埼玉へようこそ
「叔父~、お部屋決まんなかったよ~」
お部屋探し3日目の夜。埼玉にいる親戚夫婦と、ご飯を食べることになった。
「そっかー。埼玉来いよ埼玉ー。俺たちの住んでる浦和はどう?一緒に浦和レッズ応援しようよ」
この親戚は、浦和レッズのサポーターである。
「えー、でも。浦和はさすがに遠い気がする。都内への通勤、大変なんじゃない?」
「そんなことないよ。俺たち夫婦は毎朝5時起きで会社に行ってるけど…………そんなの、慣れるからさ。大丈夫だって。浦和はいいところだぞ?浦和レッズの町だし…………何より、埼玉スタジアムが近い」
「そう。お部屋探しで一番大事なことは…………埼スタが近いかどうかよ」
この夫婦は、熱狂的なレッズサポーターなのである!
「浦和へようこそ…………浦和へようこそ………………」
「やばい、洗脳される……」
こうして、お部屋探しは…………埼玉編へと突入した!
「という訳で…………かくかくしかじかで………………都内のお部屋は2番手になっちゃって。てへっ。お兄さん、今日は埼玉エリアの部屋探しってことで、よろしくお願いします!」
「嫌な予感がすると思ったら…………まあ、いいでしょう。埼玉エリア、行きますか」
「あっ、今日は疲れ気味の母もいます」
「よろしくお願いします……」
お部屋探し4日目。既に疲れ気味の母と、まだまだ元気な私と、お部屋ガチ勢のお兄さんは、車で埼玉に移動した!
「はい、ここから埼玉です。この辺からもう、土地が有り余ってる感じが伝わってくると思います」
「本当だ~」
決して埼玉を馬鹿にしている訳ではない。田舎の民としては、この土地と自然が多いゆったりした感じに非常に親近感が湧き、好感が持てるのである!
「そしてこれが本日見るお部屋の、近場の駅です」
「便利そう~」
駅前には普通にコンビニもスーパーもあって、何も生活には困らなさそうだ。やっぱり、山形駅前より便利そう!
「そしてお部屋がこちら」
「ここにしましょう!」
母、即決。案内された部屋はとても綺麗で、駅に近くて申し分ないからなぁ。私も気に入った。
「実は昨日の部屋ね、お母さん、ちょっと嫌だったの。ほら私、霊感あるから…………すごくね、ぞわぞわしてたのよ」
「あんなにもう決めろオーラ出してた癖に…………まあ、私は何も感じないからどうでもいいけど…………」
「僕も霊感はありませんが……嫌な感じ、ぞわぞわする、というのは。日当たりだったり、湿度だったりが影響していたりするので。重要な判断材料です」
「へぇ~。ここは、日当たり良くていいですね。新しい建物だし」
「そんなに新しくはないですが……」
「えっ?だって…………母よ、私が前住んでたとこって築何年だっけ?」
「築40年…………いや、50年くらいじゃない?」
「だよね。余裕でこっちの方が若僧です!」
「それは良かったです」
前住んでいた部屋のクオリティがそんなに高くないので……私は、基本的にどんな部屋でも感動できるのだ!
「それに、ここはバストイレ別だし、普通に広いし収納もあるし…………何よりも…………ロフトがある!!!!!」
ロフト。梯子を登った先に、屋根裏部屋のような空間がある最近流行りのスペースだ。冷暖房が効きにくいからやめとけとはよく聞くが…………知るか!!私は、子供の頃から2段ベットやロフトベッドの上で過ごしていた…………ロフト大好き人間なのである!
「ロフト部分の天井が高いから、余裕で立てる!これ、実質2階建てですよ!」
ロフトは結構高い位置にあって、布団を運ぶのは大変そうなので……ここは、漫画とかフィギュアとか…………えっちな本とか。そういう、趣味のものを置くスペースにしよう。そうしよう。
「お兄さん、ここに決めました!」
「はい、では申し込みしましょうね」
…………そして、無事に申し込みは1番手となり、審査も通り。
東京のお部屋探しは、こうして埼玉で幕を閉じたのであった!
完!
「おっ。お部屋決まったの?どこ?えっ、埼玉の△△?…………やったじゃん!埼スタ行けるね!レッズ応援しよう…………レッズ応援しよう………………」
「洗脳される…………」
~あとがき~
東京のお部屋探しはとても大変で、まさかこんなに時間がかかるとは思っていませんでした。1月でこれなので、2月3月はもっと激しいお部屋争奪戦が繰り広げられるのだと思います。地方から上京する、これからお部屋探しをする方々…………頑張ってください。健闘を祈ります。
沢山の方々のおかげで、私は無事にお部屋が決まりました。この場でこっそりお礼を言っておきます。みなさん、ありがとうございました!春から新しいお部屋で頑張れそうです!
とりあえず住んでみて。また何かあったら、こうやって書いてみようと思います。一体験談としてね。
このお部屋探しの記録が、上京する田舎の民の…………同士の役に立てば幸いです!
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!