第58話 【限定物は大体人気】
時刻は約午前10時、リベルタスチームハウスのロビーには、タコとライアンとマキナがいる状態で、軽い雑談を行っていた。
すると、そこへ部屋からとても上機嫌な玲来がチラシを片手に持ち、舞い踊るかのようにやって来る。
いつも笑顔で元気で明るい玲来だが、今回はいつもよりテンションが上がっている様子だった。
さすがに気になった3人はどうしてかと聞くと、玲来はチラシを3人によく見えるように前へ着き出す。
そのチラシはとある氷菓子店の広告が載っているもので、そこには限定メニューである「たい焼きアイス」の販売についての情報が載っていた。
玲来は超を極が着くほどの氷菓子好きで、それは1日のおやつに氷菓子を欠かさないほどだ。
ここは玲来の行きつけの店であるため、このような限定商品を食べないわけにはいかない。
故に、限定商品の味がどんなものなのか楽しみで仕方ないのだ。
マキナ「温かいたい焼きをアイスにするとは、面白い発想ですね」
玲来「そうなんだよ! だから余計に楽しみなんだぁ~」
ライアン「あれ? 天琉は一緒に行かないのか?」
玲来はこういう場合は大抵天琉も誘う傾向があるため、天琉がいないことに疑問を抱いていた。
玲来「あー、実は誘ったんだけど、天琉も予定あったみたいで。断られちった」
一瞬どこか寂しそうな表情を浮かべたが、すぐに明るさを取り戻す。
玲来「それでは! 玲来はこれより、全種類の味を制覇して参ります!」
限定商品のたい焼きアイスは、普通のたい焼きと同じく中身の味に種類があり、この限定商品には、「カスタード」「餡」「抹茶」「安納芋」「チョコ」「栗餡」の計六種類がある。
普通であれば、全てを食べてることはできない。
食べられたとしても、腹が冷えて腹痛になるのが落ちだ。
しかし、玲来は寒いことに関してはかなりの耐性があり、それはかき氷を5杯分を一気食いしても大丈夫な程なので、その点は問題ない。
元気よく宣言した玲来は鼻歌を歌いながら出掛けて行き、3人はそれを見送る。
見送った後、3人は改めて玲来の氷菓子好きさと、天琉への反応について語っていると、次は天琉がロビーにやって来る。
タコ「どこ行くんだ?」
天琉「昼飯を食いに」
マキナ「それにしては早すぎる気がしますが」
ライアン「どこに行くんだ?」
そう言われた天琉は「将丼屋」と、店名を言う。
タコとライアンはその存在を知らなかったため、マキナに調べて貰うと、隠れた名店として口コミに載っていた店だった。
天琉「今日はそこで限定商品が出るんだ。おヤッサンの丼ものは外れが無いから、食わないわけにはいかない」
こう言うのも、天琉はこの店を1ヶ月に1回は行くほどのお気に入りで、それほどの感覚をあけて食べるのがとても楽しみらしい。
今月分の丼ものは済ましたのだが、限定商品が売り出されるという看板を見つけ、売り出され始める日に行くことを決め、今日に至ると言うわけだ。
タコ「良いじゃん! 存分に楽しんでこいよ」
天琉「楽しむ…?」
そう言われた天琉はいきなり様子が変わりる。
天琉「楽しむ気持ちだけで行くのは自殺行為だ…!」
その場にいる3人を少し困惑させると、突然顔の雰囲気が変わった状態でこちらを向いてくる。
例えるならそれは、緩いアニメのキャラが突然絵柄が変わり、別のアニメのゴツイ見た目になったような変化だった。
天琉「あそこは戦場だぞっ!!」
その顔を見た瞬間、3人は思わず「誰!?」と驚いてしまう。
その顔はまるで数々の戦場を潜り抜けてきた兵士、もしくは何かの神拳の使い手のような風貌だった。
天琉がそう言うのにはしっかりとした理由がある。
それは、その店が二郎系ラーメンレベルでルールが厳しいからだ。
少しでもルールを破れば、追い出されるとまではいかないが、キツいお仕置きが待っている。
ある者は出汁を嫌というほど飲まされたり、具材に味を染み込ませる過程での揉み作業のように骨が折れてしまうと思うほどのとてつもない握力で全身を揉まれたりと、それはそれは悲惨な目にあう。
ルールに縛られるという点では嫌なのだが、味は絶品過ぎて病み付きになって食べたくなるので、天琉は1ヶ月に1度の頻度で行くようになったのだ。
ちなみに店を見つけたのは、玲来がチームハウスにやってくる少し前の事だ。
