16.同じ部屋って、寝るのも一緒?
「ただいま〜」
私はお家に帰ってきていた。
「おかえりなさいませ、姫様。そろそろ迎えにゆくところでしたよ」
「迎え?私はお城に行っていたのよ!!ステイシー」
「もうライル様にお伝えになってきたのですか?」
「えぇ!明日、早く行けるようにね!」
「お返事はどうでしたか?」
「いい感じだったよ〜。それでね!
・・いや、一つずつ話すわね」
「はい」
「まず、婚約はストラウド家に確認を取ってからだって」
「姫様が先に行くからですね」
「それで、王家とストラウド家と私でお話がしたいって。イブがどんな人か見たいらしいわ」
「まぁ、ライル様にあの話をお願いしたのなら、ごもっともなお話ですね」
「次に寮の話は学園長に頼んでくれるって!それでね同室にしたらどうだって!」
「同室、、、あぁ、ライル様が言い出しそうなことですが。できるのですか?そんなこと」
「そんなこと言わないでよ〜。できるよきっと!
一日中私が守るという体で頼んでくれるらしいし。それに一日中守るのもちゃんと大事だしね」
「まぁ、姫様がいらっしゃれば適わぬ敵などおりませからね」
「まぁ〜ねぇ。明日はそのことイブ達に伝えに行って。
その次の日は頼まれてたナイトハルトの魔石取りに行こうかなって」
忘れないうちに取りに行くのが大事だものね。うんうん。
「魔石を取ってから、イーブ様に会いに行かれるのですか?」
「いや、届けるのも行こうなかって。こういうことは早めに片ずけるに限るじゃない?
終わったら、逢いに行くかな」
「かしこまりました。
あと、魔力制御の腕輪と足輪のお話ですが、デザインは似たような形にしまして。
宝石に軽くする魔法を付与してつけたらどうかという話になっているそうです。
帰ってきたら、姫様のご意見が聞きたいと」
「え〜。いいじゃない!宝石はなににするのかなぁ?」
「それを決めるのもこれからなのではないですか?」
「せっかくだし、イブの黒色にしてもらおうかな〜」
「姫様。差し出がましいこととは思うのですが、姫様がよく着られる服なら白色などの方が似合うのではないかと思うのですが」
「あ〜。たしかに?今までは黒とか使わなかったからね〜。
でも黒も締まりが出て良いと思わない?」
「そうですね。きっと黒を身につけられる姫様も大変お美しくなりますね」
「そうよ〜。イブの色なんだから当然似合うんだからね!
それじゃあ、連絡してくるけど、誰にすればいいの?」
「ナイトハルト様ですかね。まずはデザインからですので」
「分かった〜。ありがとう〜。あっ、チェルシーとはいつ会えばいいかな?」
「魔石を取りに行く次の日にでもしましょうか」
「分かった〜」
―――
「あっ、そうだ。後で経年劣化の魔法付与した宝石をくまちゃんにつけてもらおう。
誰かにたのも〜」
マリアーナは自分の部屋の椅子にぽわんっと座った。
「ふ〜」
今日は色々あったなぁ〜。今日のイブもかわいかったなぁ〜。はぁ〜好き。
「・・・・・・こんなとこしている場合ではなかった、、連絡、連絡っと!」
水晶にナイトハルトが映った。
「はぁい!ナイトハルト!お元気?」
「今日は随分とお元気そうでございますね。姫様」
「まぁね〜。それで、腕輪の話はどこまで進んでる感じかしら?」
「デザインはどのような雰囲気に致しますか? 少し考えたのですと、こちらとか」
「あ〜」
大きく宝石が等間隔に入った、宝石が目立つデザインやなにも彫られていない丸っこい腕輪などのデザインを見た。
「ん〜。やっぱり今私が持ってるやつみたいな感じで綺麗に模様を彫ってほしいかな。
色々考えてくれたみたいなのにごめんね」
「いえいえ、ではそのような形で進めていきますね。宝石は一つ入れる感じでいいでしょうか?」
「そうね。出来れば黒い宝石がいいわ」
「黒ですか。珍しいですね」
「えっ?まぁ、その、求婚した子が髪と瞳が黒で」
「あぁ、それでですか。聞きましたよ。婚約されるとか」
「えへっ。まぁね」
「では、宝石は黒を使いましょうか。
不滅の愛情という石言葉があるブラックダイヤモンドなんかいかがですか?」
「わぁ!それにするわ!」
「かしこまりましたよ。姫様」
「あ、魔石は明後日持って行く予定になってるわ」
「かしこまりました。お待ちしておりますね」
「ねぇ、リチャードとかミレイユとかにも連絡した方がいい?」
「腕輪は私が出来てからになりますし、ミレイユも特に連絡が欲しいとは聞いてないですね」
「分かった!ありがとう〜」
そうして、連絡を終えた。
「ん〜。ねっむい〜」
眠いし、もう外も暗いしくまちゃんの宝石は明日頼むことにしよ〜。
そして、体を魔法で綺麗にして着替え、くまちゃんを抱いて布団に入った。
「ん〜。イブの匂いがする気がする〜」
逆にドキドキして寝れない、、、、
その日はしばらく寝付けず、眠り着くまでくまちゃんを抱えてごろごろしていた。
―――
翌朝
「ん?」
なんだか、いつもより明るいような?
