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二度目の私  作者: 川木
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「悠里ちゃん」

「あ、実代ちゃん。久しぶりー」


学校帰り、たまには優生と遊ぼうかなと早めに帰宅してる途中で実代ちゃんに会った。


「会えてよかった〜」


にこにこと私に駆け寄る実代ちゃんは、指定鞄こそ持ってないけど通ってる私立の制服のままだ。

そんなに慌てて何かあったのかな? 悪い知らせではなさそうだけど。


「どうかしたの? 約束は明後日だよね?」


二人は習い事をたくさんしてるのもあって、

いつも毎週土曜日に遊ぶ約束をしてる。


「あのね。実は明後日、彩ちゃんのお誕生日会なの」

「ええ!? 彩ちゃんの誕生日は来週でしょ?」


さすがに大したことはできないけど、誕生日前日くらいに会う時にお母さんにお願いしてケーキを作ってもらって、毎年細やかなプレゼントをしている。勿論実代ちゃんにも。


今年は来週だから私は彩ちゃんの似顔絵を書いてる途中だ。

子供だましと言うなかれ。私は7才で彩ちゃんは9才に予定だ。


「うん。いつもは当日にパーティなんだけど、子供はおじさまの都合で早くなさることになったの」

「そうなんだ」


でも、それってわざわざ来なくても電話で済むよね?


「でね、悠里ちゃんも来ない?」

「え?」


何ですと?


え、二人のパーティってあのパーティだよね? ホテルの会場とか使うのだよね?


「大丈夫。ドレスなら、私のお古でよければ貸すよ」

「え、えー…」


二人がイイトコのお嬢様なのは知ってるけど……まさか私が行くとは思わなかった。


「彩ちゃん、パーティあんまり好きじゃないんだけど、悠里ちゃんが来てくれたらきっと喜ぶよ」


正直、遠慮したいけど…彩ちゃんの誕生日は祝ってあげたい。


「わかった、お願いしてもいいかな?」

「うん! 実は、悠里ちゃんの分の招待状はもう用意してあるんだ。言うのが遅くなってごめんね。用意に手間取っちゃったの」


く…なんかいきなり敷居高い。とりあえずこれだけは言っておこう。


「私、例年通りの安物プレゼントしかないからね」

「勿論。悠里ちゃんからのプレゼントなら彩ちゃんは何だって嬉しいよ」


彩ちゃんが喜んでくれるのは知ってるけど……本当に大丈夫なの?







結局、来ることになった。私の年齢なら普通は親が付いてくるものだと思うけど、実代ちゃんはお母さんから信頼されてるから許された。

マジですか。いやまぁ、誕生日会と言えばそうだけど…絶対規模違うよ。


「はじめまして、悠里と申します。彩乃さんには日頃からお世話になっております」


借り物のドレスのスカートの裾を持ち上げ、即席お嬢様として挨拶する。


ほらね。何だよ、レストラン貸し切りとかふざけてんの?

あまりの格差にやさぐれた。ああ、いけない。いくら金持ちでも二人は友達なんだから。


「ああ、君が…彩乃から話は聞いているよ。小さいのによくできたお嬢さんだ」

「ありがとうございます」

「悠里。よく来てくれたわね」


にっこり笑う彩ちゃんは、ドレスは勿論うすく化粧もしてる。実代ちゃんの時も思ったけど、こうして見ると住む世界が違う気がする。


近所だからってよく子供だけで遊びに出れてたわね。

最初のころは実は近くに車とめてボディガード的な人が見てたらしいんだけど、小学生からは普通に子供だけで会えたし。

あ、ちなみに我が家に遊びに来てた時も側に車とめてたらしい。

二人に聞くまで全然気付かなかった。


「お父様、悠里たちと遊んでもいい?」

「ああ。挨拶もすんだしな。行ってきなさい」

「はい!」


3人で大人たちから離れて移動。

にしても二人の両親と会ったけど、結構な美形だったなぁ。うむぅ、将来私だけ引き立て役になりそうな予感。


「悠里ー!」

「ふぎゃっ。え? え?」


何で抱きつかれたの? あれ? さっきまでの年不相応な態度は?


「悠里可愛いー。実代のを借りたのね」

「うん、お誕生日おめでとう」

「来てくれて、ほんっとに嬉しいわ!」


こんなに全力で喜ばれると私も嬉しい。


「実代、ありがとう。サプライズプレゼントね」

「えへへ。言うと思った。でもちゃんとプレゼントは別にあるよ。はい」

「私も…ちょっと庶民的で申し訳ないんだけど」


似顔絵……身内でもないんだから、安くてもせめて市販品の方がよかったかな。


「ありがとう、実代。つけるわね。さて、悠里は…わぁ、ありがとう。悠里は絵がうまいのね」

「彩ちゃん良いなぁ。悠里ちゃん、私の時もお願いしていい?」

「う、うん。勿論」


優しいなぁ、二人とも。小3とは思えな……普通の小3は友人に万しそうなアクセサリーを贈らないと思う。

しかも普通につけてるし、スルーだし、実代ちゃんもそのこと気にしてないし。


私の器が小さいのかなぁ?

まぁいいや。


「にしても実代だけずるいわ。あたしも悠里を着飾らせたかったな〜」

「じゃあ来週しようよ。余ってるドレスを捨てるより悠里ちゃんにあげた方が、リサイクルだよね」

「そうね。お古で悪いけど、サイズが入らないだけで綺麗だし大丈夫よね」

「うん。悠里ちゃんもいい?」


いつの間にか二人の着せかえ人形決定?


「う、うん。楽しみだなー」


まぁ、いいけどね。



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