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「似合うわ」
「うん、とっても素敵だよ」
「えへへ」
手放しに褒められるとさすがに照れる。
今日は制服が出来たので二人にお披露目してる。わりと可愛いワンピースタイプの制服で、前に彩ちゃんのを借りて着たこともあるけど自分のはまた感慨深くて嬉しい。テンションあがる。
「悠里、次は体操服も着てよ」
「うぇえ? た、体操服は持ってきてないよ」
「なら貸すわ。今取ってくるわね」
「え、ちょっと…えー?」
制止も聞かずに彩ちゃんは部屋を出た。多分隣の服専用の部屋、ドレスルームに取りに行ったんだろう。
でもなんで体操服? 体操服は別に普通のだよね。袖にラインと校証入ってるくらいで。ていうか、友達の家で一人体操服になるとかもはやバツゲームじゃない?
「まぁまぁ、悠里ちゃんとやっと同じ学校で過ごせるから彩ちゃんも嬉しいんだよ。いいじゃない。付き合ってあげれば」
「そりゃ私も嬉しいし、付き合うのはいいけど…なんで体操服?」
「……さて、私も悠里ちゃんの着替え、用意してるんだけど着てくれるよね?」
「ちょっと実代ちゃん、露骨な話題転換、っていうかまた?」
「いいじゃない。悠里ちゃん可愛いんだもん」
実代ちゃんはにっこり笑って鞄の隣に置いてあった袋を取る。来た時から気になってたけど、やっぱり服か。
容姿でいうなら二人の方が断トツ可愛いんだけど、何故か二人は私を着飾らせるのが好きだ。等身大の着替え人形として遊ばれてる気もするけど、まあ私も普段なら手が出ない服とかをノリで着れて楽しいしいいんだけどね。
この二人に褒められると調子にのっちゃうから恐いわ。
「待たせたわね! 悠里!」
「おか…えー?」
彩ちゃんは両腕で抱えるほど服を持っていた。
「さ、まずは体操服よ」
「だから何で-」
「いいからほらほら」
着替えさせられた。
「うーん、いい感じね」
「いや…さすがに体操服は万人向けだし、似合うとかあるのかな」
「何言ってるのよっ。悠里、体操服がとっても似合うわよ。それこそキスしたくなるくらいにね」
「似合っても嬉しくないよ…」
頭を撫でられてほお擦りされた。
キスしたくなるくらいってどれくらいなのさ。彩ちゃんはスキンシップが激しくて頬に何度かキスされたこともあって、たまにペット扱いな気さえする。まあ、気のせいだよね。
「んふふー…悠里もついに、私と同じ学生ねっ」
「…うん。よろしくね、先輩たち」
「もちろん、よろしくしてあげるわ」
「楽しみだね。あ、悠里ちゃん、次はこれね」
「……また、短いの持ってきたね」
短かすぎるスカートを出された。前は二人のお古だったのに、最近は二人が着てるのなんて見たことない服を私に着せようとする。というか二人は基本お嬢様スタイルでふんわりスカートとかばっかだし、絶対お古じゃない。
「はい、着替えて着替えて」
「その次はこっちね」
実代ちゃんが私に服を渡す。私から離れた彩ちゃんもご機嫌に服を私に向ける。
二人とも、楽しそうだなー。
「わかったよ」
まあ、楽しいし、深く考えるのはやめよう。
○
次回から中学生です。