まさかと思い外の様子を見ると、もうお昼頃になっていた。
たまにこの時間に起きることもあるけど、早くイブに逢いたかったのに〜。
せっかく昨日ライルに会いに行ったのに〜。
わあ〜と焦りながら、着替えて髪を整えた。
顔は洗わないで行こうかと思ったが、やっぱり洗わないとしっくりこない感じがして、
顔を洗った。
「おはようございます。姫様」
「寝坊した!寝坊しちゃったよ〜。ステイシー。どうしたらいい?」
「寝坊と言ってもまだお昼ですし」
「服とか宝石とか作ってる子達にお願いしたいことがあったんだけど、イブにも逢いに行きたくて〜」
「なるほど、、、なら、わたくしが代わりにお願いに行きましょうか?」
「ん〜。でも、どういう感じにしたいかは自分で決めたくて〜」
「なら、先にお願いしてから行かれた方が良いのではないですか?」
「そうだよね、、、」
私はとぼとぼと歩きだした。
そして私は私の領域で洋服やアクセサリーを作ったり、魔道具を作っている子達がいるところ来た。
「みんな、おはよ〜」
「どうしたの?姫様、どんよりしてるけど」
「お洋服作りにきた?」
「いや、アクセサリーでしょ!」
「ちょっと頼みごとがあって。どんよりしてるのは寝坊したからなの、、」
「寝坊ってほど遅くないよ?姫様、割とこの時間に起きるじゃん」
「そ〜だけど〜。今日は早起きしたかったの!」
「それでそれでお願いって?」
目を輝かせた妖精達が『洋服だよね?』『アクセサリーかな?』『魔道具?』
と期待した目を向けてきた。
「え〜っと、アクセサリーかな?」
「ちぇ〜」「魔道具じゃないか〜」
「アクセサリー!アクセサリーなのね!」
「そのうち、お洋服も作ってもらう予定あるよ。何年後とかかもだけど。
あ!そうだ黒い服作ってくれない?」
「黒?珍しいね」「黒か〜いいね。今までにない姫様だ!」
「ちょっとね!デザインは任せるよ。私が好きそうな感じならなんでもいいよ」
「何着か作ってもいい?」
「いいよ〜。あっ、差し色に黒が目立つ感じのやつもいいかもね〜」
「ちょっと!姫様はアクセサリーを頼みに来たんでしょ!」
「そうよそうよ!姫様返しなさいよ!」
「姫様も盛り上がってんじゃないわよ!」
「わ〜。ごめん。それで、これをね貰ったんだけど」
くまちゃんをみんなに見せた。
「これ人間の子供にあげるやつじゃない?」
「私も知ってる〜。子供はこれが好きなんでしょ!知ってる!知ってるのよ!」
「魔力を感じるね〜。誰からもらったの?」
「この魔力〜」
「シンプルだけど、かわいい〜」
「これにね経年劣化の魔法付与した宝石をつけたくて」
「リボンかなぁ?」
