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「とゆー訳でハブられた。助けて、エスパー彩姉!」
「誰がエスパーよ」
「じゃあ預言者。だってどんぴしゃだったし」
「あんたが楽観的過ぎなの。悠里は可愛いししっかりして割と何でもできるから、嫉妬とかされやすいの。気づいてなかったでしょ」
「んー。優等生な自覚はあったけど。小学生なんて成績二の次で基本的に単純なイメージだし、まさか嫉妬されるとは」
「おい、現役小学生おい」
「まあ、悠里ちゃん自身はその通りだから、他の子もそうだと思っちゃっても仕方ないよね」
あれから一週間後に予定が会ったので最近は恒例化してる彩ちゃん家のお茶会に招かれて、私は冗談まじりに現状報告をしていた。
「それにしても鈍いわよね」
「悠里ちゃんは幸せな頭をしてるから、人の悪意に鈍感なんだよ」
「凄いこと言われた」
「ん、褒めてるんだよ。私、悠里ちゃんのそういう駄目なくらいに善良なとこ、好きだよ」
「駄目なんだ…」
「ま、馬鹿正直でとことんお人よしよね。確かに私もそこが好きだけど、のんびりばっかしてたらつけこまれるわよ。もう遅いけど」
「んー。まあただ無視されてるだけで実害ないし、次から気をつけるよ。ありがとう」
あまり褒められてる気はしないけど、一応警告してくれるみたいだしお礼は言っておく。
「そうしなさい。そうだ、辛かったらウチに転入しなさいよ」
「しないよ。するくらいなら引きこもる」
「それもどうかと思うけど」
「とにかく。あたしらは絶対、悠里の味方だからね」
「そうだね。本当に嫌になったら、逃げたっていいんだからね」
「ありがとう。二人とも、大好きよ」
「ふふ。私も悠里ちゃん大好きだよ。本当に妹みたいに思ってる」
「ふん…悠里は本当、手のかかる子なんだから」
「えへへ。彩お姉ちゃん、大好き」
「な、なによ…」
「彩ちゃんだけ二回でずるいー」
「もちろん、実代ちゃんもだーい好きだよ」
こんな三角関係なら大歓迎なのになぁ。あー、面倒くさい。
○
「おい悠里」
「なに?」
「お前…女にハブられてねぇか?」
「…空気読まないねぇ」
いや、気づかれるのは仕方ないとしてもさ。何も教室のど真ん中で大きな声で言わなくても…。大きいのが地声なのは知ってるけど。
「やっぱそうなのか?」
「うーん、色々あって?」
「なんで疑問形なんだよ」
「…まあ、言ってもいいか」
「おう、どんどん相談しろ」
「要約すると、武君がモテモテだから告られた私が嫌われてるの」
「…俺のせいか?」
ショックを受けて少し泣きそうになる武君に苦笑する。体は大きくてもやはり子供だ。
「気にしなくていいよ。武君がいるから寂しくもないしね」
「そ、そうか…じゃなくてだな。そういうことなら俺がいっちょ文句言ってきてやる。どいつが主犯だ? お前のためなら女でも俺は殴るぞ」
「やーめーなーさーい。武君が本気を出したら女の子は骨折します」
「そこまでしねぇよ」
「駄目。私は大丈夫だから」
「むー」
「それに、本当に困ったことがあったら武君が助けてくれるんでしょ?」
「お、おう。どんとこいだ」
「なら平気だよ」
「…お前が言うなら、いいけどよ。でも無視だけじゃなくて嫌がらせとか受けたらちゃんと言えよ」
「わかったよ、ありがとう」
「おう」
にかっと笑う武君は、確かに私が同い年だったら惚れてたかも知れないくらい魅力的だった。
でも悲しいことに、私ってショタ趣味じゃないんだよね。キスくらいならしたっていいけど、純情な少年を弄ぶ悪女になっちゃうし、やっぱ付き合うのはなぁ。
…あと、教室の空気がありえないレベルで不穏になってしまった。
男子からは私、ボスの女的扱いだし、女子からはチクりやがったなってとこか。
あー、これは、卒業までに一波乱来そうな予感。
○
主人公は細かいことは気にしない主義ですが、小学生は年下だという思いが強いので付き合ったりはしません。




