そうだ、部屋探そう
就職で東京への引越しが決まった私は、引越しシーズン(2月~3月)が到来する前にお部屋探しを開始することにした。
これは、その体験を記録するための雑文である。
まず、お部屋探しは何から始めたらいいのか…………と悩み、とりあえずネットで物件を探すことにした。
ちなみに私は、東北の民だ。雪国のとある町で一人暮らしを数年間経験している。ワンルームで6畳くらいの、コンビニが目の前にある、家賃3万円のお部屋。水道代が家賃に含まれていて、水は使い放題。あと、ペット可というオプション付き。敷地内にゴミ捨て場もあるし。割と古い建物だったが、特に問題なく生活できた。
唯一の不満は、風呂とトイレが一緒のユニットバスだったことくらいだ。掃除は楽だけどね。やっぱりバストイレ別がいいな、なんて思ったりした。あと、収納が小さくて大変だった。普通のクローゼットの4分の1くらいのちっさい押し入れしかない。クソみたいな収納能力だった。
隣の部屋は、おっさんと若い男と若い女がランダムで出てくるので、誰が本当の住人か分からなかった。どういうこと?3人はどういう関係性なの?もしかして3人で住んでるの?6畳ワンルームに???
思い返せば、割と不満があったりなかったりした生活であった。
とりあえず今までの経験を生かして。いざ!東京のお部屋探し!
東京の家賃が高いことは何となく分かる。だけど、今までの家賃よりも高い金を毎月払うのだから、前の部屋よりはどこかいい部分があるお部屋に引っ越したい。
住みたいエリアはもう決めていたため、その周辺を探してみる。
バストイレ別で、家賃は最大で6.5万。あと、2階以上がいいな。そんな感じの条件を入力して、検索。数は多くないが、ある程度の物件はヒットはする。
ちなみに、私はお風呂大好き人間なので。シャワーしかない部屋は許せない。バストイレ別で検索すると、このシャワーしかない部屋もヒットするのでとても腹が立つ。お前は風呂じゃない!ただのシャワーなんだよ!ちゃんと自覚してくれ!
あと、浴槽がめちゃくちゃ狭い風呂も嫌だ。ある程度はゆったり入れないと意味無いし……
そうやって見ていくと、あんまりいい感じの部屋がない。予算をちょっと上げて7万円代にすると、バストイレ別のいい感じの部屋は沢山ある。しかし私は、なんとか6万円代で済ませたいのである。高い金払えば、いい部屋に住めるのは分かってるけど。家賃になるべく金をかけたくない。会社は交通費はくれるけど、家賃補助はくれないし。3万……いや、5万くらい会社で払ってくれてもいいのに…………ケチ………………
そんな感じで、暇な時はネットで物件を探して早数ヶ月。たまにいいお部屋を見つけることはあったものの、まだ時期が早すぎるために泣く泣く見送った。
そして、時は流れ。1月が訪れた。そろそろお部屋を本格的に探そう!ガチで!時期もそろそろ丁度いいだろう!と思ったちょうどその時。あるお部屋が検索に引っかかる。
理想的なお値段、いい感じの間取り。バストイレ別。建物も新しくて綺麗だし。立地も超良い。良すぎるくらいに良い。これはいいんじゃないの!?
と思って、即問い合わせをした。電話に出た不動産屋のお姉さんから、お部屋の詳細を聞く。
「お問い合わせ頂いたこの物件、告知事項がありまして……」
ふむふむ。ん?どういうこと?
線路の隣だから、音がうるさいとか?
私はうるさくても眠れる人間だから大丈夫だけど。
いや待てよ。この雰囲気。これはもしや…………
「実は、以前このお部屋に住んでいた方、亡くなってるんです」
「自殺で……」
……そう、そのお部屋は!
なんと!
事故物件!!!!!!
「とりあえず、内見してします?」
「あ、はい。お願いします」
つづく。