6 一般教養
「味が……します……!」
キナは満面の笑みで箸を口に運んでいた。
手を握られブンブンと振り回され、
目を白黒させていたアスランも、
今は穏やかにキナの健啖ぶりを眺めている。
アスランはそっと、手の平に視線を落とした。
ふ、と小さく笑むと、手の平をきゅっと握る。
そのまま徳利へと手を伸ばし、目の前の猪口に酒を
満たした。
ふと気づいたように、アスランはもう一つの酒盃をキナに差し出す。
「君も、飲むか?」
「!!! お酒! 忘れてました!
もちろんいただきます!」
キナは口の中の料理をごくんと飲み込み、差し出された小さな盃を両手で受け取る。
スッと背筋を正して、トク、トク、と注がれる酒を
受けた。
「頂戴いたします。」
神妙に言えば、つ、と猪口に口をつけた。
猪口に添えていた片手で頬を押さえると、ほぅ、
と息を吐き
「……美酒ですなぁ……」
うっとりと呟く。
「……君はどこでそんな事を覚えてくるんだ。」
「一般教養です。」
キナは、複雑そうな面持ちでいるアスランの盃が
空いたのを見て取り、徳利に手を伸ばす。
「一献どうぞ」
すまし顔で徳利を構えるキナに、アスランはくすりと
笑みを漏らして素直に盃を差し出す。
次にキナが自分の盃に酒を満たすのを待つと
「一般教養に。」
そう言って盃を掲げた。
キナは一瞬キョトンとアスランを見つめる。
が、すぐに盃をチン、と合わせ
「美し糧と仲直りに」
言えば満面の笑みを浮かべた。