3人はよくよく思い出してみると、確かにそのくらいのペースで1人で昼食を食べに行っていたことに気づく。
1通りの説明を言い終えた天琉は、なるべく行列が出きる前に行ってくると言い、戦場(昼食)へと向かう。
マキナ「天琉さんって、普通なのかそうでないのか、よくわかりませんね…」
タコ「まぁ、何事にも全力だからな。あいつは」
ライアン「勝負事とかは特にそうだから、多分今から行く店も、それと同じくらいなのかもな」
◆
限定商品の丼ものに対する楽しみと、気を抜いてはならないと言う緊張感を胸に抱き、天琉はとうとう店へとたどり着く。
そこには当然少しの列ができていたが、いつもよりも多かった。
おそらく、ほとんどの人が限定商品を食べに来たのだろう。
天琉と同じくらいの覇気を纏っていた列に並ぶ人々は、天琉の顔を見ると何かかが通じ合ったかのように頷き、天琉も頷き返す。
この店に来る人々は大将の厳しさと、味の良さがわかる数少ない人々が故に、名前は知らずとも顔見知りという関係になっているため、こうした無言のコミュニケーションをする間柄になっている。
頷いた天琉は列の最後尾へと向かうが、そこを見た瞬間、天琉は驚きを隠せなかった。
炎牙(相棒、こいつ…!)
驚いたのは、その最後尾にいる人物に対してだった。
何故なら、それは天琉が魔族国で戦い、天琉に敗北を味合わせた男だったからだ。
黒鉄「久しいな。ダンジが世話になった」
天琉「何でお前がここに…!」
出会いかたや関係性のせいか、天琉はつい警戒心マックスにしてしまい、声を荒げてしまいそうになるが、黒鉄と他の並ぶ人たちに「しぃー!」と言ってもらえたお陰で正気を取り戻す。
黒鉄「お前もこの店に来ているのならわかるはずだ。守らねばならない掟を…」
天琉「もちろん知ってる…。危うく忘れるところだった…」
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・将丼屋の掟その1
並んで待つ時は声を荒げてはならない。
外からの声で店内で食事をする者の気分を害する。
待つ時は喋るなとは言わないが、決して騒ぐことはなかれ。
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我を取り戻した天琉はとりあえず黒鉄の後ろへと並び、何故ここにいるのかを聞いたところ、天琉と目的は同じらしい。
それ以前に、天琉は黒鉄もこの店の利用者だった事に驚き、いつから通っているのか聞いたところによると、チーム結成試験をワイバーンで襲わせた日に店を見つけ、お気に入りになったらしい。
今まで会わなかったのは、単純に行く日が違っていただけだ。
天琉は先程された礼の意味がわからず、真意を聞いてみたところ、エゴイスへの復讐は天琉たち無しでは成せなかったも同然だったかららしい。
ダンジは礼を言わなかったが、礼というのは当たり前の行為なので、代わりに黒鉄が礼をしたと言うわけだ。
天琉「変なところで礼儀正しいな!」
初めて会い、戦う前に自己紹介をしたとき同様に、変なとろで礼儀正しいところに天琉は小さな声でツッコミをする。
そんなことを言っている間にも、列はどんどん前に進んでいき、とうとう次は黒鉄が入る番になる。
天琉は少しホッとする気持ちになるが、それもつかの間、店の中から2人の客が出てくる。
すると、その内の1人があることを伝える。
「相席です。2人どうぞ」
それを知った瞬間、天琉の力を抜いてホッとした瞬間の隙をつくかのように、黒鉄と相席という不安という名の重りが落とされる。
天琉「敵対関係だった人と相席ってどんな顔して食えば…」
黒鉄「以前のことは今は気にするな。ここでは、1人の丼もの好きとして接しろ。お前もその方が楽だろう?」
妙に優しく接してくる黒鉄に困惑しつつも、天琉は黒鉄と共に入店する。
すると、がたいが良く、スキンヘッドでタオルを頭に巻いたこの店の大将、鬼塚が「いらっしゃい」とだけ言い、黒鉄と天琉は同時に「限定」とだけ言う。
それを聞いた店長は頷くと厨房へと入り調理を始め、注文した2人はすぐに空いている席に着く。
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・将丼屋の掟その2
注文は入店し、歓迎の言葉の後、すぐに注文すべし。
