新たな仲間
あの後、なぜか五色さんがついてきた。
本当は、あまり関わられてひっかき回されたらいやなので、適当に誤魔化して逃げようと思っていたのだったが、今日の学校での出来事の後『山の上公園』に行こうとしないぼくたちに不信感を持ったようだ。
それと、気のせいかかぁくんを見ている気がする・・・。
もしかして、見えるのかな?
社の家は、神社の隣にある。
社の部屋も昔ながらの畳で、机も今風の勉強机でなく、真中にボン!と円テーブルが置いてある。当然ドアはノブ式でなく襖でぱーぱーだ。入って右側の壁に本棚が並び、正面奥が押し入れ、左側も襖で、開けると隣の部屋がある。
社の部屋は、彼の性格そのままに綺麗に整理整頓されていて、掃除が苦手な僕としてはなんだかもじもじしてしまう。
取りあえず、円テーブルの部屋の奥側に座る。
かぁくんは物珍しそうに部屋の中をうろうろしていた。
そして、五色さんは、そんなかぁくんを視線でおっている?
「ウーロンでよかったか?」
がらっと襖を開いて社がウーロン茶入ったコップを机の上に4つ置いた。1つはぼくで、1つは五色さん。もう1つは社で、最後の1番大きいのはかぁくん?
ぼくは、首をかしげた。
「これ・・・かぁくんの?」
ぼくは、コップの1つを指さした。
「ああ、コップにするか、お皿にするか、迷ったけど、俺らと同じにコップしといた」
「うれしいなぁー!!ちょうど喉が渇いていたんだよね。いやな奴だと思っていたけど、気がきくじゃんか。誰かとは大違い!」
かぁくんが喜び勇んでテーブルに着く。
「その言い方だと、ぼくが気の利かない者みたいじゃないか」
「そうじゃないか。この間、喉乾いたからジュース買ってくれって言っても買ってくれなかったじゃないか」
「あたりまえだろう。小学生のおこずかいなんてしれてるんだからな」
「あの時は、おこずかいを貰ったばかりだった」
ぷー!
社が噴き出して笑う。そして、五色さんが一緒に笑う。
あっ!! ぼくと社は顔を見合わせ二人ともごくんと唾を飲み込むと、頬に冷や汗が流れた。
「まるで兄弟げんかだね」
五色さんが大爆笑。
「違うよ!ぼくこんな弟なんか欲しくない!!」
「なんで、俺様が弟なんだ!!それをいうなら、いちが弟だろう」
一発触発の臨界体制に入ったぼくたちの間に、社が割って入った。
「はいはい。おしまい、おしまい。ところで、五色さん。これ見える?」
社が、かぁくんを指さして訊ねた。
結果は・・・
「ええ、見えるわよ。言葉も話していたでしょう? 巨大蟻より、こっちの方が面白そうだからついてきたの♡」
ははぁ~。おそれいりました。と、礼拝のように奉ってしまいました。
「これから、何をするのかわからないけど、私も仲間に入れてもらっていいかな?」
うーん。かぁくんが見えるのなら、十分平気なような気がする。
「俺は、いち次第だな」
社に振られた。困ったな・・・。
じーと、かぁくんを見る。
「おれは、さんせい!! だって、男ばかりじゃ花がない!」
確かに・・・・・・。五色さん、変わったところがあるようだけど、美人だしー、噂より普通に話している気がする。というか、どうしてあんな噂がたったのかが不思議だ。
「鈴野原くんは、どうなの?」
「うん!僕もいいよ!!これから、よろしく」