「そうだよねぇ〜。何色がいいかなぁ?」
「私ならこれつけるかな〜」「え〜。絶対こっちの方がかわいい!」
「えぇ〜、こっちだね!」「こっちよ!」
「で、誰に貰ったの?」「だれだれ?」
「こらこら、喧嘩しないの。これは、求婚した子にもらったの」
「「きゃ〜」」
「なんでぬいぐるみなの?」「なんで〜」
「ふわふわする〜」
「こら、勝手に触っちゃだめ。大切なものなんだから」
「は〜い」
「宝石は黒にしてね。抱いて寝ようかと思ってるから、そういう感じでね。
あと、リボンの色は〜。白かな?白で、よろしくね」
「黒に白か〜」
「分かったー!」
「抱っこして寝るの〜?」
「私も作ろうかな〜。姫様とお揃いで抱っこして寝るの〜」
「うふふ。それもいいかもね。
それじゃあ頼んだわよ〜。出来たら、教えてね。
私が居なかったら、ステイシーに伝えておいてもいいわよ。
じゃ!」
「どこ行くの〜?姫様」
「求婚した子のところよ」
「「「わぁ〜」」」
後ろではしゃぐ声を聞きながら、歩いてステイシーのところに向かった。
そろそろ求婚した子っていうの嫌になってきたわね。
名前教えるかな〜。でもな〜。名前教えるのもな〜。
なんとなく名前を教えたくない気持ちがマリアーナにはあった。
いや、いつか知られることだしな〜。でもな〜。
「んむ〜」
「姫様?どうなさったのですか?」
「おう!ステイシー!」
危うく通りすぎるとこだったわ。
「いや〜。イブのことを説明するとき、求婚した子っていうの嫌だな〜って思ったけど。
みんなに名前教えるのもな〜って考えてたの」
「あ〜。もうみんな名前知っていますよ」
「!?」
「名前知っていますよ。みんな」
「えっ?まさか」
ステイシーがもうみんなに伝えたとか?
「いえ、ミレイユ様が来られたときに名前をお教えしたら、ミレイユ様が皆様に教えていました」
「そっちか〜。なら、イブって言っても伝わるの?」
「それについてもミレイユ様が婚約届けを書いた後に伝えて帰ったらしいので、伝わると思いますよ」
「そうなんだ、、、」
最悪。わざわざ求婚って口に出して自慢したいだけになってたってことじゃん。
まぁ、いいか!
「じゃあ、今日はりんごの気分だから、りんご持って行って、向こうで食べるね」
「かしこまりました。行ってらっしゃいませ、姫様。遅いと迎えにゆきますからね」
「はぁ〜い」
そして、りんごを空間魔法でしまって、イブの元に飛んでいった。
また声かけるのもな〜っと思い、イブの魔力感じる方へ向かっていると、
「あっ」
窓越しにイブを見つけた。
バレないように窓からちょこっと顔を出した。
このままいたらバレないかな?ちょっと観察しちゃお〜かな!