待たせているお客にもいち早く食事を提供するために、入店前に食べるものを決めよ。
注文をした後は、すぐに席に着くべし。
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先程出てきたお客に伝えられた通り相席で、黒鉄はなんの躊躇もなく座り、天琉も店の掟に従って座る。
炎牙(よくわかんねぇ奴だな…。色々と聞き出してぇ…)
天琉(俺も一緒の気持ちだ…。だが、店の掟に背くわけにもいかんだろ)
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・将丼屋の掟その3
注文した品が来るまで、黙って静かに待つべし。
他のお客様が食事を楽しんでいる時、店内が騒がしいと気分を害する。
友人で来ようが何であろうが、一言も喋ってはならない。
喋って良いのは、「いただきます」「ごちそうさま」のみ。
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天琉は魔大陸での事や、何故あのような事をしたのかなどを聞き出したくてたまらなかったが、店の掟を破るわけにもいかず、今はただ注文の品を待つことに専念する。
ちなみに、今回限定で売り出される商品は、丼ものではお馴染みの「カツ丼」「親子丼」「牛丼」の3つが1皿に凝縮された「三位一体丼」だ。
この店は品揃えは普通の丼ものだけなので、このような商品は限定と言う形でしか食べられない。
しかも、大将の作る丼ものには外れがなく、どれを一番にすれば良いのかわからないほどの絶品だらけ。
故に常連たちは、できるだけ提供開始日に食べに来たくなると言うわけだ。
まだかまだかと楽しみに待っていると、ついに2人の元へと三位一体丼がやってくる。
その姿を見た瞬間、天琉の緋色の目は宝石のように輝き、黒鉄も無表情ではあるものの、闇夜のような暗い瞳のなかに星が現れたように輝かせる。
炎牙はそれを見て自分も食べたいと言う欲求を口に漏らすが、それは叶わずもどかしい気持ちになる。
2人は感動に浸っていたが、店の掟をすぐに思い出し、テーブルにおいてある箸を手に取る。
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・将丼屋の掟その4
品が来たら、直ちに食うべし。
動画、写真を撮るなどと言うことをする暇があるのであれば飯を食らえ。
待っているお客にいち早く料理を味わって貰うために、味わいながら素早く食うべし。
厠以外の用件では席を立ってはならない。
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天琉と黒鉄は早速料理を食べようとすると、そこへ思わぬことが起こる。
店内にとても大声を出しながら2人の客が入店してきたのだ。
しかも、ルール1つである注文もせずに先に席に座る。
「オラァ! とっとと飯寄越せやぁ! こちとら気分悪いんじゃ!」
「消化の良いものちょうだいよぉ? でないと食べないよぉ?」
天琉と黒鉄はもちろん、他の常連たちはその2人に殺意に近い敵意を向けるが、2人の迷惑客は気にもとめない。
待っている間も掟を気にせず、ずっと大きな声を出し続け、回りに迷惑をかけ続ける。
店長はその2人を黙って見つめ、その行動に目を光らせる。
中々注文を聞きに来ないことで迷惑客の声はより一層大きくなり、迷惑をかける。
しかし、それに反発の声をかける男が2人いた。
天琉「この店には、この店なりの掟があんだよ」
黒鉄「それも知らん者が、この店に立ち入るな」
2人はこの行為が店の掟を破る行為だと言うことは十分しってた。
だが、それを破ってでもこの2人の行いを止めたかったのだ。
当然、迷惑客の2人は天琉と黒鉄に対して怒鳴りちらし声を荒げるが、2人は全く引かない。
すると、2人は厨房の方から何かを感じ取る。
それは大将からの視線による無言のサインだった。
その意味を感じ取った天琉と黒鉄は頷き、迷惑客2人を1人づつ担ぎ上げ、大将の元へと投げる。
店長は飛んできた迷惑客2人を見事にキャッチすると、そのまま椅子に座らせ、目にも止まらぬ早業で縄で縛り付ける。
店長は少しの間とてつもない形相で黙ったまま2人の顔を見つめると、何かを決めたかのように頷き、1人を厨房近くへと連れていく。
