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「ほわあ…疲れた」
一通り回って食堂の2階のカフェエリアで休憩となり席につくなり息をつくと、二人にくすっと笑われた。
「悠里、陸では体力ないわね」
「むー、体力は陸でも変わらないよー。疲れてるのは…気疲れ?」
「なに言ってるのよ。私と一緒にいて気疲れするなんて、生意気よ」
「どういうことよ。そりゃ私、泳ぐ以外は運動は苦手だけど、体力だけはあるんだから」
「ふふ、悠里ちゃん、はしゃいでたから疲れちゃったんだね」
「うん。ここ凄い。テンションあがる。図書室とか、市立図書館より断然大きいよ」
5階建ての一棟が丸々図書室とかハンパない。まじパないわ。
室内プールも凄かった。飛び込み台もあるし、別の階にはスケート場もあったし。
「ここの施設は中学から大学院まで共有だからね。夏には何度か幼等部の子もプールを利用したりするしね」
中学高校はこの場所にあって、大学と院は通り一つ離れたとこにある。幼稚園と小学校はまたちょっと離れたとこにある。だいたい全部近いから、施設を一カ所にまとめた方が良いものを用意できるってことなのかな。
話に聞いていたより凄くてびっくりした。この学校は凄いお嬢様学校だってのは昔から知ってたけど別世界みたいに思って全然知らなかったし。
「悠里は水泳部かー。もし大会とか出たら絶対応援するから頑張りなさいよ」
「ぼちぼち頑張るよ。そういえば二人はどうして部活は何も入ってないの?」
「入ってるよ」
「ちょっと実代」
彩ちゃんが実代ちゃんを窘める。
「えっ…は、入ってるの?」
初耳だし、彩ちゃんの態度はどうみても隠してたのを実代ちゃんがバラしたみたいな反応だ。
「うん」
「だ、だって…そんなの聞いたことないし。…どうして教えてくれなかったの?」
「……」
責めるような口調の私に彩ちゃんは気まずそうに視線をそらす。実代ちゃんはいつもとかわらずにこにこしたまま悪びれない。
「ごめんね。別に悠里ちゃんを仲間はずれにしたかったわけじゃないよ。ただ私たち、誘われて入った幽霊部員みたいなものだから」
「週に一度顔だすだけだし……わざわざ言うことないから。それだけよ。秘密にしてたとか、そんなんじゃないんだから」
「むー…納得いかない」
幽霊部員とはいえ、部活に入ったならまず話題の一つとして話してくれたっていいのに。そりゃ年上だし多少は壁があるのは仕方ないかもだけど、私は二人を親友だって思ってるのに。
「彩ちゃんは部活のこと好きじゃないから話題にしたくなかったの。でも一緒の学校だし隠せないから言った方がいいと思って。…怒っちゃった?」
「…ちょっとショックだけど怒ってるわけじゃないよ。でも…むむぅ」
わかるけど、納得はいかない。
だって……無理矢理いれられたって言っても毎週顔出すのに、全く話してくれないし。他のことなら自分から言ってくれるだけに納得いかない。
「ほら、頬膨らませないの。可愛いだけよ」
「ぶぅ」
彩ちゃんに頬をつつかれた。頬から空気が出て変な音がした。ちょっと恥ずかしい。
「ほらほら、よしよし」
「悠里ちゃんいい子いい子」
さらに二人がかりで頭を撫でられた。
「…むう。…もう。許すよ。許すけど、私、そんなに子供じゃないからね。別に頭を撫でられたから許すわけじゃないんだからね」
私は子供じゃないので、過ぎたことにいつまでも拗ねないのだ。だから寛容に許しちゃうのだ。
別に、二人の頭撫でテクが極上で気持ちいいからごまかされてる訳じゃない。断じてない。
「うんうん、わかってるわよ」
「まだ頭撫でた方がいい?」
「…うん」
ごまかされてる訳じゃないけど、気持ちいいから延長をお願いした。
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