「あっ!マリー!」
まぁ、正面だし、バレるか、、、
私に気づいたときの顔と声かわい〜。
「えっ?」
「姫様?どこにいるの?」
「えっ?あそこにいるよ?」
あぁ、ノアとコリンにはこれじゃ見えないか。
見えるようにして、手を振った。
「わぁ!ほんとに姫様だ」
「おおっ!姫様いた!」
手を振っていたら、メイドの方が窓を開けてくれた。
「あら、ありがとう。でも、ここから入っていいの?」
「旦那様から許可が出ましたので、大丈夫でございます」
「あら、そうなの。ありがとう」
よいしょっと部屋の中に入った。
「マリー!マリー!」
「あらあら。かわいいねぇ〜」
イブの頭を撫でていたら、メイドの方が椅子をもって来てくれた。
「あら、ありがとう」
「姫様。今日の朝に王家から使いが来たのですが、なにかご存知ですよね?」
笑顔で優しい声でコーデリアがそう言った。
「えっ〜と〜」
「朝に王家の使いが来るなんて私とてもとても驚いて、、」
「あぁ〜っと〜」
「お話を聞いてみれば姫様が、前日に陛下に会いに行かれていたとか?」
「コーデリア。姫様で遊ぶんじゃない」
「ふふっ。姫様があまりに慌てるから、つい」
「姫様は人間の考えていることがわかるのではないのですか?」
「でも、コーデリア怒ってる気持ちもあったから、、」
「それはそうですよ〜」
コーデリアはまるで当たり前かのように微笑んでいた。
こわ〜いよぉ。
「今日はなに食べてるの?」
ふと、食事が目に入ったのでイブに聞いてみた。
「今日はお肉だよ」
「へぇ〜」
私もりんごを食べようかと思ったけど、ここじゃあお肉の味がしそうね。
まぁ、一日くらい食べなくたって死なないし。
食べるの遅くなるくらい別になんの問題もないしね。
「マリーなに考えてるの?」
「あ〜。りんご食べたいな〜って」
「りんごならあると思いますが、料理人に頼みましょうか。姫様」
「いやいや、いいわよ。りんごなら持ってるし。そんな悪いわよ」
「じゃあ、りんご食べるの?」
イブが首を傾げて聞いてきた。かわいい。
「いや、今食べるとお肉の味がするかなって。思って、、、」
「お肉のあじ?」
「ほら、お肉の匂いでお肉の味がする気がしちゃうってはなし」
「なるほど」
「かわいい」
あっ、口に出てた。
かわいいって言ったら、もっとかわいい顔してる!かわいいが過ぎるわ!!
あぁ。それより、王家の使いの話聞かなきゃ。
「それで、王家の使いの方はなんて?」
「手紙を渡されまして。その手紙には婚約の意思があるのなら手紙を返して欲しいと。
そして、婚約の意思がある場合は今度機会を作るから会って話をしたいと」
「あ〜。私が会いに行ったときもそう言っていたわね。あと、学園のことも頼んできたわよ!」
同室の話しなきゃ。ていうかよくよく考えたら、なにも相談してないけど。
嫌とかあるかな?ないよね?
でも、勝手にそう言う話決めちゃうのって、、、、
いやいや、話さなきゃ!
もじもじして顔を赤らめたかと思ったら、急に青ざめて、今度は決意を決めた顔をしたマリアーナを
マリー顔がころころ変わるなあーとイブは思って眺めていた。
恥ずかしいのでまずはイブにだけ伝えようと思い、イブに耳打ちした。
「イブ」
「?」
「実はね。学園の話をしたら、寮の部屋を同室にできないか頼んでみてくれるって王様が」
「えっ?同じ部屋ってこと?」
同じ部屋ってことは、いっつも一緒ってこと?
寝るのも一緒かな?
「寝るのは一緒?」
「部屋がどんなかわかんないけれど、みんな一人部屋だっていうし、そうじゃない?」
いや、待って。一人部屋ってことはベットの大きさも一人用よね。
二人で寝れるのかしら??
「わぁー!!!ぼくマリーと同じ部屋嬉しい!」
「いや、まだ頼んでくれるだけで決まったわけじゃぁ」
「あの、同じ部屋とはなんでしょうか?姫様」
「!! えっとぉ〜」
「マリーが寮の部屋、同じにしてくれるって!」
「・・・・王様が提案してきたから、つい」
「・・・・それって可能なのですか?」
「イブを守るっていう名目で」
「「あ〜」」
それならできる?
でも、みんな一人部屋なのにイーブだけ姫様と二人っていうのはなんか、、
いや、でも守るっていう話ならできるのかなぁ?
コーデリアはできるかな〜?と考えていた。
「まぁ、学園長にお願いしてみるって話だし。絶対では、、ないから」
「絶対じゃないの!?」
イブの悲しそうな顔を見て、『あ〜絶対にしよう』と心に決めた。
イブの頭を撫でた。
「絶対にしてもらうから。大丈夫」
「絶対じゃないんじゃないの?」
「今、絶対にするって決めたから。無理って言われてもなんとかするわ!」
一回だけ頼みを聞くとかどうかな?
私の頼みって言ったら、聞いてくれないかなぁ?
「ほんと?」
「ほんと!」