86
「あ…」
「ありゃ、残念。クラス別れちゃったね」
「…抗議してくる」
「あはは、誰によ…え、ちょっ…ほ、本気で誰に言う気!?」
冗談かと思ったら本気で何処かに行こうとする葉子ちゃんに、慌てて肩を掴んでとめる。葉子ちゃんは振り向いて小首を傾げる。
「校長、とか?」
「禁止! 断固禁止! 行ったら怒る!」
「…クラス別でも、友達?」
「友達! むしろ親友だからっ! てか部活でも会うからねっ」
「…仕方ない」
仕方ないよ。仕方なさすぎて抗議とか普通発想しないよ。何マジで抗議しようとしてんの。葉子ちゃんのマイペースさにはマジでびっくりするよ。
「まあそうがっくりしなさんな。あたしがいるじゃん」
「るい……がっくり」
「おい」
「あ、私桃子ちゃんと一緒だ。じゃあ二人とも、私教室行くから。またね」
「おー。ほら葉子、行くよん」
「ん」
二人と別れて自分の教室に向かう。
とうとう中3か…あと、ちょうど3年。3年で死んじゃうや。実感ないけど……ああっ、考えたら鬱になりそうだしやめやめ。残り少なくてもエンジョイするぞっ。
「桃子ちゃん、久しぶり」
「あ、悠里さん。お久しぶりです。今年一年、よろしくお願いします」
「こちらこそよろしく」
○
「来年はいよいよ悠里も高校生ね。今から楽しみだわ」
「…いや、さすがに今から楽しみにしないでよ」
「きっと高校の制服も似合うだろうね」
「それは去年もうやったでしょ」
「はぁ…悠里、いつからそんなに口答えするようになったのよ」
「割と前からツッコミキャラのつもりだけど」
「え? 悠里ちゃんがツッコミって…」
「何で何言ってるかわかんないみたいな顔されてんの私」
「悠里の場合、ツッコミと言うより手足振り回してる幼児みたいで可愛いわよね」
「それもはや罵倒じゃない?」
「愛でてるのよ」
「悠里ちゃんは呆れたようにぶつぶつ文句言ってるのも可愛いよね」
「マニアックすぎる」
もしかしてそのためにいつも私無茶ぶりされてんの? 半分くらい真に受けてるよ?
恒例のお茶会は定期的に場所を変えていると言ってもそろそろマンネリ気味だ。それでもお話してると楽しいけど。
「んー、暇ね…悠里、ちょっと新しいゲームでも考えてみて。内容によっては実用化させるから」
「初っ端からハードル高いよ。新しいゲームねぇ…5色オセロとかそういうの?」
「どっかで見たことあるようなのは却下よ」
「私、オセロはやっぱり白黒が至高だと思うな」
「んー…じゃあ、しりとりとトランプを混ぜて。トラとりとか。一枚ずつトランプを引きながらしりとりして、ババヌキみたいにそろったら捨てる。しりとりに失敗したら5枚ひいて、最終的に一番多く持ってる人の負け、みたいな」
「んー、発想は悪くないけど、しりとりってそうそう失敗しないわよね」
「あ、さらに思いついた。オセロのコマをコップにいれてひっくりかえして山にして崩さないように一個ずつとる」
「将棋のコマと何が違うのよ」
「丸いからより難しい」
「…悠里ちゃん、ゲームをつくる才能ないね」
「同情風に言わないで。そういう二人は何か思いつくの?」
「私、久しぶりにジェンガやりたいわね」
「私はオセロしたくなっちゃった」
「よし、どっちもやるわよ。確か小学生のころに買ったのが隣の部屋にあるから、悠里、用意手伝って」
「いいけど…いいけど私に言わせるだけ言わせて放置とか!」
やりたい放題だな!
むむう、このままでは私のいじられキャラが固定されてしまう。……あれ、もしかして前からそうだったかも?
○




