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二度目の私  作者: 川木
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「るいちゃん、起きて」

「んー…」

「起きてってば。もう昼休みだよ」

「お昼っ!」


ぱちっ、と今までの涎をたらしてた熟睡が演技だったみたいに一気に起きたるいちゃんに苦笑する。

彼女は宮沢るい。私の隣の席で、悪い子じゃないけど遅刻居眠り当たり前の不真面目ちゃんだ。

まあ、察しはつくと思うけど? 世話をやくようになりました。睡眠と食に貪欲で元気満点だけど勉強は苦手というタイプなので、葉子ちゃん以上に手はかかる。でも一回死んでからは誰かの面倒見るのも嫌いじゃない、ていうか全くないと物足りないくらいなのでちょうどいい。

葉子ちゃんは私が教えるようになってからは真面目になって成績も安定してきたからね。


「よーし、んじゃ食堂までダッシュだ! よーいドン!」

「え、ちょっ…葉子ちゃん、行くよ」

「ん」


黙って私の隣にいた葉子ちゃんは小さく頷くと私に並走する。

階段の踊り場につくともうるいちゃんの姿は見えない。さすが、陸上で特待生になっただけはある。というか、私が勝つとか絶対無理。


「とっ、たっ、とぅっ」


階段を二段飛ばしで駆け降りる。掛け声は勝手に出る。


「あっ」

「きゃっ」


勢いがつきすぎて下の階を歩いていた先輩とぶつかりかけた。幸いぶつからなかったけど先輩が姿勢を崩したので思わず抱きしめた。


「とー…すみません、大丈夫ですか?」


何とか転ばずに済んだけど、やっべーと冷や汗かきながら慌てて謝る。

普通の子もいるけど基本的にガチお嬢様ばかりの学校だ。葉子ちゃんたちの家も何気にお金持ちだし、クラスに半分ずつくらいは漫画みたいなお嬢様がいる。そのうちさらに半分くらいがお金持ちを鼻にかけるなんか時代を勘違いしてるタイプだ。

去年にもやたら感じの悪い子たちと何度か確執があったりして、もう争うのはこりごりだ。彩ちゃんと実代ちゃんは高等部に言っちゃったから、そう頼れないしね。


「あ…大丈夫、です。お気遣いありがとうございます」


よしっ、セーフ! むしろ大人しい感じだ!


「いえ、本当にすみません。ちょっと慌ててて。以後気をつけます」


とりあえず謝ってから後ろにいる葉子ちゃんを促して、歩いて食堂へ向かうことにした。

ちら、と振り向くとまだこっちを見ていた先輩はにこ、と笑ったので笑いかえした。

のんびりした先輩だなぁ。ふう、和む。


「悠里」

「ん?」

「大丈夫?」

「うん、大丈夫だよ。心配してくれてありがとう。やっぱり葉子ちゃんは優しいなぁ」


よしよし、と頭を撫でる。身長は変わらないけど、前に優生にやってた癖で葉子ちゃんにやってしまってから、気にいられたので褒める時は撫でてあげることにしてる。

「ん…うん」


小さく微笑む葉子ちゃん。撫でてあげると普段無表情な葉子ちゃんが笑うので私も積極的に撫でることにしてる。


「おい! 二人ともおーそーいぞー!」

「ごめんごめん」


待ちくたびれたるいちゃんが机を一つ占拠したまま喚いた。

それでも待っててくれるからるいちゃんはいい子だ。











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