18
あれから…14年がたった。私ももうすぐ18歳。しかし死ぬとしても後悔はない。
だって、優生が生きているのだから。
ああ…本当によかった。よか―
「ねーね、ねーねぇ」
「ちょっ、優生。人がモノローグにひたってるんだから邪魔しないでよ」
「? ねーね、あそぼ?」
はい、嘘です。優生はまだ2歳だし、私は5歳です。
ああっ、怒らないでよ!? だってもうすぐ問題の8月! 否が応にも緊張するわ!
え? 今まで? そりゃ彩ちゃんと実代ちゃんが小学生になったり、私が園児になって精神年齢からしてまとめ役になったりしたけど、別に特別なことはなかったから省略。
「あそぼ〜?」
くっ、しかし優生可愛すぎ! 段々舌足らずながら話せるようになったし。しかも私のこと『ねーね』って!
「うん、じゃあね、なにしよっかー?」
「ぶーぶ、しゅゆ」
「はーい、じゃあ私が赤のぶーぶね。優生は?」
「ゆーき、あおなの」
優生のミニカー入れから赤と青をだす。
何が楽しいのか全く理解できないが、ミニカーを動かして楽しそうな優生が可愛いのでよし!
「ぶーぶ、ぶぶー、どかーん」
あ、私の車ひかれた。
「悠里は、本当に優生が好きだな」
「昔っからよね。進んで面倒みて、ママの役目なのにねぇ」
ダイニングテーブルに座って私たちを見ていたお母さんとお父さんが微笑みながらそう言う。
「別に役目をとりたいわけじゃないけど…でも優生可愛いんだもん!」
「わかってるわよ。毎日お手伝いしてくれて凄く助かってるわ」
「えへへ。だって私、お母さんも大好きだもん」
「パパは?」
「ん、勿論パパもだよ」
くい、とひっぱられて振り返ると優生がこてんと頭を倒す。
「ゆーき、ねーね好き。ねーねは?」
「…! 勿論好きだよ! てゆーか愛してる!」
てゆーか可愛いすぐる!
私はぎゅうっと優生を抱きしめる。
「母さん…悠里の愛に露骨な温度差を感じるんだが…」
「その分、私が愛してあげるわよ」
「母さん…っ」
「あなた…っ」
背後のバカップルは無視する方向で。
「と、そうだ。来週、海に行かないか?」
「あら、いいわね」
「優生もそろそろしっかりしてきたしな。それに…今年の夏は暑い」
「あれよね、おんだんか?」
「そうそう。なぁ悠里、悠里は泳ぐの得意だし、海に行きたいよな?」
「……」
「? 悠里?」
…やばい。きた。海フラグきた。
……いや、でも大丈夫。
だって、私泳げるもん! 今度こそ優生を助けるんだ!
「ううん。大丈夫。行く! 海に行くわ!」
「よし、じゃあ昼飯食べたら水着買いに行くか」
「おー!」
あれ、てゆーか海に行かなきゃいいんじゃない?
と思いあたったのは、すでに明日海に行こうとなった前夜だった。
なんて迂濶!
まぁ…とりあえず明日頑張ればいいよね!
お休みなさ〜い