プロローグ
はいっ、帰って参りました!
自分でもびっくりです
かつてこの世界は、五大精霊によって創造された。
地の精霊は世界の基盤を作り、焔の精霊は大地に脈動を与えた。水精霊は生命の源たる水で世界を満たし、風精霊は風を吹かせ、焔と水をを世界の隅々にまで行き渡らせた。
そして最後に、聖精霊が世界のすべてに祝福を与えた。
海には魚が、地には獣が、空には鳥が、そして最後に人が生まれて文明を築き、世界は命と喜びで満たされた。
だが、この活気あふれる世界を我がものにせんと、邪悪なる手を伸ばしてきた者たちがいた。
闇より訪れし者たち───魔物である。
魔物たちの暴虐によって海は、地は、空は汚され、人は悲嘆にくれ、世界は危機に陥った。だがそのとき、大神官が大いなる予言を告げた。
すなわち「勇者」の出現である。
五つの精霊の加護を受けし五人の若者が現れ、魔王率いる魔物の群れを元いた闇の世界に駆逐するであろうというのだ。
はたして精霊の加護を受けし五人の勇者は現れ、魔王軍との激しい戦いの果てに邪悪なる魔物と魔王を闇の世界に封印した。
勇者たちのうち、火・水・風・聖の勇者たちはそれぞれに国を興し、人々を導かんと決意したが、ただ一人、地の精霊の加護を受けし勇者だけは「再び魔王が侵攻せぬよう見張っていよう」と旅立っていった。
四人の勇者たちはその献身に感じ入り、四つの王国は永遠に同盟を結ぶことを誓約したのだった。
それから幾星霜……久しく平和の続いていた世界に、再び危機が訪れる。
きっかけは「精霊の刻印」を身に刻みし四人の王子の誕生。
魔物復活を予兆する彼らの存在と共に、彼らの力となるべき騎士、剣士を育成するための「勇者アカデミー」が設立される。
そして四人の勇者王子……レオナルド・アントニオ・ラファエロ・ウィリアムは立派な若者として成長したが、五人目の勇者、「地の精霊の加護を受けし勇者」だけは未だ見つからなかった。だがついに、とある小さな田舎村でついに五人目の勇者が発見される。
地の精霊の加護、「怪力」という能力に目覚めたその者こそ、なんとうら若き女性……ジクロア村の村長の娘、マリア・マシュエストだったのである!
「…………あ、どーもお久しぶりです。初めての方は、初めまして。マリア・マシュエストと申します」