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「お、悠里じゃーん」
「ん? あ、こんにちは」
二人と久しぶりに公園で遊んでいると、お兄ちゃんと浩樹君が通りかかった。
「お友達?」
「うん」
「悠里、このおじさんたち誰よ?」
「お、おじさん!? ちょっ、俺ら中学なのに!?」
あー、まぁ、私たち幼児だしね? 元気だせ浩樹君。
「おじさんじゃない」
「彩ちゃん、そんなこと言っちゃっだめだよ。お兄さんって言わなきゃ」
「ふん…悠里になれなれしいやつはおっさんで十分よ」
わー、何か知らないけど彩ちゃんにモテモテな私。
「えっと、友達の彩お姉ちゃんと実代ちゃん、お隣の高文お兄ちゃんとその友達の浩樹君。おっけー?」
「OK、高文お兄様に浩樹さんだね」
全員の紹介を軽く指差しながらすると実代ちゃんが異様にいい発音でオッケーと言った。
英語も習ってるんだっけ。二人はいくつか習い事をしてる。
にしても…私に合わすにしてもお兄様ですか。
「高文と浩樹で十分でしょ。あたしのことは彩乃さまでいいわよ」
彩ちゃん…また極端な反応を。
「彩ちゃん…」
実代ちゃんが苦笑しながらなだめるように肩をたたく。
「むぅ…わかったわよ。特別に彩乃ちゃんでいいわよ」
相変わらず、二人って全然タイプ違うけどいいコンビだよね〜。
「えー、と…彩乃ちゃんと実代ちゃん、だね。よろしく」
「はい、よろしくお願いします、お兄様」
「お…ちょっ、何でお前だけお兄様!?」
「し、知らないよ!」
いや、そんな喧嘩しなくても…浩樹君、そんなに妹が欲しいんだ。
今度呼んであげよう。
浩樹君は忌々しげにお兄ちゃんに掴みかかってた手を離して、落ち着くためかふぅと息をつく。
「しかし、今日は駄目か」
「ん、ああ、勉強?」
「うん。テスト近いから。でも無理しないでいいよ。自分たちで勉強するから。行こう、浩樹」
「おう、じゃーな、ちびども」
「あ、ちょっと待って、お兄ちゃん」
「?」
「夜なら行けるよ。窓、あけとくね」
「あ、わかった」
学生二人を見送って幼女二人を振り向くと、彩ちゃんがむくれていた。
「ど、どうしたの彩ちゃん! 突発性おたふく風邪!?」
「おたふくとかじゃなーい! 悠里! 男の家に夜行くなんてダメー! おとこはおおかみなのよ!」
ほっぺたを限界までふくらませて怒ってたらしい。
「そうだよ悠里ちゃん。私たちだって悠里ちゃんと昼しか遊べないのにー」
実代ちゃんは実代ちゃんでむぅと機嫌悪そうだ。
わー、何故かモテモテ。ぷりてぃ幼女が相手なら大歓迎です。
「可愛いー!」
てなわけで抱きつきました。
と言っても二人のが大きい。かなり。なので抱き上げられてしまった。
「悠里ー、あんた男に嫁いじゃ駄目! 悠里はあたしのなの!」
「駄目だよ彩ちゃん、私だって悠里ちゃん好きだもん」
私…男だったらなぁ。
幼なじみとの幼児の約束が大きくなっても覚えてて三角関係とか、面白いのになぁ。
…来年幼稚園に行ったら、男友達つくろうかな。