高文4
「ただいま、って…」
寝てる。
太陽降り注ぐシーツの上でくるまって寝ていた。薄いカーテンを閉めてからさっきまで座ってた座布団の上に座り直す。
「さて、どうしよう」
夜に来た悠里ちゃんが寝てしまうのはそう珍しいことじゃないけど。せっかく悠里ちゃんを呼んだからと、彼女の好きなアイスクリームを買っておいたのに。しかし、冷蔵庫に戻しに行くのも億劫だ。
「…ま、食べるか」
二杯あるジュースは片方置いてもいいけどアイスクリームは溶けるしね。
袋を開けてかじりつく。しっとりしたクッキー生地と冷たいアイスが口の中で混じる。
美味しいけど、個人的にクッキーはさくさくの方が好きだ。悠里ちゃん的にはそこがいいらしいけど。ちなみに一番僕が好きなのはザリザリ君だったりする。
「んぅ」
より丸々悠里ちゃんの背中を何気なしに見ていると、ふと気づいた。
下着の線が浮き出てる…。
というか、当たり前だけど、そうか。今更なんだろうけど、付けてる年齢だよね。今までは夜だからつけてなかったのかな。
何だか急に、気恥ずかしくなった。悠里ちゃんは女の子だなんて、それはさすがに知ってたけど。でも、段々大人になってるんだ。
大人になりかけの、少女。前に一度悠里ちゃんの制服姿を見た時も、何だか悠里ちゃんを遠くに感じたけど。今もそうだ。
何故だか、急にいけないことをしている気になった。
いくら慕ってくれてるとは言え、年端もいかない少女を自室に連れ込み、男臭いベッドで寝かせるだなんて、いかにも犯罪くさい。
いつまでも幼い、僕の妹ではいてくれないんだろうな。きっとそのうち遊びに来てくれる回数も減るだろう。
そもそも、いくら何でも夜中まで女の子を自室に招くのは問題がある気がしてきた。今更だけど。
僕には全くそんな気はないけど、今までの僕の恋人たちは僕をロリコンではないかと疑ったし。
そうではないと説明しても、たとえ妹にしか見ていなくても血の繋がらない女の子を優先するような男はゴメンだと振られてしまった。
僕は本当に、悠里ちゃんを妹のように大切にしてる。確かに昔、初デートより悠里ちゃんのお誘いを優先したのは少しやり過ぎな気もするけど、優生君もいて引率みたいなものだった。
そんな見当外れの嫉妬をするような人はこちらから願い下げだと自分を慰めたけど。でも本当、妹を優先して何が悪いというのだろう。やましいことは何もないと誓っていえる。
確かに最近は少し、成長した悠里ちゃんに戸惑うことはあるけど。でもそれは三人目の彼女が、あと3年もすれば妹に見えなくなる、なんてことを言ったせいだ。それから1年たって成長を実感して、少しだけ意識してしまうだけだ。だから僕はロリコンじゃない。
「んーあぁ」
暑いのか、悠里ちゃんは寝返りをうって不機嫌そうな顔を僕に向けた。
前からではブラ線は見えないのでほっとした。
「っ」
ほっとしたのもつかの間、寝返った勢いで悠里ちゃんのワンピースがずり上がり太ももの際どいところまで見えてしまっている。
ちょうやべぇええ。
「、あ…」
ばり、と柔らかくなったアイスが折れた。食べるのを忘れてた。手までべっとりだ。とりあえず半分を無理矢理口に入れて食べた。
ごくんと飲み込んでからあと半分を床に置き、手についたアイスの滴は舐めとって足元に畳んで置いてある掛け布団かわりのタオルケットをかける。
よしよし、これで安心だ。
「んぁっ、んんんっ」
「っ…あ」
タオルケットは蹴っ飛ばされて暑いのか身じろぎした。勢いで、ワンピースは捲れ上がっておへそまで見えていた。
「…ふぅ」
いやしかし、危ないところだった。
悠里ちゃんが暑くても短パンを履くようなおしとやかさを持っていなければ、パンツが見えていたところだった。
「……」
いや、いやいやいやいや。パンツ見えなきゃいいってもんじゃない。全然おしとやかじゃねぇよ。
僕は極力悠里ちゃんを見ないようにしながら、スカートを戻した。
ふう…危うくキャラ崩壊するところだった。
「……」
……。
…………いや、いやいやいや、え? なに? 自分、動揺しすぎだろ。
アイスの続きを口につっこんで頭を冷やす。
えー…えっと、今のはあれだ。偶発的出来事だから動揺したんであって、別に悠里ちゃんのことをガチで女性として意識してたんじゃ…ないよ?
うん、だってパンチラくらい少し前までたまに見てたし? 全然大したことないよ?
「……」
…死にたい。なにやってるんだろう、僕。高校教師たる聖職者なのに、これじゃまるでロリコンじゃないかっ。
違う、違いますっ。だってこの間悠里ちゃんの友達と話した時も一回パンチラどころかすっころんでパンモロ見えたけど全く気にならなかったしね!!
「……はぁぁ」
他の子は平気だからロリコンではないと言い切れる。言い切れるけど、それはそれで問題すぎるだろ。
悠里ちゃんのパンチラは小学生の時から意識してた。このことから導き出される答えは一つ……………え、まじで? 一つしかないの?
………だとして、どうしろって言うんだ。とりあえず僕にできる事は……距離を置いたりは、少なくとも僕からは出来ないよね。して問い詰められても困る。
僕にできる事といえば、精々理性を鍛えるくらいか。…いや、そんな改めて言わなくても理性くらいありますけどね。大丈夫ですけどねっ。
「……」
うわああぁぁぁ。僕、どんな顔して悠里ちゃんと接すればいいんだ。
○
ろろろロリコンとちゃうわっ。
高文、自覚の回でした。お兄ちゃんはロリコンじゃないよ、本当だよ。ただ悠里が特別なのさっ。みたいな。
さてさて、気づけば中学生部分も長くなりました。
最初は同級生編がなかったんですけど、これに加えて2年と3年でもイベントがあるので多分中学生編が一番長くなります。




