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サモナー、終末世界に抵抗する  作者: カラカラ砂漠
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第一話 退屈な生活

 その笑顔が俺は好きだった。彼女の笑顔はひまわりのように綺麗で、曇りも全くなく、その笑顔を見るだけで他のことなんかどうでも良く感じるくらいには、俺は彼女の笑顔に虜になっていた。

 彼女は一人でいる俺といつも一緒に居てくれた。いつも俺の目の前にどこからか現れて聞いてくるのだ


 「な〜〜にしてるの⁇」

 

 と、満開の笑顔で……

 

 

 **

 


 「――い、おーーい」


 何やら声が聞こえてくる。だが俺は今とてつもなく眠いのだ、後にしてくれ。


「――おい、起きろ馬鹿モンが‼️」

 

――ドン――

 再び何やら聞こえてくると思ったら、今度は何やら衝撃が俺の頭にきた。

 あまりの衝撃に俺の眠気は吹き飛び


「――いっ――たぁ――」


 と、俺は飛び起きた。

 すると目の前にいる女性……俺の教師の大石先生だが……が目に入ってきた。先生は自らの手を握りしめており、今の衝撃はどうやらゲンコツだったらしい。


「おい、もうすぐ卒業だからと気を抜くな‼️授業中に眠るな‼️何度言ったらわかるのだ新見‼️」


 彼女は俺にカンカンらしい。まあ、それも当然だろう。授業の頭から眠りこける生徒に怒りを湧かない先生の方が珍しい。

 俺はこの場を切り抜けるため、思ってもないような「すみませんでした。以後気をつけます」というセリフを言って、先生を教壇まで戻らせた。

 彼女はひとまず俺が起きたのを確認すると「次はないからな」とだけ言って、飛んだ。

 そう、ここから30メートルほど離れている教壇にひとっ飛びしたのだ。

 まあ、そんな超人的なことに今更驚く生徒はここには誰一人としていない。なぜなら、ここでは普通なのだそれぐらい。

 ……なぜかって?それはな、ここが魔法学校だからだ。

 ここはキノリア正教支配下の地域で、ここは国から独立している。

 現在世界は謎の海面上昇が原因で世界は二つの勢力に分断された。その一つは科学勢力だ。奴らは各国で優秀な人材を集め、この謎の海面上昇の原因を突き止めそれを止めると言う目標を掲げて入るが、実際なんの成果も出ていない胡散臭い奴らだ。そしてもう一方の勢力が、俺が現在身をおいているキノリア正教派だ。こっちの勢力は、ある日現れた神の使いのを名乗る者……キノリア……の言う神の御言葉に従う勢力だ。なぜそんな勢力ができたかというと、キノリアは神から力を授かったと言って魔法を使った為、これまで魔法など見たこともなかった者たちにとってはそれは神様のように見えたのだろう。そして、この時の社会問題、謎の海面上昇による人類滅亡の危機のこの状況を救うため現れた神の使いと考え、彼の言う通りにすれば人類は救われるとした……まあ胡散臭いが。その教えが、『この海面上昇は神様の怒りだと。今の人類は科学などを発展させすぎたため、自然を蔑ろにしている。その為キノリア正教でない者の殺戮これこそ神の怒りを鎮める方法だと』この考えに元からいた反政府勢力も同調し、加わり、この勢力は拡大していって、政府派と肩を並べるほどまで成長してきた。

 そして、キノリア正教は支持する民衆に魔法を教え、民衆一人一人にに戦う力を与えた。そして生まれたのが魔術師である。

 その結果、現在は各国で政府派の軍隊、正式名称……特別科学戦略軍、通称<特科軍>とキノリア正教派の魔術師の戦争が勃発しているのだ。


 まあ、そんな世界の状況など知ったこっちゃない。俺にとっては胡散臭い連中同士の争いとしか思えん。

 

 そんなことを考えていると授業終わりのチャイムの音と、それと同時に日直の「礼」の声が聞こえた。

 どうやらボーッとしているうちに5時間目の授業が終わったようだ。今日は6時間授業だからあと一とつだけ授業が残っている。最後はみんな大好き実践授業なのだ。


 更衣室へ向かう足が軽い。自然と鼻歌が出てくる。

 そんな俺の様子に陰口を叩くクラスメイトのうち、若干一名呆れた目で見てくる者もいたが、俺には気にならなかった。



 **



 東京ドームほどの広さの体育館に授業開始のチャイムが鳴った。

 ようやく授業が始まったのだ。まずは一通り準備体操をしてから俺たち’’魔術師の卵’’は各分野ごとに分かれた。

 

 まずこの学校の説明からしておこう。俺が通うこの神戸キノリア魔法学校は主に戦争で活躍する魔術師を生み出すことを目的とした機関で、この学校の卒業は一人前の魔術師としての証であり、卒業後は戦争に参加することになっている。

 そしてこの学校に入るのに歳は関係なく、少なくとも中学生以上であれば良いため、クラスメイト間で歳の差があったりする。ちなみの俺のクラスは最年少で14歳がおり、俺とは3歳ほど離れている。

 そして、この学校は入学後、まず魔術に関しての基本知識を一年かけて学び、翌年の頭に’’開栓の儀’’を受け、2年目から魔法を使う実践的な訓練へと入る。この時、魔法の専攻を決め、それによってクラスも変わってくる。

