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二度目の私  作者: 川木
44/172

40 中学生

「写真とるわよ。三人とも並んで並んで」

「はーい」


今日は私の入学式。

普段は昔と変わらず私と仲良しで慕ってきれる可愛い優生だけど、何故か彩ちゃんと実代ちゃんを苦手にしていて来てくれなかった。くすん。

まあ、朝家の前で写真とったしいいけどね。


校門前でパシャリとシャッターがきられる。


「はぁ…悠里ちゃんも、大きくなったわねぇ」

「6年前にも同じようなこと言ってなかった?」

「そうだった? 6年も前のことは覚えてないわ」

「そういわれると曖昧だけど…」

「悠里、そろそろ時間よ。体育館まで案内するわ」

「あ、うん。じゃあお母さん、また家で」

「行ってらっしゃい」









入学式の後は部活紹介とか色々あるけどそれは自由参加なので、私はそれを無視して彩ちゃんたちと学校探索に乗り出すことにした。

自由参加とは言え殆どが参加していて校舎には全然人がいないから、ちょっとドキドキする。


組分けとかは明日決まるので、クラスメートとは仲良くなれるかちょっと心配だ。みんな知らない人だしね。

もうみんな中学生だから変にでしゃばるべきじゃないって学んだから、まさかイジメられはしないだろうけど。


「まず、ここが私と実代の教室よ」

「……ああ、わかった。彩お姉ちゃんと実代ちゃんに用が出来たら来るよ」


最初に案内するっておかしくない?とか思ったけど何故か自信満々な感じだから頷いておく。


「用がなくても来ていいわよ」

「そうそう。お昼休みには一緒にご飯食べるしね」

「一緒に食べるのはいいけど、余所の教室で食べるのは…」

「教室? …ああ、食べるのは食堂でだよ。この学校は給食ってないんだよ。一年生はこの校舎の3階だから、悠里ちゃんが迎えに来てくれるのが都合いいんだけど、駄目?」

「あ…うん、わかった」


給食がないのは知ってるけど無意識にお弁当を想定してた。そういえば生徒は食堂が無料でみんなそこで食べるんだっけ?


「よし。じゃあ次は食堂を案内するわよ」

「はーい」


一階の二人の教室から渡り廊下を渡るとすぐそこが食堂だった。三階建て全てが食堂なのは驚きだけど、全学年が一斉に食べるんだからこんなものなのかな。

食堂は一階の入口からしか入れないからたしかに、私が降りた方が効率がいい。


「ここの食堂、結構美味しいのよ」

「へぇ。楽しみだなー」

「ねぇ、悠里ちゃん、悠里ちゃんは何かの部活に入るつもりなの?」

「うん。一応水泳部に。あるよね?」


一応パンフレットで確認したけど聞いてみる。何だかんだ言って、私って泳ぐの好きなんだよね。


「あるよ。悠里ちゃん、泳ぐの好きだもんね」

「悠里は泳ぎだけは早いわよね。陸では遅いけど」

「陸は余計だよ」

「次は図書室に行こう。うちの学校でも自慢の施設だから、きっと悠里ちゃんも気にいるよ」

「実代、仕切らないで。私が仕切るんだから」

「はーい、わかりました。さ、行こう」


実代ちゃんが彩ちゃんに頷いてから私を手を出してきたからギュッと握る。


「うんっ」

「だからーっ、悠里、私とも手を繋ぎなさい!」

「うぎゅっ」


腕に抱き着くようにして反対側の手を握ってきた。


「えへへ。さ、行くわよ」


照れ臭そうに笑う彩ちゃんは昔と変わらない素敵な笑顔で、私は凄く嬉しくなった。

大きくなっても変わらないものも、あるよね。











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