すると、特製出汁を持ってきて無理矢理それを口のなかに流し込んでくる。
最初は嫌がっていたが、飲んだ途端に美味しいと気付き感激の涙を流す。
だが、飲ませる量が多すぎるあまり感激の涙から苦しみの涙へと変わる。
そして全てを飲み終えると、腹は満タン状態で動けなくなる。
すると、飲み過ぎたからなのか腹痛に襲われ、店内のトイレに駆け込む。
それを見ていたもう1人の迷惑客が恐怖で身体を震わせていると、店長が近づいてくる。
後ろに回ったかと思いきや、いきなり肩をものすごい力で揉み始める。
それは肩だけにとどまらず、身体のあらゆる場所を揉まれる。
それはまるで、具材に味を染み込ませる時にする揉み作業が如く、力強く。
迷惑客は骨が折れてしまうと思うほどの激痛を味わい、ずっと悲鳴を上げ続けた。
全身の揉み作業が終わり、迷惑客は枯れ葉のように倒れてしまう。
だが意識はあり、店長に対して暴言を吐こうとすると、揉み作業をされた迷惑客はあることに気がつく。
身体が今までに無いほど軽く、疲労がなくなっていたのだ。
何故だろうと困惑していると、トイレに駆け込んだもう1人の迷惑客が出てくると、とてもスッキリした表情で出てくる。
最近まで腸の具合が悪かったのに、いきなり良くなったらしい。
余計に訳がわからず困惑していると、店長が「いらっしゃい」以外の言葉を発する。
鬼塚「仕置きもまた、もてなしの1つだからな…」
店長にとって仕置きというのは、間違ったことに対する罰も含め、相手を癒すという面も兼ね備えた、言わば1つのサービスなのだ。
仕置きを行う前に顔をジッと見たのは、健康状態を確認し、それを改善する仕置きサービスを決めるためだったのだ。
店長はこう見えて武道国出身で、霊力の質によって大まかな健康状態を確認できるという特技がある。
その特技で、腸の具合の悪さと、血流の悪さによる疲労を見抜き、腸の具合を良くする特製出汁を適量で飲ませ、血流を良くするために微量の霊力を流し込みながらのマッサージを施したというわけだ。
その事実に感激した2人は、先程までの行為を心の底から後悔し、すぐに謝罪する。
鬼塚「そう言うんだったら、とっとと食いな。料理人の1番の幸せは、作ったもんを美味しく食ってもらうことなんだからよ」
それを聞いた2人は食べたいものを言った後、他の客たちに謝り、すぐに自分達がいた席に着き静かに待つ。
黒鉄「すまない大将。止めるためとはいえ、掟を破ってしまい…」
天琉「お仕置きをされる覚悟はできてます」
鬼塚はその要望を呑むことはなく、この店のためにやってくれたことに感謝をし「とっとと食え」とだけ言って厨房へ戻る。
大将が武道国ではなく、中央都市で店を開いたのは、中央都市にはいろんな国の人が集まるため、疲れが溜まってる人も多いであろうから、そこで店を出して少しでも癒してあげようと武道国から出てきたのだ。
しかし、マナーに関してはうるさいため、ルールを破った場合はお仕置き兼癒しを提供する。
しかも、このように店のためにやってくれたことに対し、素っ気なく返事を返すのは素直になれないから。
つまり簡単に言えば、癒してあげたいけどマナーに厳しくて素直になれないツンデレ大将なのである。
その言葉をありがたく思いつつ、素直じゃないところに少し微笑ましくなったあと、2人はすぐに席に着き、三位一体丼を味わうのだった。
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完食後、2人は一礼をしてすぐに店を出ると、天琉が聞きたいことがあると黒鉄を呼び止める。
それは、魔族大陸で魔族を操ったり、魔獣を操って起こした災害についてだった。
その質問に対し、黒鉄はなんの躊躇もなく答える。
黒鉄「ダンジの復讐のためだ。友の目的を果たすためなら、手段を選ばない。それが俺たちのやり方なのでな。それに、あれはルアが持ってきた仕事でもあったからな」
天琉「仲間のためって… ますますあんなことするようには思えねぇな…」
しかし、無表情からも嘘を言っているようには見えず、真意なのだろうと察することができた。
しかし、天琉にはもう1つ大きな疑問があったため、それも今聞き出すことにする。
天琉「あの時、なんで俺を見逃した?」
