7.5『挿話』ノエルとコーデリアの婚約のちなみに
ノエルとコーデリアのお話です
それはストラウド公爵家の庭を見終わった頃であった。
最初はノエル卿との婚約は荷が重かったけど、今はまたノエル卿に会いたいなと思っているわね。
ノエル卿は婚約に凄く乗り気でも、特段嫌そうな感じもないわ。
でも、ここでちゃんと言っておかないと話が無くなる可能性だってあるわ。
よし!伝えるのよ!今の気持ちを。
「あ、あの!ノエル卿!その、今日は楽しかったです。お庭を見せていただきありがとうございました。
その、色々説明もしていただいて、沢山質問もしてしまって、、、」
ええい、ままよ!
「その私!またノエル卿に会いたいのです!また、こうやって会っていただけますか?」
ノエルは驚きすぎて固まっていた。
コーデリアはそんなノエルの顔をじーっと見ていた。
「あ、あぁ。すまない、驚いてしまってな。
そんなこと、言われたの初めてでな。 えっと、こんな私とまた会ってくれるのか?」
「だから、そう言っております!」
むすっとした顔でコーデリアは返した。
「そ、そうだったな。何故会ってくれるのだ。
私は堅物で一緒にいてもつまらないとよく言われる。
今日だって、気の利いたことの一つも言えてないだろう?
花の話も一人で長々と話していたし、、」
「そんなことありません!ノエル卿は私に疲れてないかと聞いてくださいました!
ノエル卿は私に知らないお花のお話を沢山してくれました!知らないことを知るのは楽しいものです。
それに物知りなノエル卿はとてもかっこいいと思いました。
私が何度も質問しても、嫌な顔せず丁寧に教えてくれました。
確かにノエル卿は真面目な方だと思いました。
でも、一緒に居て楽しかったですし、真面目なのはノエル卿の良いところです!」
コーデリアは真剣な表情でノエルにそう言った。
「そ、そうか。ありがとう、ロヴィーノ伯爵令嬢。私もまたあなた会いたいよ」
「まあ!それはとても嬉しいですわ!
でしたら、是非わたくしのことはコーデリアとお呼びください」
「な、なら、私のこともノエルとよ、呼んでくれコーデリア」
「えぇ!ノエル様!」
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「おっ!戻ったかノエル!」
「コーデリアもおかえり」
「ただいま戻りました父上」
「ただいま戻りましたお父様」
「ロヴィーノ伯爵令嬢も戻ったことだし、そろそろお開きかな〜」
「わかった。それでは婚約の話はまた手紙で」
このまま終わらせてはいけないわ!私の気持ちを伝えておかなければ!
「あのストラウド公爵閣下、お父様。私はこの婚約進めたいと思っております!」
「「!!」」
コーデリアはノエルの方を見た
ノエル様はまた会いたいとは言ってくださったけど、婚約をを進めるって言うのは早かったかな
でも、、名前で呼ぶことを許して頂いたし、、
「私もそう、、この婚約を進めたいと思っております。父上、ロヴィーノ伯爵」
ノエルは『私もそう思っている』と言おうとしたが、
自分だけ婚約と口に出さないのはフェアではないなと思い、婚約を進めたいと口にした。
「おぉ!それはそれは!
