プロローグ
下も上もない世界。
そこは、あらゆる世界の狭間。
その空間のあらゆる場所に、様々な神様が縫いとめられている。
あらゆる世界の、生きている者たちの非常に強い思いが、頑丈な糸となって神様達を動けないようにしているのだ。
ある神様の前に、1羽のカラスが畏まりながら降り立ち、人の姿となって、ひざまずく。
カラスは、神に仕える『八咫烏』(やたがらす)。名前は、ガルーダ・ヴァーハナ。
「お呼びにより、参丈いたしました」
神様の名は、金山彦神と云い、、『山の神』である。
「よく参った、ガルーダ・ヴァーハナ。他でもない、そなたに頼み事がある」
「はぁっ!心得ております」
「うむ。我の守りし地で、気が乱れておる。そのことで、真なる闇が溢れ出した。気の乱れの原因を調べて、真なる闇の浄化と封印をたのみたい」
「はっ! 畏まりました」
『八咫烏』(やたがらす)のガルーダ・ヴァーハナは、1羽のからすとなり、狭間を超え、かの地に向かった。
数年前からその地は、彼にとって親友の住む、通いなれた町となっていた。
よって、神様から頼まれるまでもなく、彼を守るために向かった。