町の不動産屋さん
お部屋探し2日目、午前。
外国人美女から謎の不動産屋の紹介を受けた私は、とりあえずその不動産屋に行ってみることにした!
ネットで調べてもあまり詳細が出ない、小さな不動産屋…………仮に、◯◯不動産屋としておこう。
渡された名刺の情報を頼りに、店舗のある場所へと向かう。
都会とは思えない、古い静かな下町のあたりにあるらしい。
本当にこの不動産屋は存在するのか……?
もしかして、新手の宗教勧誘とか、美人局なのか……?
そんな不安を抱きながら、店を探して5分くらい。
あった。◯◯不動産。
本当に小さな地元の不動産屋という感じの店が存在した。
どうしよう。行くか。行くしかない。
そして、謎の不動産屋に飛び込んだのであった!たのもー!
店に入ると、営業のお兄さんが普通に対応してくれた。
お部屋の要望を書いて、アンケートを書いて、ふむふむ。
「あれ?紹介で来たんですか?誰からの?」
「外国人で、金髪の…………ドミトリーで働いてる、綺麗なお姉さんから…………」
「あー!!!!!はいはいはい!!!!!!」
奥から、店長がハイテンションな様子で話しかけてきた。
「◯◯ちゃんね!あの子ね、俺の友達!!!!俺、あの店よく行ってるの!!!!!あの子、めっちゃ美人だよね!!!!知ってる?あの子、本業モデルさんなんだよ!!!!!!」
「へー!?どうりで!めちゃくちゃ美女だと思いました!!」
店長と、美女のお姉さんの話で盛り上がった。
美女について語り尽くすと、店長はまた奥へと戻って行った。
「……はい。では、お部屋を探しましょう」
「よろしくお願いします」
そして、営業のお兄さんとのお部屋探しがスタートした。
「まずは、段取りを説明します」
不動産屋でのお部屋探し、その1。
不動産業者が閲覧できる、レインズという不動産流通情報の中から、住みたいお部屋の条件と一致する物件を探す。
このレインズを使うと、大手だろうが小さい会社であろうが同じ情報が入手できる。ので、どの不動産屋に行っても大体同じ物件を紹介して貰えるという仕組み。たまに、不動産屋が独自で持ってる非公開物件もあったりするよ!
ちなみに、私たち一般人がネット上で探すことの出来るお部屋は、レインズに登録されている物件の一部でしかない。また、サイトの情報が更新されるまでには時差もある。最新かつ多くのお部屋情報を手にするには、やはり不動産屋に行くしかない。
その2。
気に入ったお部屋の情報が見つかったら、実際に内見しに行く。たまに内見をせず、ネット上の間取りを見ただけで契約まで済ませてしまう人がいるけれど。お兄さん曰く、内見をして実際に部屋を見た方が絶対に良いらしい。データだけでは分からない、日当たりとか音とか、周囲の環境とかも大事だからね。
その3。
内見した上で住みたい部屋が見つかったら、申し込みをする。
東京では部屋に対して入居希望者が多く、奪い合いになったりする。申し込み1番手、2番手、3番手…………のように、1つのお部屋に多くの申し込みが集まってしまうのだ。基本的には、1番手を逃すとそのお部屋の争奪戦に敗北する。弱肉強食、早い者勝ちなのである。
田舎では部屋が余りまくってるからありえないね…………
その4。
無事に申し込みで1番手が取れたら、入居審査に入る。
先程の申し込みで書いた情報を元に、入居に相応しいかどうか管理会社や大家さんに審査されるのである。ちなみに、東京だと保証会社に加入必須なことも多い。ので、そっちの審査もあったりする。これに無事通れば、初めてお部屋に入居する正式な契約ができるのである。
それから!東京の賃貸発生日は契約から2週間後と早かったりするので、お金の準備はちゃんとしておこう!田舎みたいに、賃貸発生日は1~2ヶ月後…………とか、そんなにゆっくり待ってくれないよ!ここは慈悲なき東京大都会だからね!
そんなこんなで、お部屋探しの基本的なレクチャーを受け。
早速、お兄さんと条件に合うお部屋を探す。
「それでは、希望条件を入力して部屋を検索しますね。はい、このエリアはこれくらいあります。はい、間取り出します。これとこれとこれとこれ」
「ここから隣の駅、はい。これとこれとこれとこれ」
「それから、こっちの路線も便利です。このエリアも見ましょう。これとこれとこれとこれ」
「それからこっちにはこんなに」
お兄さん、すごい。めっちゃ物件情報出してくるじゃん。
超出してくる。もう、何十件も間取り出してくる。部屋の構造の解説とか超してくる。この人、ガチじゃん。
そして、お兄さんと共にお部屋情報を眺めて。
3時間以上が経過した…………!
つづく。