天琉と黒鉄が初めて出会い戦ったとき、天琉は歯が立たず負けてしまった。
黒鉄は天琉が全力で戦っても、ずっと余裕な様子を崩さず、天琉を殺せると言うところまで追いやった。
あの時、天琉を襲った謎の疲労は、炎牙からの微量な霊力供給が原因で、まだ慣れていない天琉はすぐにバテて動けなくなってしまったのだ。
先程黒鉄の「目的のためなら手段を選ばない」という発言を考えるに、天琉という障害は殺して排除しておくのが得策だが、そうはしなかった。
故に天琉は見逃がした理由が余計に知りたくなったのだ。
その疑問に対して黒鉄は「光る物を見た」とだけ言った。
それを聞いた天琉は訳がわからず少し困惑するが、黒鉄は言葉を続ける。
黒鉄「お前の魂に光る物が見えたのだ。俺はそれを見たくなった。久しく見るその輝きは、やがてどんな者になるのかを。だが、それはまだ先になりそうだ」
そう言うと黒鉄は、天琉に背中を向けて歩いていく。
天琉にはその背中が、敵に対する物ではなく、絶対的な強者と偉大な剣士の姿を見た。
天琉は黒鉄の名を呼んで引き留めると、真剣な表情で言葉を告げる。
天琉「次は負けねぇからな」
天琉の勝負事では負けたく無い精神が発動し、それと同時に黒鉄に対するライバル視、そしてあの時の悔しさをそのままにはしておかないという意味を込めた言葉を放った。
黒鉄は決して振り返りはしなかったが、微かに笑っていた。
炎牙は天琉の宣言に対して心の底から熱くなり、天琉も炎牙に負けないほどに熱くなり、チームハウスに向けて走り出す。
天琉「よっしゃ! そうと決まれば食後の特訓だ! 玲来かネルに手合わせしてもらおう!」
炎牙(ライアンの玉避けたり、タコとマキナの作った戦闘シミュレーションするってのも良いかもだぜ!)
だが、そんな中で炎牙には少しの疑問があった。
炎牙(何であいつ自身から霊獣の… 龍の気配がしやがるんだ?)
◆
一方その頃、玲来は無事に行列戦争に打ち勝ち、全種類の味を1つずつ購入することに成功した。
しかし、店員は少し戸惑っていた。
何故なら、注文を終えたと同時に玲来はずっと目を閉じたままでいたからだ。
先程まではパッチリと開いていたのに、今では糸目キャラでも無いのに目を閉じ続けている。
本人曰く、袋に入れる時に目をつむり、どの味を最初に味わうのかわからなくすることで、より楽しみを増やすためにやっているのだそうだ。
入れ終わったと同時に教えられることもなく五感でそれを感じ取って開眼させ、宝石のように瞳を輝かせてそれを受けとる。
たい焼きアイスが入った紙袋を大事そうに抱え、どこか良い場所がないかと探し、途中で気になるチラシを見つけ、言いかもと思い回収し、その後大きな木の回りに設置されたベンチを発見する。
木がちょうど良い具合に影を作り出しており、とても理想的な場所であったため、そこで食べようと決めてベンチに腰を下ろす。
袋を開封し、早速1つ目を取り出し、どの味が当たるのだろうとワクワクしながら口を開けて食べようとすると、聞き覚えのある声が近づいてくる。
それは「うおぉぉぉ!」と言いながら全力疾走する天琉だった。
何故そんなに急いでいるのかはわからないが、先程見つけたチラシの件について話したいので呼び止める。
天琉はすぐに気付き、玲来の元へとやってくると、言っていたたい焼きアイスを持っていることに気がつき、くれないかとねだる。
玲来「仕方ないな~。1個だけだからね?」
玲来は先程自分が食べようとしていたたい焼きアイスを渡す。
天琉はくれたことに礼を言うと、立ちながらもというのも何だからというわけで玲来の隣に座り、玲来が自分が食べる分を出したところで、同時に1口食べる。
天琉「おっ、栗餡だ!」
玲来「こっちは抹茶!」
お互いが食べた味の感想を言い終えると、玲来が先程見つけたチラシの内容について話す。
それは護衛依頼で、最近発見された遺跡を調査するため、1人では心もとないため護衛をしてほしいと言うものだった。
玲来「ね? 面白そうじゃない?」
天琉「確かに、遺跡とか冒険とお宝の匂いがプンプンするな!」
お互いに思っていたことが同じだとわかった途端、2人は片手に持っていたたい焼きアイス1個を一気に食べきり、ベンチから腰を上げる。
そして、せっかくだからチームの全員で依頼を受けようと言い、チームハウスへと走るのだった。




