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二度目の私  作者: 川木
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「誕生日おめでとう」


みんなから毎年言われる言葉だけど、今年聞くのはすごく辛かった。

あとちょうど一年だ。年齢を祝われるとどうしても意識してしまう。


「はい、悠里さん、プレゼントよ」

「ありがとう、読ちゃん」


読ちゃんはリボンがかかった本を渡された。中々年季のありそうな本だ。タイトルは…


「魔術ノススメ…?」

「魔術書よ。かなり貴重な物だから、扱いには気をつけてね。あと売り払ったら駄目よ」

「そんな貴重な物、いいの?」

「初心者向けで、中身は全部覚えたもの。あなた、本好きでしょう? 特別に差し上げるわ」

「ありがとう。後で読むね!」


いかにも怪しげで胡散臭い匂いがぷんぷんするけど、そういうの大好物です! この古いつかした感じが本物っぽくていいねぇ。ロマンを感じる。


「ん、プレゼント」

「お…今年はどんなかな?」


葉子ちゃんからは恒例になりつつある、丸めてリボンで止めた画用紙を渡される。

葉子ちゃんは私に限らず、誕生日には絵をプレゼントするようになった。


「開けて」

「どれ…おおっ、これはまた…凄いね」


学校の近くの通学路をみんなで歩いてる絵だ。みんなは、みんなだ。今いる3人だけじゃなく玉恵ちゃんたちや、彩ちゃんと実代ちゃんもいる。

こんな事実はなかったから葉子ちゃんの想像のはずなのに、本当にあったみたいで写真を加工して絵にしたみたいに上手い。塗りも丁寧だし、また腕をあげたなぁ。


「ありがとう。大切に飾るね」

「ん」


絵をプレゼントはかつて私もしていたけど、比べものにならない。昔の私にやめろ!と言いたくなるレベルだ。


「読は怪しいボロ本だし、葉子はいつもの絵か…ふっ、勝ったな! 悠里! 真打ち登場だよ! ほらどーん!」

「あ、ありがとう」


どーんという掛け声に反比例するように、そっと30cmくらいの大きさの箱を渡された。

るいちゃんからのプレゼントは予想がつかない。なんだろう。


「行くぞ、じゃんじゃじゃーん!」


テーブルに置いて開く前に、るいちゃんは私の手の上でリボンを解いた。自分で開けちゃうんだ。


「お…ケー、キ…」

「ちょっと、よく私のプレゼントをボロなんて言えたわね」

「るい、どこで落としたの?」


ケーキは…なんというか、見るも無残な形をしていた。土台もでこぼこでデコレーションはぐちゃぐちゃでデコって見えないし、トッピングのイチゴは不規則に転がってる。

確かに落とした、と言われても納得だけど…それにしても傾いてるわけでもないし、単に作りが荒いのか?


「ふふん! なんとあたしがつくったのだ!」

「ええ!? 本当に!? 凄いじゃない!」


ちょっと下手くそだな…と失礼ながら考えたけど、るいちゃんが作ったなら話は別だ。

漫画みたいに爆発する!なーんてことはないけど、あまりに大雑把つくるからクッキーが固焼き煎餅よりなお固い、ていうか食べれないレベルだった。本人だけはバリバリ食べて我ながらイケるじゃんとか言って直す気はないようだったから放置しておいた。

なのに、ちゃんと柔らかそうなケーキだ! 形は悪いけど、甘すぎる匂いもしない。


「でしょー。早速食べようぜっ」

「うんっ」


箱を置くとるいちゃんが楽しそうにナイフを構えた。


「ナイフにゅーとうっ」


あ、それもするんだ。いいけど。ちなみに、一回切るたびに拭いてお湯につけると、切れ味ましてナイフに残ったクリームがついてべちゃっとなったりせずに綺麗に切れるよ。


「…るい、大雑把」

「これ、モザイクかけないで大丈夫なの?」

「あははっ、モザイクとか! なに言ってんの」


18禁グロ画像並にぐちゃぐちゃと言われたのに気づかずに笑い飛ばするいちゃん。


「はい、悠里にはいちばーんおっきいとこね」

「悠里さん可哀相。誕生日に罰ゲームなんて…るいさん、やるわね」


…ツッコミずらいからスルーで。


ケーキが配られ、いただきますと号令をかけると三人とも私を凝視する。


「…な、なに?」

「プレゼントの反応って気になるじゃん。早く食べてみてよ」

「悠里さん早く味見してよ」

「毒味…お願い」


二人とも露骨に言うな! …純粋なるいちゃんが可哀相になってきた。切った断片も見た感じ、前にホットケーキつくって生だった時にくらべて火は通ってるし、マシだと思うんだけどなぁ。


「あーん」


とりあえず食べた。


「んー」

「ど、どう?」

「…うんっ、美味しいよ。るいちゃん、やればできるじゃない!」

「そ…そう? でへへ。いやぁ、るいさんが本気出せばこんなもんよ!」


ちょっと生地がぱさついてるしクリームは混ぜすぎたみたいだけど、甘いし、食べれる! 前のクッキーに比べたら段違いにレベルアップしてる!


「じゃあ私も」

「いただきます」

「いっただっきまーす! …うん! うまい!」

「…なら私の分あげるわ」

「……私のも、あげる」



ケーキを食べて笑顔になったるいちゃんだけど、二人が一口食べてお皿ごとるいちゃんに押し付けた途端、しゅんと肩を落とした。

ふ、二人とも…あからさまに拒否しないでよ。そりゃ、お店のに比べたら美味しくないけど、せっかくるいちゃんがつくってくれたのに。


「…悠里ぃ…本当は、美味しくない? …まずいなら、無理すんなっ。あたしにゃ美味しいからさ!」

「美味しいよ。るいちゃんの気持ちがつまってるもん。二人が食べないなら、私が食べちゃおうかなー? 私へのプレゼントなんだし、いいよね?」

「悠里…愛してる!」


そんな感激されても…。プレゼントだし、普通だと思うんだけど。


「はいはい。食べるからくれる?」

「うんっ」


こんな笑顔が見れるんだから、とっても素敵な誕生日だ。感謝してもしきれない。

ただ…体重計に乗るのだけは恐いなぁ…。最後に太って死ぬとかは勘弁してほしい。











何事もなかったように最後の年が始まります。でもちょっとずつ主人公の心情は変化してます。


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