 人によって魔法の中で得意不得意があり、魔術師は主に4つのタイプに分かれると言われている。

 魔力を何かに変化させる――例えば炎や雷――変質型、精霊を召喚する召喚型、魔力を帯びた武器やら道具を生み出す錬金型、自身の体――筋肉など――を強化する強化型だ。

 そしてこれらのクラスごとでそれぞれの分野について訓練を積んで戦争に出るというわけだ。

 この4つの中で人気が最も高いのは召喚型である。召喚型は自身の魔力を使って契約した精霊を呼び、それらを戦わせるが、契約した個体が自分より強いということがよくあり、この中ではより高い戦闘力を誇る。一方、錬金型は最も人気がない。後方支援という側面が強いせいもあるからか、正義のための戦争なのに戦いに直接参加しずらいため最も人気は少ない。例外は色々とあるが。

 

 そして、最も重要なのが、魔法はなんでもできる便利な道具なんかではないと言うことだ。変質型だといっても同じ人が雷や氷の両方を生み出せたりはできないし、氷を生み出せるものでも必ずしも氷塊を飛ばせるとは限らないのだ。


 そのため、同じ型でも使える属性も違えば、使い方も異なったりする。――例えば魔力を炎の鎧に変化させてみに纏わせるのが得意なものや、自身の魔力を付着させることで消えない炎を生み出すのが得意など。

 

 自分がなりたいと思っていた魔術師と実際に使える魔法が異なることがほとんどだが、魔法というものは神様が我々に与えてくれたギフトなため、それに不満を持つのは神への冒涜と考えられている。そのため、魔法学校では神が与えてくれた力をより高めるための効率的な指導をしてくれる。


 その一つが合同の実践訓練だ。

 ここではいつもは違うクラスである他分野の色々な人と実戦形式の決闘をすることで異なる分野についての知識に加え、人によって異なる戦い方、それによって引き起こされる様々なシチュエーションを経験することで、自身の使える魔法でどう切り抜けて行くかということを体に覚えさせる事ができるのだ。 そのため、皆この訓練を最も楽しみにしていた。

 この訓練では決闘の開始のタイミングは全て同時に行い、行われた試合全てが終わり次第、次の決闘を始めるということを6回繰り返す。そして好きなタイミングで休んでもよし観戦しても良しという生徒の自主性に重きを置いた訓練である。

 

 そんな中、俺は第一の試合から勿論参加していた。

 今日の一人目の挑戦者はどうやら変質型で魔力を地面に通すことで、砂を自在に操る魔法のようだ。

 決闘の開始の合図と共に俺の立っている周りの地面から砂の槍が俺を貫こうと襲ってきた。開始前から魔力を練って発動を待機状態にしていたのだろう――明らかなフライングだが――しかし、実戦では卑怯だなどいってられないのだ。勝てば官軍なのである。そのため、教師達も不正を止めることなく、それはほとんど初見殺しの奇襲となって俺を襲ってきた。

 

 観戦の生徒達は見た。

 無数の槍が俺の体に触れるかと思ったその時、槍の先端……穂先が消えたのだ。

 それと同時に俺の前に何かが現れ、刀を一振りした。その瞬間まさに必死と思われていた状況が一変、砂の槍は全て叩き折られて地面に落ちていたのだ。

 相手の生徒はほとんど価値を確信しただろうに、今の事態に脳が追いついてなかった。

 しかし、俺はその隙を見逃すほど優しくはなく、相棒に追撃を指示し、相手の生徒の首筋に刃を当てた。

 その瞬間、決着の笛が鳴り、決闘は終了した。


 俺は相棒のギュメイは俺の中に戻った。

 

 次の瞬間俺は大勢の生徒達の歓声を浴びた。


 


 


「すげ〜〜また勝ちやがった‼️‼️」

「これまで負けなしですってね⁉️あったまどうなってんのよ⁉️」

「さすがわ召喚型ですわね」


 俺はその歓声を無視して次の対戦車を探し始めた。俺にとって連勝記録など些細なことだ。俺はただ対戦が楽しいのだ。

 好きなのだ。相手がどんな魔法をどう工夫してくるのかを見るのが好きなのだ。

 俺は召喚型なため、俺がやることなど精霊を召喚して戦わせるだけなため、俺は工夫を凝らして自在な戦い方をする他の生徒達が羨ましかった。だから、せめて戦って、どんな戦い方をするのか知りたいのだ。

 しかし、俺の連勝記録にすくんで、好んで俺に対戦を仕掛けてくるものが最近少なくなってきてしまっている。それならそんな記録などいらないというのに。

 俺の精霊<ギュメイ>は、見た目は人型のヒョウと言った感じだ。若侍のような格好に月の紋様の肩鎧をし、首にはいまめかしい首輪をしている。そして俺と同等くらいの長さの刀身まで漆黒に染まった太刀を片手で扱い、その見た目のかっこよさからもなんと一定数のファンがこの学校にいるらしい……俺には友達すら居ないのに。




 そう考えながら歩いていると、不意に後ろに気配を感じ、俺は振り返った。しかし、そこには誰もいない……そう思うと同時に振り返った俺後ろから――



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