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二度目の私  作者: 川木
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「そーだ、お兄ちゃん聞いてー」

「何ー?」

「こないだ優生がもうお姉ちゃんとお風呂入らないって言って姉離れしちゃったのー」

「…ていうか、まだ入ってたの?」

「優生10歳だしセーフでしょ」

「いやー…今5年だよね。そろそろやめた方がいいと思うな」

「そっかー」


まあ、仕方ないよね。仕方ない。仕方ないのはわかってる。


「はぁ」


でももう一ヶ月以上優生とお風呂にはいってない。もう二度と一緒に入れないと知ってたならもっとぎゅっとしたのに。

最近は家の中でぎゅっとするのにもつれないし。5年生になってから急にだよ。


「あ」


私か操作してたゲームキャラが死んだ。今は二人でアクションを協力プレイ中。


「ほら、よそ見するから」

「むむ…もうやーめた。このゲーム飽きた」

「新しいやつなのに」


もう、と口先で叱りつつも私が放りだしたコントローラーを片付け、ゲームをセーブして片付けるだすお兄ちゃん。さすが優しい。


「お兄ちゃん、お仕事はどう?」


ゲームを切ったので暗くなったテレビのチャンネルを回しながら尋ねる。


「少しは慣れたよ。大変だけど、やり甲斐はある」


教師生活一年目のお兄ちゃん。忙しいだろうから先月は部屋を訪ねなかったけど、どうやら順調らしい。わかってたけど一安心だ。

付き合いが長い分前回よりずっと仲良しなので、気が向いたらアポなしで部屋に突撃して一時間くらい一緒にゲームするのが日常だ。

前回は大学に入る時にゲームは卒業と言って本体ごと私にくれたお兄ちゃんだけど、今回は相手がいるからか現役でゲーマーだ。お兄ちゃんにもらってハマった私なので好みはまるきり同じなんだよね。


「悠里ちゃんこそ、学校には慣れた? 凄くいいところらしいけど…女子校だから噂程度にしか知らないんだよね」

「凄いよー。温水プールちょー広い。飛び込み用とかも別にあって好きに使えるし、他にも色々施設がとにかく充実してるよ」

「へぇ…いいなぁ。水泳も長いことしてないなぁ」

「高校入ってからやめたから…7年も泳いでないんだ?」

「夏に何度か行くくらいかな。それも今年はいけなさそうだし…年々体力が落ちてるよ」

「ふーん…よし、じゃあ明日の夜、一時間くらい市民プールに泳ぎに行こうよ」

「え…明日って…。普通に仕事が…」

「明日も今日と同じくらいならいけるでしょ。明後日は休みなんだから平気でしょ」

「生徒は休みでも教師は色々家でもやることが…」

「駄目。行くの」

「…わかったよ。行こうか」

「うん」


教育実習とかしてお兄ちゃんは能力的には問題ないだろうけど、新社会人で慣れない環境でしかも生真面目だから疲れてるはず、たまには強引にでも気分転換は必要だ。

それに


「全く。週に3日も泳いでるのにまだ足りないの?」

「7年ぶりにお兄ちゃんと泳ぎたくなったの。競争しようよ」

「もう勝てないかもなぁ」

「ふふ。もちろん、勝つわ」


私も少し、楽しみだ。お兄ちゃんとは部屋でダラダラしてばかりだから。

まあ、肉体的には疲れるだろうけど? たまにはいいでしょ。












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