政出動した金額の一部は「基金」として残ったことが解っています。

 

 23年10月30日の朝日新聞の記事では

『経済対策の補助金などとして使われる国の基金が急増している問題で、休眠状態となっている事業が29あり、全体の15%を占めることがわかった。2022年度末時点で、29事業の残高は1・4兆円にのぼる。役割を終えたにもかかわらず、人件費や事務費といった基金を管理するための費用への支出は続いている。』


 と無意味なお金が宙ぶらりんのまま計上され続けているのです。


 また、経済刺激策が足りなかった指標としてとしてGDPギャップずっとマイナスだったんですね。


 今年ようやく23年4-6月期がプラスになりましたが、これまでのマイナスの分が相殺されたわけではありませんし、それを軽視してもいけないと思うんです。


 今ギャップがプラスになったことで景気刺激策は必要でないという一部の経済評論家もいらっしゃいますけど、今経済が良いと思える神経が不思議だなぁという印象です。


 現に厚生労働省の『国民生活基礎調査』によると、「生活がやや苦しい」または「大変苦しい」と答えた世帯は合わせて平成13年からずっと50%越えですからね。



質問者:

 庶民そっちのけで株だけを見ているんでしょうかね……。



筆者:

 経済学者さんの周りの方は皆、裕福な方ばかりなのでしょうね。


 一般家計にマイナスの影響を及ぼし、経済政策を打ち消した出来事は、2度にわたる消費税の増税ですね。

 これを景気が伸びそうなタイミングで適宜行ったために、浮揚するきっかけを失いました。


 また安倍政権で外国人労働者が2倍に受け入れが増えたので日本人賃金が増えなかったことも経済的には大きいでしょう。



質問者:

 まさしく金利が低い間の大チャンスの期間に政府が経済政策で失敗続けたというわけですか……。



筆者:

 ですから、日銀はやるだけのことはやっていたのでもっと我慢する必要があったのです。

 「異次元の金融緩和」が無意味だったと論評するのは間違いだということですね。

 経済政策が間違っていただけですからね。


 一方で金利が上がる際に起きるデメリットを見ていきます。


 まず、日本国債の債券価格が下がります。一般の方は持っていないと思うのですが、銀行や保険会社は多く持っています。これらの機関がお金を借りている際に担保として国債を入れている場合に「コールバック」と言って担保の追加を要求されます。


 すると銀行や保険会社は貸出しのために用意していた資産を担保に回さなくて行けなくなり結果的に貸し渋りが起きるのです。

 

 貸し渋りが起きると、企業としては経営の悪化や資金ショートを防ぐために給与を抑え結果として庶民の収入が増えないのです。


 そうすると、株式も下がる可能性があるので日本経済としてマイナスの面ばかりが連鎖的に出てくる可能性があるのです。


 そして、金利が上がった分の価格転嫁があり、結果として家計にも跳ね返ってくるのです。



 ※一般的に言われている国債の利払い額の増加については国債で払えばいいと思っているので問題無いと思っています。



質問者:

 今の状況でそこまで行ったら日本経済はおしまいですね……。



筆者:

 ここまでいかなくとも我々庶民で影響するのは、

 住宅ローンの固定金利ですね。


 住宅ローン金利は代表的な長期金利である「新発10年物国債の利回り」を基準に決まります。 


 全期間固定金利型は問題ないのですが、大手銀行では既に住宅ローン固定金利の引き上げを行っており、全期間固定金利型に借り換えるメリットがなくなりつつあるのが実情です。



質問者:

 なるほど、銀行は既にこうなることを予想しつつあったわけですか……。



筆者:

 今の植田総裁になった時点でその兆候はあったので、もう対策されていたんでしょうね。


 今後の注目は「利率2%のデッドライン」を超えるかどうかですね。


 経済成長率以上に利率を上げると大きな景気後退の恐れもあることから、今ゼロ成長状態の日本には利率2%でも厳しい状況に陥る危険性があるのです。


 お金を持っている人が投資をしなくなって銀行に入れていたら終わりですからね。



質問者:

 しかし、日本でも利率が6%以上あった時がありましたがその時は何ともなかったですよね?



筆者:

 その頃はいわゆるバブル経済で土地の投機を抑制するための施策でした。

当時は「1億円あれば利息だけで暮らせた」とも言われていたのですが、

金持ちはそれ以上に土地の投機で稼げていた好景気だったわけですね。


 今そんな投資はどこにもありませんから、みんな銀行に預けるでしょうね。



質問者:

 なるほど、今とは状況が違うのですね。もし仮に、利率が「デッドライン2%」になった場合は政府はどのような対応が適切なのでしょうか?



筆者:

 利上げをするなら、そのマイナス面を相殺し、上回るだけの景気刺激策をすることが求められます。

 消費税やガソリン税の一時廃止などを行うことが即時的効果を及ぼします。


 しかしながら、「所得税減税」というニックネームの給付金すらも来年6月という遅い動きしかできない政府ですから、期待できないのが悲しい実情です。


 こうなると日本経済クラッシュやリセッション(景気後退)に備える必要があります。


 個人でできることとしては、

 外貨預金(日本に支店が無い海外に直接口座開設が必須)、ゴールドプラチナに換金、備蓄品購入、農作物の自作などをお勧めしますね。



質問者:

 政治の失政の対策を個人でしなくてはいけないのですね……。



筆者:

 あとは海外移住ですが、言語・文化、食事などに対応できる自信があるなら良いと思います。

 ただ、海外移住をしても有事の際には結局同じ言語圏の人でまとまるそうなので、

 日本人が少ない地域には結局行きにくいかな? と思ってしまいますね。



質問者:

 そうなると日本にいたほうがよさそうですね……。



筆者:

 日本も以前よりは治安も怪しくなっていますがそれでも海外よりはマシでしょう。

 よほど海外で暮らせる自信のある方限定だと思います。


 ということでここまでご覧くださりありがとうございました。

 今後もこうした日本の政治・経済の話題や、マスコミの問題、国際情勢などについて個人的な見解を述べていきます。


 よろしければこれからもご覧ください。

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