全方位に目を向けた結果、「誰も満足しない皇室典範改正案」になった件について
筆者:
今回はこの記事 https://www.asahi.com/articles/ASV773C36V77UTFK00SM.html にあるような維新の階との連立合意の中にもあった定数削減を先送りしてまで成立させたい法案である皇室典範改正について個人的な問題点と意見を述べていこうと思います。
質問者:
今後の皇統を決める重大な法案だと思うんですけど……。
筆者:
自民党が案を閣議決定した時のホームページ https://www.jimin.jp/news/information/213701.html を参考にしますが、
『(1)について、女性皇族は「天皇および皇族以外の男子との婚姻によって皇族の身分を離れることがないものとする」と明記。経過措置として改正皇室典範施行時の女性皇族については「その意思により、皇族の身分を離れることができる」と付則に盛り込んだ。
なお、皇族の身分に関する事項は宮内庁が管理する「皇統譜」に登録されるが、天皇および皇族以外の男子と婚姻した女性皇族については住民基本台帳法を適用する。
(2)の対象は旧11宮家出身で配偶者と子がいない15歳以上の男系男子に限定。皇族となった養子本人とその子孫の皇族の地位は「実方(養子の実家)の系統による」とし、養子本人は皇位継承資格を持たないが、その子孫の男子は資格を持つ。』
質問者:
各紙の世論調査では「よく分からない」が結構多い感じなのでよく意味すらも分からないのではないでしょうか……。
筆者:
少し背景も含めた上で簡略的に説明するのであれば、
①については「皇族数を減らさない」ために現在の女王殿下や内親王殿下が結婚された後も選択制で皇籍に残るか残らないかを選ぶことが出来るものです。
②については「男系男子維持」のために1945年に臣籍降下した旧11宮家の男系男子の中で15歳以上の希望者のみを皇籍に復帰させるというものです。ただし、皇位継承権は養子とされた方には与えられず新たに生まれた男子のみにするという事になっています。
◇①は「愛子天皇」は排除され「女系天皇の可能性を残す」
質問者:
それで、筆者さんは「どちらにも不満点がある」という事のようですが……。
筆者:
方向性としてはどちらも合っていると思うんです。ただ、「懸念事項」と言うのが考慮されておらず「どちらも禍根を残す」ことにもなりかねないんです。
まず、①についてですが、僕は男系男子派なので反対ですが、世論調査などで8割ほどが支持されている「愛子天皇」については結局可能性はゼロなわけです。なにせ現在、愛子内親王殿下が皇位継承権を付与されることにはならないので可能性はゼロのままですからね。
その上で、「皇籍に残る」ことからその子――つまり女系男子について皇位継承権があるのか? 無いのか? と言う重要な事が言及されていないんです。
質問者:
筆者:
将来、報道を煽って女性皇族の身分を保持された方が民間人と結婚されてお子さんが生まれると、『なぜ皇位継承権がないのか。おかしい』との報道になるでしょう。
これは「王朝交代」に繋がりかねないです。
しかも国民の多くが望んでいる「愛子天皇」にもなることは無いです。
つまり、この法案を詳しく理解している保守派からも愛子天皇派からも両方からボコボコに叩かれているのが①案と言うわけです。
◇②は麻生家が「令和の藤原家」になる
質問者:
②についてですが ネットでは一般に臣籍降下したのは1945年ではありますが、「11宮家が600年前の天皇陛下の男系」だというお話があるんです。それだとあまりにも遠すぎるのではないか? と言う意見もあるんですけどどうなんですか?
