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「あ、あっちー、あれ見ー」
「どれー?」
「ま、待ってくださいー」
二人は元気にパタパタ走り回るようにあちこみ見ていて、桃子ちゃんはそれに必死について行ってる。
別に無理しないでのんびり見ても後で合流すればいいんだけど、まあ本人はあれで楽しそうだしいいんだろう。
…ん? あれ、私が一人になったら親睦深められないんじゃない? ……探しに行くか。
「……」
と、葉子ちゃんだ。入ってからもしはぐれても3時に売店の入口に集合と決めてからすぐにどこかへ行っちゃったんだけど、もしかしてずっとここにいたのかな?
「……」
葉子ちゃんはクラゲをじっと見ていた。仲良しになる第一歩として隣に並んでみた。
「葉子ちゃん」
「…悠里」
「クラゲ、好き?」
「好き」
「そうなんだ。クラゲってふにゃふにゃしてて何となく可愛いもんね」
テレビの映像で海辺にたまってるのとかはともかく、このあたりのは柄があったりひらひらしてたりして可愛らしい。触ってみたくなる。
「……」
「触ってみたくなるけど…そういうのってできないのかな」
「駄目」
「ん?」
「クラゲは繊細な生き物だから。それに毒を持っているのも多い。よくいるミズクラゲはそうでもないけど、カツオノエボシなんかは危険だから、見分けられないなら海で見かけても触らないほうがいい」
「そ…そうなんだ」
「そう。クラゲは、腔腸動物の一つで大きく分けて二つのグループに分かれる。刺胞動物と有櫛動物。刺胞動物が刺胞を持っていて、いわゆる刺すクラゲのこと。有櫛動物は触手を持っている種もあるけど刺胞は持たない、刺さないクラゲのこと。クラゲは一言で言うと、からだの約95%が水分で、考える脳がない、プランクトンなの。 透明なのは体がゼラチン質でできてるから。基本的に………ごめん」
あまりに流暢に話す葉子ちゃんに呆気にとられていると、我に返ったようにはっとして葉子ちゃんは口を閉じた。
その横顔は薄暗くてよくわからないけど照れてるような気がして、言ってることはよくわからなかったけどクラゲが好きなのはよくわかった。なんだか
「可愛いなぁ」
思わず呟くくらい可愛い。あの無口な葉子ちゃんが、クラゲに夢中になって我を忘れるくらい饒舌になっちゃうなんて、可愛い。
「…可愛い?」
「うん」
「…悠里、クラゲの可愛さ、わかる?」
「ん? うん、葉子ちゃんみたいに詳しくはないけどね。あっちのとか、綺麗だよね」
クラゲを可愛いと言ったと思われたかな? でも見てる分には綺麗で可愛いとは思うし、わざわざ否定する必要もないから隣の種類のを指差して言う。
円状の縦長い水槽の中を数匹のクラゲが浮いていてライトアップされてととても綺麗だ。
「……悠里」
「ん?」
「あっちも、見よ」
葉子ちゃんは私の袖を引いて促してきた。他のクラゲが見たくなったのかな。
ライトの色が変わるみたいだから色が一周するまで見てみたいとは思ったけど、それより葉子ちゃんにクラゲのことを聞いてみたいという思いが勝った。
「うん、もしよかったらクラゲについて簡単に説明してもらってもいい? 難しいことはわからないけど」
「いいよ」
頷いた葉子ちゃんはいつになく上機嫌に見えた。
本当にクラゲが好きなんだなぁ。
○
作者はクラゲには詳しくありません。説明はコピペです。




