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二度目の私  作者: 川木
110/172

凛1

「達也、鍵鍵」

「ん? 鍵忘れてたの?」


言いながら達也が鍵を開けたのでさっさと中に入る。


「そうよ。で、待っててお姉ちゃんに会ったの」

「お姉ちゃん?」

「悠里よ」

「あ、呼びかた変えたんだ。へぇ、いいな」


二人でリビングに入って鞄は床に置いてソファに座る。達也は黙って私の分のコーヒーをいれる。家に帰ったらミルクたっぷりのカフェオレが我が家の鉄則だ。


「達也も頼んだら? ありがとう」


カップを受け取ると達也はいつも通り私の隣に座る。


「ダメダメ。優生がちょーシスコンだもん。凛は女の子だからまだいいけど僕は絶対駄目だよ」

「やっぱり? ここ数年お姉ちゃんの話はしないけど、この間もついてきてたもんね」

「あいつ結構意地っ張りだし言わないけどね。僕が悠里のこと話題にだすだけで露骨に嫌がるし」

「どんだけ」

「まあ、わからないでもないけどね。僕も悠里みたいなのが姉なら自慢だし」

「だよね。覚えてる? 昔お姉ちゃんが殴られたこと」

「ん? ああ。覚えてるよ」


私は昔から、優しいお姉ちゃんのことは好きだった。病弱だったから遊んでくれる友達は少ないけど、お姉ちゃんは放課後だけだったけどいつでも遊んでくれたし、私が自転車に乗れるまで付き合ってくれたし、たまにお菓子をつくってきてくれた。


「僕は凛ほど悠里のこと大好きではないけど、あれがあってから凄い人だと思ってるし憧れてるよ」

「なによ、達也はお姉ちゃん好きじゃないの? あんなに優しいのに」

「優しいだけの人は沢山いるよ。病弱な僕らを外に出さないのも優しさの一つだし」

「なんか感じ悪ーい」


元々お姉ちゃんは好きだったけど、余所の学校のいじめっ子から守ってくれてからもっと好きになった。殴られて転んだのに全然やり返さずに結局言葉だけで追い払ったんだもんね。今でも覚えてるし、すっごいかっこよかったよー。


「だって普通、あんなことできないし」

「だから凄いんじゃん」

「凄いのは認めてるよ。優しいし好きだけど。でも優しすぎてちょっと距離感じるんだよね」

「そう?」

「わかんないならいいけど」


達也は苦笑しながらカップを傾けた。

んー、達也は昔っからひねくれてるよね。素直で変に愛想いいから、みんな騙されてる気がする。

お姉ちゃんも絶対ぬいぐるみ好きな純情少年みたいに思ってるよ。まあ半分はその通りなんだけど。


「達也は昔っから小難しいこと考えんの好きよね。あ、そうだ。お姉ちゃん恋人いるんだってー」

「え!? 本当に!?」

「…なにその反応? ははーん、実はお姉ちゃんが大好きなんでしょう」

「いや、そういう好きじゃないって。でも…本当に?」

「本当だよ。さっき本人に聞いたもん」

「うわー……いや、別にお姉ちゃんと付き合いたいとかはないけどさ…なんかショックだ」

「えー? なんで? 私はどんな人かは気になるけど、ショックとかはないよ?」

「そこは同性か異性かの違いだと思う。…なんというか、お気に入りのぬいぐるみに公式で恋人キャラがつくられたみたいな」

「たとえわかりずらー。私別にぬいぐるみそんな好きじゃないし」

「ふむ…じゃあ、お父さんが再婚するとか?」

「はああ!? 有り得ないんですけど!?」

「……ま、そういうこと」

「んー」


確かに、まあ。私も、お父さんと結婚したい!なんて年じゃないけど……お父さんが結婚したら嫌だな。お父さんが決めるなら仕方ないけど……うわぁ、嫌だぁ。


「…ファザコンめ」

「うっさい。あんただって私のこと大好きでしょうが」

「…大好きです」

「ほらねっ。家族なんだから当たり前でしょ」

「ちなみに僕に彼女ができたら?」

「生意気だから怒る」

「……」


いや、私より先に恋人なんかつくったら普通そうなるでしょ。お父さんと弟は全く別だし。だいたいお父さんは私の理想だし。


「あ、それよりさぁ、お姉ちゃんの恋人ってどんな人だろう」

「さーねぇ…年上かなぁ。明日にでも優生に聞いてみるよ」











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