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二度目の私  作者: 川木
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パンッ


現実は昼ドラだった。


叩かれた頬がじんじん痛む。ちょっと信じられなくて頬に手をあてると明らかに熱を持っていた。


槇ちゃんを筆頭に5人の女の子に囲まれていた。


「悠里ちゃんは酷いよ! 今までずっと友達だと信じてたのに!」

「…私が武君を好きって言ったの聞いて、本当はおかしく思ってたんでしょ! 武君は自分に気があるって私を馬鹿にしてたんでしょ!」

「違-「言い訳なんか聞きたくない!」

「悠里ちゃんさ…いつもいい子ちゃんぶってるくせにお腹の中真っ黒じゃん」

「まじサイテー」

「前から気にいらなかったんだよね。男にも媚びてるしさ」


…何でこうなってるのかわからない。私はこれからイジメられ人生になるのか。

ああ、どうしよう。どうすればいいのか全然わからない。


「あの-「とにかくもう武君には近づかないで」

「あと女子はみんな祐巳の味方だから」

「今日からあんた、ハブだから」


………。そういえば当たり前だけど昼ドラって現実にも有り得るレベルのイジメとかの問題が使われてるんだっけ。最近のドラマが過激になるのは現実が酷くなってるからとか誰かが言ってたなぁ。

反論する機会も与えられず、ひたすらに罵倒され、私は取り残された。


「これは…本当、まいったなぁ」









「おーすっ」

「タケちゃん、また奥さんと登校かよ」

「アツアツだな」

「うっせぇばーか」


武君との登校も5日目になると男子は冷やかしつつも温かいくらいだ。それとは逆に、女子からは冷たい視線が向けられる。


「おはよう」

「……」


学校で一番親しい友達だと思っていた子は泣きそうな顔をしながら、私の挨拶を無視して席をたち、祐巳ちゃんのところへ行ってしまった。


「ん? なんだありゃ。感じ悪いな」

「あー、ちょっとね」

「なんだ? 困ってんなら言えよ」

「ありがと」


私はもともと、祐巳ちゃんたちと仲良しグループだった。でも私は男子とも仲がよくて四六時中べったりではないから親友ではなかった。

あの二人が特別なのだ。幼い時なんて特に、一緒にいること、共有することが=仲良しの証明だ。

クラス全体を仕切るのはできたし、女の子とはみんなお話くらいするから、まさか嫌われてるとは思わなかった。

でも考えれば、小さな時はともかく今の私がクラスを仕切れたのは武君の存在が大きかったんだろう。私が思う以上に彼は人気者だったんだ。

男子はまだいい。だけど女の子の半数以上が私が馬だから仲良くしていて、馬が将を射てしまったから半数以上が私を嫌い、嫌いではなくても和を好む女の子は過半数に押されて、私を避ける。どうやら完璧に女子を敵にまわしたようだ。


こうなったらしょうがない…気にしないことにしよう。

幸い男子の態度はむしろよくなったし、会話相手には困らない。所詮子供のやることだ、そのうち飽きるでしょ。

そうでなくてもあと半年もしたら卒業だ。そうしたら関わりもなくなるしね。


「おはよー。番長、武。今日も二人で登校か?」

「まあな」

「おはよう、佐藤君」











二回目だからってなんでもかんでも上手く行くとは限りません。むしろ、上手くいかないことの方が多いです。人生はそんなものです。

年をとればいいってもんじゃないですよね。色んな意味で。


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