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昨日決めたこと。
外では今まで通り。ただし腕を組んだりむやみに接触しないこと。
恋人っぽくいちゃついていいのはお兄ちゃんの部屋でだけ。いちゃつく時はカーテンを閉めること。
恋人がいるとは言っても相手を言うのはNG。内緒にすること。人前では今まで通り幼なじみの兄妹として振る舞うこと。
基本はこの3つだ。あといくつか言ったり言われたりしたけどこの3つがメインだ。こんなの楽勝だよね。
今日は休日。午前中だけ部活してご飯食べてから帰って即効お兄ちゃんの部屋に来た。
「制服姿は久しぶりだね。相変わらず可愛いよ」
「お兄ちゃんも格好いいよ」
「…ふふ」
「…えへへ」
ベッドに座るとお兄ちゃんは私にくっつくように隣に座った。おおう。地味にドキドキする。あ、今なら言えるかも。
「お兄ちゃん」
「なに?」
「す…………あの、す……はぁぁ。なんでもない」
ちょっと唐突だけど先日言えなかった『好き』を言おうとしたけど無理だった。察したらしいお兄ちゃんはぽんと私の頭を撫でた。
「無理しなくていいよ。わかってるから」
「…ありがとう。でも私が言いたいの。…言えないけど」
「待つよ。だからゆっくり頑張って」
「はぁ…なんでできないんだろう。本当に不思議なんだけど」
「照れてるんじゃない? 可愛いよ」
「…照れ照れ」
照れつつ、でもホント、なんで言えないんだろ?
好き好き好き好き好きっ好き、あーいーしーてるっ。とか心の中では余裕で言えるのになぁ。
「ねぇ、悠里ちゃん」
「なぁに?」
「この間からゲームしてないけど、気をつかわないで普段通りでもいいよ?」
「え…いや、まあ…じゃあ、しようかな」
別に、気をつかってるとかじゃなくて、単にお兄ちゃんと一緒にいるだけで何だか楽しいから忘れてただけなんだけど。
まあ、今日はまだまだ長いし、いいか。
ゲームの用意をしてるとお兄ちゃんはいつものようにテレビに向かってクッションを二つ…何故か重ねた。
「今日は何するの?」
「ん、ああ、そういえばこの間はゲーム片付けなくてごめん」
「いいよ。気にしないで。今までにも寝ちゃって僕が片付けるのはよくあったでしょ」
「そうだけどね。今日はこれ。ぼちぼちレベル上げするよ」
格ゲーだと集中しないといけないし。
「そう。さ、用意できたらおいで」
お兄ちゃんはクッションに座るとにっこり笑いながらあぐらをかいてる自分の太ももを叩いた。
「……もしかして、膝に乗れってこと」
「そうだよ」
「…さ、さすがにちょっと…」
「この間までやってたじゃないか」
「この間って…5年以上は前じゃない」
「僕にはついこの間。それとも嫌?」
「…その聞き方、ずるい」
嫌なんて、言うわけないってわかってるくせに。いつか無茶ぶりしたら全力で嫌って言ってやる。
私は電源をつけてコントローラを握ったままお兄ちゃんに向かってお尻を下ろした。
お兄ちゃんは私の脇の下から腕を通して私を抱きしめて、頭に顔を押し付けてきた。
「重くない?」
「いい匂いがする」
「……」
お兄ちゃん、絶対ゲームさせたのもこれが目当てでしょ!
「軽い軽い」
「本当?」
「いつも運んでるんだから楽勝だよ」
「…というか、前から私のこと意識してたんだよね?」
「うん」
「…寝てる私に悪戯とかしてないでしょうね?」
「してないよー。せいぜい抱き上げた時にぎゅっとしてたくらいだし」
「……」
冗談で言ったのに。でもちょっと可愛いレベルだし怒れない、どころか照れる。
「ま、まあ…そのくらいなら、許してあげる」
「ありがとう」
抱きしめられてちょっとドキドキするけど気持ちいいからそのまま気を取り直してコントローラを操作してセーブデータをロードする。
「ねぇ悠里ちゃん」
「なにー?」
まず村から出てー、と。
「キスしていい?」
「…うん」
首を回すとお兄ちゃんはちゅ、と慣れたようにキスをする。
私もちょっとは慣れたし混乱はしないけど、ドキドキして気持ち良くてほわっとする。
「姉ちゃんいるー? …え?」
カーテンが開いた。
温度が高いから窓は開けたままカーテンだけ閉めておいた。今まで私とお兄ちゃん以外が窓から出入りしたことないし、ドアだけ鍵かけてれば大丈夫だと油断してた。
「あ…」
なんで優生が、こっちに来るの?
○
この辺から一応、優生と悠里と高文の三角関係になります。というつもりでしたがよく考えたら恋愛感情じゃないから三角関係とは言わない?ただの恋愛における障害ですか?
三角関係メインと言いつつ、実はそうじゃない気もしてきました。けど今までのでタグつける程度には三角関係してますから、タグはこのままでもいいですよね。




