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「おめでとう! 本当におめでとう!」
「…ありがとう。でも大袈裟すぎ。朝も聞いたし。つか、姉ちゃん、何でいるの?」
「駄目だった?」
「駄目ってことはないけどさー。普通は親だけだろ」
「そんなことないでしょ。ほら、あそこなんか赤ん坊連れてるよ」
「や…つか、姉ちゃんくらいの年がいないってことだよ」
「んー、それはそうだけど…」
入学式が終わったらクラスに戻ってすぐ解散なので、せっかくだから優生を待ってたんだけど不評みたいだ。結構待ってる保護者多いのに。
まあ、確かに私以外はみんな大人だし浮いてるけど。でも悪いことしてるわけでもないし。
はぁぁ、優生可愛いなぁ。ぶかぶかな制服着ちゃって。でも野球部に入るって言ってるから、坊主になっちゃうんだよね……いや? 案外可愛いかも?
「優生ー、って…あれ、もしかして、悠里?」
優生を呼ぶ、多分友達に何故か呼び捨てされた。んー? 見覚えあるかも? 優生の友達で私を呼び捨てにする子は…結構多かったけど、えーっと。
「……あ、もしかして…たっくん?」
「そう! うわ、覚えててくれたんだ! 感激ー!」
「も、もちろん」
いや…ちょっと待ってー、えー…本名なんだっけ? 優生の友達の双子で印象に残ってたし、面影あるけど……あれ、そもそも私フルネーム聞いてないかも。
「懐かしー」
「卒業式以来だから…2年ちょっとかな。大きくなったね」
優生は私と変わらないくらいだけどたっくんはさらに5cmくらい大きい。
「まぁね。悠里はちっちゃくなったね」
「な、なってませんっ。失礼ね、もう」
「あはは、ゴメンゴメン。あ、なぁ優生、悠里借りてもいい? 凛にも会わせたら喜ぶだろうし」
「…別に、俺に許可とる必要ないだろ。許可だすのは姉ちゃんだろ」
「いい?」
「んー…まあ、いっか。久しぶりに私も会いたいし」
この後は優生と一緒に帰ってお昼にするだけだし。お母さんも先に帰ってるしね。
「…俺、先帰るから」
「うん、気をつけてね」
「子供扱いすんなよ」
怒られてしまった。
6年生の中頃から私の呼び方も一人称も口調も変えてから本格的に反抗期に入った優生なので仕方ないけど、ちょっと悲しい。
「多分まだ凛は教室にいるからさ、行こう」
「うん」
元気なたっくんに手を引かれ、私は早足に校舎の中に向かう。
昔の母校なのでとても懐かしい。靴をはきかえないのが久しぶりで新鮮だ。高校は上履きだったし。
「あ、いたいた。おーい、凛」
「ん? どうしたの、達也。? その人………あ、悠里?」
たっくんもだけどりんちゃんは健康的な感じだ。喘息持ちのひ弱っ子だったけどもう治ったのかな。元々軽度だったし。
「正解。覚えててくれたんだ、ありがとー」
「やーん、久しぶりーっ。うわぁ、うわー、久しぶりー」
「久しぶりー」
はしゃいだりんちゃんは私の手をとって小さく何度もジャンプする。かわいーなぁ、この子。
病弱が治っても細身で華奢で色白なりんちゃんはかなり可愛い。小リスみたい。
「でも二年くらい会ってないのによく覚えてたね」
「確かにかなり会ってないけどー。でも一時期毎日遊んでたのに忘れるわけないじゃん。それに私、悠里だーい好きだもん。尊敬してんだ」
「そ…尊敬?」
あれ、私なんかしたっけ? 尊敬とはずいぶん大仰な…。勉強も教えてないしひたすら昼休みとたまに放課後に遊んでたくらいだよね。
「うんっ。それに悠里、確か私立の中学行ってるんだよね。それも特待生で。ますます憧れちゃう」
「言ったっけ?」
「優生君が前に自慢してた」
「ほう…」
昔のことだとしてもそれは嬉しいなぁ。にやにやしてしまう。
「他に優生、私のことなんか言ってない?」
「んー、そういえばこの間、姉ちゃんはいつまでも子供扱いだしマジうぜーって言ってたよ」
「……」
調子にのって聞くんじゃなかった!
「ま、照れ隠しだと思うけどね。ほら、私らの年って異性の家族には素直になれない感じだし」
「うん…ありがとう」
「ねぇねぇ、またさぁ、時間あったら遊ぼうよー。私悠里に会いたくてたまーに優生君に会わせてって言ってたんだけど拒否られるんだよね」
「え、そうなの? なんでだろ。部活がない日なら全然オッケーだよ」
「やったぁ」
「悠里、僕もいいよね?」
「もちろん」
あー、懐かしいなぁ。それに、二人が私を覚えてるなんて。
軽い気持ちで遊んでただけなのにちゃんと慕って覚えててくれるなんて、感激だなぁ。
また遊びたい、か。私はめちゃくちゃ存在忘れてたからちょっと罪悪感あるけど、この二人ともまた改めて仲良しになれたらいいな。
○
ここからまた急展開入ります。
とか言って前回はそれほど急でもなかったかも知れません。何だかんだで話数増えちゃうんでそんなに急でもない気もしますが、書いてる身としては急なので。




