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「今日はこのくらいにしようか」
「んーっ、疲れたー。るいさんくたくただよぉ」
「はいはい。残りのクッキー食べて休憩してから解散ね」
「うぉー、休憩だぁ!」
るいちゃんはテンション高く腕を振り上げてからお皿を持ち上げ、ざらざらと残りを口にほうり込んだ。
「んむ、んむ、んっ、ごくん。ん、ん、はぁーっ、ご馳走様っ」
さらに改めて注いだジュースも一気飲みしたるいちゃんは晴れやかな笑顔で言った。
いや、はっや。早すぎ。いいけどね。
「んー、あとは休憩ーっと」
ごろりと横になるるいちゃんに苦笑する。今日初めて来たのに自分の部屋みたいに寛げるとは、るいちゃんは大物だなぁ。
「悠里」
「ん、なぁに?」
隣の葉子ちゃんの呼びかけに振り向く。葉子ちゃんはすでに教科書とか片付けてた。
「今日…泊まっても、いい?」
「え…どうしたの急に?」
「駄目?」
「駄目ってことはないけど…どうしたの?」
用意はしてないけど、幸い制服だ。服は私のを貸せばいいし、明日の授業の用意は玉恵ちゃんに頼めばいい。るいちゃんの分の教科書くらいなら、別クラスの…玉恵ちゃんは無理だから桃子ちゃんか恵理ちゃんに頼めばいい。
「今日…悠里と一緒にいたい」
ずきゅーん、ときたね。可愛いなー、葉子ちゃんは。
「いいよ、じゃあそうしようか」
葉子ちゃんの頭を思うまま撫で撫でしながら許可すると、ぱあ、と笑顔になった。といっても普通の人なら微笑む、くらいのものだけど普段無表情な葉子ちゃんだけに満面の笑顔以上にレアだ。
「じゃあじゃあさ、寝る前に枕投げしよーよ! あたしあれ好きなんだよねー」
「ベタだねー、って、なに?」
起き上がって提案するるいちゃんを向いた私に葉子ちゃんが横から私に抱き着いてきた。
「…駄目」
「え?」
「るいは…駄目。私だけ」
「えー? なんだよなんだよー。るいさんだけ仲間外れすかー?」
「……」
「……はいはい、わかったよ。るいさん実はちょー天才で何でもわかっちゃうからさ。わかったわかった。ただ言わせてもらうけど、るいさんは葉子と悠里を友達だと思ってるよ」
「…ごめんなさい。謝る」
「いいってことよ。んじゃあたし帰るから」
「え、るいちゃん? あの、いや…え?」
「ばっいばいっ」
「ん」
よくわからないけど、葉子ちゃんだけ泊まるらしい。
なんでいきなりるいちゃんが意味不明に友達宣言したのか、葉子ちゃんが謝ったのか、私には全くわからなかった。
「とりあえず…お母さんと葉子ちゃん家に泊まるって連絡しようか」
「ん」
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