私もなぁ、クレアとの婚約はな、うちの庭を一緒に見たのがきっかけで決まったんだ。
いやー私は良い仕事をしてしまったな」
二人で庭でも見てきたらどうだ?と言ったのはノエルの父であった。
「まったく良い仕事をしたな、ベルナルド。
コーデリアはノエル卿を気に入るのではと思ってはいたが、こんなに早くとは。
子供の成長とは早いものだな 、ベルナルド 」
ノエルの父ベルナルドとコーデリアの父オーガストは学園からの友人であったため、
たまに食事を一緒ににしていた。
その時、『うちの息子、娘がいい子なんだがまだ婚約者が決まっていなくて』と話していた。
二人はお互いに信頼しているため、お互いの子のことも信用していた。
それに話を聞く感じ、自分の子と親友の子ははなんだが合うような気がお互いにしだして
今回の話が持ち上がったのだった。
「でも、こんなに早く婚約が決まるなんて思ってなかったから、婚約届け持ってないよ〜」
そうベルナルドがそうぷうっとした顔で言った、
まぁ、そうよね。今日は会うだけで婚約に両者が乗り気なら、次回婚約届けを書いて〜
ってなるわよね。分かっていたことだけれど、早くノエル様と婚約したかったわね。
コーデリアはそう思い、しゅんとした。
「なぁーんてね!こんなこともあろうかと!婚約届けはもう貰ってきてあるんだなぁ〜」
ベルナルドはじゃじゃん!と婚約届けを近くのチェストから出した
「今書いちゃう? 今書けば役所にはこちらがだしておくよ〜」
役所とは結婚、離婚、出生届けなどの報告、仕事探しなどの相談を承っているところである。
戸籍などの大切な情報を管理しているため、記録の改ざんや情報を外に漏らすことなどをしないと判断された者しか働けない。
そのため、試験とともに一定の素養を見る期間を合格したものが働いている。
役所は王家の管轄なため、役所で働く者は国の機関で働く者となる。
そのため、平民で合格したものは一代限りの準男爵の称号を授与される。
その後に活躍があれば爵位が上がったり、爵位が世襲できるようになったりすることもある。
貴族となれば役所で働く者を守れること。
そして、国の機関で働いているという自覚を促し、相応の振る舞いをさせるという意味があったりする。
「ベルナルド、悪いが一度ノエル卿をコーラに会わせてからにしたい。
というかクレア様はコーデリアに会わなくても良いのか?」
「あー、会わせないと怒られそうだね〜。いつがいいとかある?」
「そうだな。コーラも私も空いていてる日となると、、、」
ベルナルドとオーガストはそう言って日程を決めだした 。
「じゃあ、次の日曜にしよう!」
「ああ。予定が合う日が思ったより早くて良かった。」
「次はそっちの家にする?」
「・・・婚約が決めるための話し合いがうちでいいなら、いいが」
貴族は基本的に低い爵位のものが上の爵位のものの元へ向かうものである。
それと、大事な話し合いなら公爵家の方が良いのではないかとオーガストは思ったのだった。
「んー。でも、コーラ夫人はここにも来たことがあるからそっちでいんじゃない?
ノエルもコーデリア嬢のお家みたいでしょ?」
「・・・見たいです」
ノエルは少し考えた後、頬を少し赤く染めそう言った。
コーデリアの育った家が見てみたかったのだ。
「ははっ!ノエルもこう言ってるし、そっちにしよ〜」
「まぁ、お前がいいならいい。」
そうして日程と場所が決まった。
そして、コーデリアは帰ることになった。
「その、ノエル様。今度は私の家のお庭を案内いたしますわ。日曜日、楽しみにしてますわね」
「あ、ああ。私も楽しみにしている」
そして、コーデリアとオーガストは家に帰った。
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「お父様?どうして私がノエル様を気に入ると先日言ったのですか?」
「コーデリアは優しいから、どんな人とも仲良くやれるだろう。
だがコーデリアが今、仲良くしている者たちはコーデリアの優しさに甘えず、
コーデリアのことをよく考えてくれる者たちだろう?」
確かに今仲良くしている子達は思いやりのある言葉をくれる。
私が悩みがあると一緒に考えてくれる子達だ。
「私がノエル卿をストラウド公爵家で見かけたとき、メイドに気遣いのある言葉をかけていたんだ。
何度か話をしたときも、こちらのことをよく考えた言葉を返してくれた。
だから、彼ならコーデリアの優しさに甘えず、コーデリアにも優しく接して、
コーデリアと共に悩み、一緒に考え、歩んでくれるだろう。そう思ったんだ。
今、コーデリアが仲良くしている子もそういう子達が多いと思ったから、
コーデリアに合うのではないかと思ったんだ」
「・・なるほど」
お父様はよく私を見てくれている。私はそう思い、嬉しくなった。
私が調べた感じ、一代限りの爵位は男爵らしいのですが分かりにくいかなってのと、
この世界では平民が爵位をもらうのは割とある話なので、男爵多すぎかな〜とか、
世襲貴族になったときに、子爵になるの?とかめんどくさそうなので準男爵とすることにしました。