筆者:
それについては「切り取り」の側面が大きいと考えます。
ウィキペディアベースhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A7%E7%9A%87%E6%97%8F なので100%信憑性のある情報では無いという事でご承知いただきたいですけど、
確かに旧11宮家の一番古い伏見宮家に関しては1456年創設なので570年前のためにそれにあたります。しかし、伏見宮家は男子が無く断絶見込みです。
現在11宮家の中で男系男子がいるのは1875年創設の久邇宮家、1892年創設の賀陽宮家、1906年創設の竹田宮家、1906年創設の東久邇宮家と約150年前~120年前に当時の天皇陛下の男系だという事になっています。
※それ以外の宮家は断絶または断絶見込み。
そのために、皆さんはどう思われるかまでは分かりませんけど、そこまで遠くないのかな? と言うのが僕の感覚としてはあります。
質問者:
なるほど、復帰の可能性がある方々はそんなに遠くは無いという感じなんですね。
筆者:
具体的な条文というのが https://www.jiji.com/jc/article?k=2026062200916&g=pol ここにあるんですけど、養子を取ることが出来る皇族として、
『親王、親王妃、内親王、王、王妃および女王(皇嗣および皇嗣妃を除く。)は皇室会議の議を経て、皇室典範による皇族男子であった者の嫡男系嫡出の子孫である現に皇族でない年齢15年以上の男子であって、配偶者および子がないものに限り、養子とすることができるものとすること。』
とあるんです。
つまり、現在上皇・上皇后、天皇・皇后両陛下と皇嗣である秋篠宮家というのは養親になることが出来ないんです。
※悠仁親王殿下と佳子内親王殿下は養子を取ることは出来そうですが、お若いのでそれ以下の年齢となると限られてきます。
質問者:
筆者:
ここからが最も闇深いんですよ。
現在、ご皇室と言うのは非常に高齢化が進行しておりましてそれ以外の家で80歳未満とすると寬仁親王妃家・三笠宮家・高円宮家の5人しかいないんです。
そして寬仁親王妃家というのはあの麻生太郎氏の妹の寬仁親王妃信子殿下です。
ご子息に彬子女王と瑶子女王もいるので「麻生家の血を引く者」が養親になる可能性が高いんです。
つまり、「メンバーを制限」することで「麻生家が令和の藤原氏」になる懸念があるという事です。
質問者:
筆者:
しかも2025年秋に「三笠宮寛仁親王妃家」が出来たので「タイミングが良すぎないか?」と言われています。
元々麻生太郎氏が高市政権誕生に大きく貢献したと言われていますので、「制限」を加えたのは「麻生氏に大きく配慮」した可能性があると僕は思っています。
質問者:
確かに皇室に復帰するのに天皇陛下が除かれるとか意味が分かりませんものね……。
◇「30年後に見直す」程度の法案ということ
筆者:
最後にポイントとしたいのは改正法付則として、
『必要があると認められるときは、30年ごとに見直しが行われるものとすること。』
とあるんです。
30年後に見直す程度のものしかできないのであれば本当の意味で皇位継承問題や皇族を増やすことが解決できるのか? と思ってしまいます。
人生で見たら30年は長いですが、日本の皇室の歴史2600年、男系男子を最低でもさかのぼれる1500年ぐらいを考えれば決めるサイクルとしては短すぎます。
そのために「酷い案」でありながら「大したものではない」と自ら告白しているレベルの案でもあるんです。
何か色々と配慮した結果「酷いものになっちゃった」と言うのが現実なんです。
質問者:
なるほど……。
ところで、「愛子天皇待望論」というのが各世論調査で分かるんですけど、それについてはどうなんでしょうか?
やっぱり、世論に沿わない改正案と言うのは「国民の総意」としてふさわしくないような……。
筆者:
そもそもの話として「調査の聞き方に問題がある」と思っています。
「女性天皇や女系天皇に賛成かどうか?」ではなく、「126代続いた男系の皇統(少なくともそう称している)を、別の系統に切り替える(事実上の王朝交代である)女系天皇に賛成ですか?」と聞くべきだと思います。
愛子内親王殿下は確かに男系女子ではありますが、天皇陛下に即位されたのなら「そのご子息が天皇陛下になるべきだ!」と言う話になるのは間違いありません。
それは間違いなく「王朝交代」に繋がるので女性天皇の時点から現在の継承順位を変更してまでやる必要は無いと思います。
あと、過去の8方10代の女性天皇はお子様がいらっしゃらなかったので、「女系天皇」や「皇位継承問題」にはならなかったんです。
これらの情報を考慮すると結果が大きく違うのではないか? と僕は思っています。
僕は「政府はマスコミを一定レベルで報道規制など操作できる」と思っているので、調査の聞き方を変えさせないというのは、今の自民党は最終的には「現在の皇統を消す」ためにやっているのではないか? と邪推しちゃいますね。
質問者:
筆者;
いずれにせよ「日本の枠組み」や「格式」とも言えるご皇室問題について日程が切羽詰まっている状況で国民も中身を上手く理解できていないうちにスルッと通そうとするんだ? と言う違和感があるのが僕の感想です。




