6
「悠里ちゃん、何してるの?」
「鶴を折ってるの。実代お姉ちゃんも、やる?」
「じゃなくて、なんで公園で鶴を折るのよぉ」
公園で知り合った彩ちゃんと実代ちゃんは(心の中ではともかく実際には年下にお姉ちゃん…はぁ。まぁいいけど。にしても二人ともなんか聞いた気がする名前なんだよねぇ。ずっと考えてるけどずっと思い出せない。)あれからもちょくちょく公園で会って仲良くなった。
二人とも兄弟は上しかいないらしく私を可愛がってくれた。
私的には私が面倒みてるんだけどなぁ。
「えとね、お母さんには内緒だよ」
「どぅして?」
「弟ができたの。だから無事に産まれるように千羽鶴を折るの」
「せんぱづる?」
「悠里って時々難しい言葉使うわよね。おませさんなんだから」
「え、えっと、千羽鶴ってのは、おまじない、かな。鶴を千羽折ってつなげるの。元気になってねって意味だよ」
「へぇ、悠里ちゃんって物知りだね」
「ま、まぁ、私の妹にしちゃ上出来ね」
お姉ちゃんぶりたい彩ちゃんはそう言って私の頭を撫でる。
私の方が年上だと言うプライドと、それでもあらがいがたい心地よさが争い、あっさりプライドは負けた。
私はだらしなく顔を緩める。
私は頭を撫でられるのが好きだ。友達にもよく撫でられてたし、恥ずかしい話しだけどお兄ちゃんやお母さんにもよく撫でてもらってた。
「う〜ん、悠里可愛い〜」
2歳の私に対し4歳の彩ちゃんは体格的に完全に負けてるから、私は彩ちゃんの抱きつき攻撃からは逃げられない。
「彩お姉ちゃん、鶴が折れないよぉ」
私は文句を言うが彩ちゃんはそしらぬ顔でふけない口笛をふく。
「ぴゅ〜」
「彩お姉ちゃん、できないなら私が教えようか?」
鶴を折りながらでよければと言うと実代ちゃんは驚く顔をする。
「悠里ちゃん、口笛ふけるの?」
「うん」
とりあえずアンパ○マンの歌をふいてみせる。
この年で、とは思ったけどあれはあれで色々見方があると思う。暇つぶしくらいにはなる。
「わ、凄〜い」
「む、私だって、ぴ〜!」
「口で言ってるし…」
「何か言った!?」
「何でもないよ」
私は眉をよせる彩ちゃんに笑いながら誤魔化す。
彩ちゃんは不満そうだけど、はっきり言って子供が怒っても可愛いだけだ。
まぁ腕力では勝てないんだけど、彩ちゃんはいい子だからそんなことしないしね。
「ね、私に教えてよ。一緒に鶴折るから、ね?」
「いいよ。彩ちゃ、彩お姉ちゃんはどうする?」
「ん〜…鶴、ってさ、どうするのよ?」
私はくすくす笑う。やっぱり子供は可愛いなぁ。