第47話 【潜入! エゴイスインダストリー】
天琉と玲来はバレずに本社へと入るためにダンジから渡された地図を頼りに地下水路を通って本社へと向かっていた。
これから本格的な戦闘になると考えて2人は地下水路に入る前にいつもの服に着替えた。
真っ暗な地下水路は水の音以外なにも聞こえず、辺りには不気味な雰囲気が漂っていた。
それはホラーなどでは定番中の定番なので、天琉は恐怖心マックスの状態で進んでいた。
玲来「な、な~に~? 天琉もしかして怖いのぉ?」
天琉「は、はぁ!? 別にぃ!? こんなん屁でもねぇし!」
煽り気味、からかい気味な言い方ではあるが、玲来もホラーは苦手であり、天琉をいじったりすることで恐怖を紛らわす作戦だ。
天琉は怖くはないと見栄を張り、逆に玲来が怖がっているであろうと認識しておく。
しばらく進んでいくと、ガシャンという物音が聞こえ2人は思わず情けない声を出してしまう。
お互いの顔を見合ったあとすぐに気を取り直して音がした方に行ってみる。
最初は怖かったが、不安要素は取り除いた方がいいと言う結論になった。
そしてその正体がそこに廃棄されているロボットなどの残骸であり、ネズミなどが残骸の山を崩して出た音だと結論付ける。
2人はまた自分は怖がっていないと言う見栄を張り、玲来が天琉をいじるといういつもの流れをしながら先に進み始める。
残骸から2人を覗いているものがいるとも知らずに。
「シ…… ュ…… ャ……」
何事もなく順調に進んでいた2人はすっかり怖さと言う概念がなくなり、いつも通りの自然体で歩いていた。
だが、タコを助けると言う目的を忘れたわけでは断じてないため、その緊張感は忘れていない。
タコの無事を祈り、今どんな状況になっているのだろうと話し合っていると、聞きなれない不気味な声が聞こえてくる。
天琉「おいおい、このタイミングで脅かすのはないだろ」
玲来「いやいや! 私そんなことしてないよ? 天琉じゃないの?」
そんなことを話していると、またもや不気味な声が聞こえてくる。
聞くのが2回目だからか、その声は自分達の後ろから発せられていると言うことがわかり、一瞬にして血の気が引いていく。
それに加え何かが軋むような音が反響している。
そして、なにか言葉を発していて、その声と音はどんどん近づいてくる。
青ざめて冷や汗をかきながら、ゆっくり恐る恐る振り返ると、そこには人のような形の影があった。
目が暗闇に慣れているため、その姿はすぐに確認できた。
それは人の形を模したロボットだったが、ただのロボットではない。
顔の装甲が完全に剥がれ、中の回路や骨格のようなものが剥き出しになり、身体のいたるところもボロボロの状態の恐ろしい姿をしていた。
その姿を確認したと同時に2人の恐怖心のメーターは一番したからマックスを超えて、限界突破してしまい叫び声をあげる。
そこから2人の逃走劇が始まった。
進む道など考え無しで、ただ今2人にとっての恐怖の対象から逃げることだけを考えていた。
しばらくたち、2人は見つからないように物陰に身を潜めていた。
近くにはロボットが自分達を探し回っており、見つかるなという思いでいっぱいだった。
しばらくして音が聞こえなくなったので、安心しきった2人だったが、念のための確認で物陰から顔を出すと、2人の顔のすぐ前にロボットの顔があった。
「シン…… ニュウ…… シ…ャ… ハ…… イジョ……」
2人は再び叫び声を上げ、もうどうにでもなれと思ったのか同時に拳を付きだす。
拳を食らったロボットは呆気なく機能を停止し、2人は意外にも簡単に倒せたとホッとする。
倒したロボット含め、まわりにある残骸を見ていた玲来はそのロボットに寂しさを感じていた。
玲来「ずっとここでなんて、きっと寂しかったよね……」
天琉「あぁ、もっと良い環境なら、空の下にいられたのかもな……」
機械に寂しいという概念は無いのだろうが、リベルタスメンバーはタコから聞いたあることからそう思うようになった。
それは、タコが失敗してダメになってしまったパーツに謝罪の言葉や使えるようにしてやるなどの言葉を掛けていたときだった。
その行動に疑問があった天琉は聞いてみると、タコは「どんなものにも心がある」と言っていた。
タコ『物には魂が宿るって話を聞いたことがあってさ。それって、どんなものにも心があるってことだろ? 会話はできないけど、せめてただ使うんじゃなく、人と同じように接した方が良いって、俺は思うんだ』
その言葉を思い返した2人はロボットを抱き抱え、他の残骸の山の近くに座らせてあげると、弔うように手を合わせる。
そして、改めて覚悟を決めた2人は再び本社へと向かう。
偶然か、ロボットの目から水滴が流れていた。
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逃げ回っているうちに本社の真下についたらしく、床穴から本社に潜入することにする。
床穴を開ける前に気になっていたのが、入り口に関するダンジからのメッセージだった。
「ここしか入る場所無し。衝撃に注意せよ」
この意味が2人にはよくわからず、攻撃に注意しろと言うことなのだと認識し、玲来が先陣を切る。
そして、床穴を開けた先の光景を見た玲来は固まってしまい、「えぇ」という声だけを出したのち降りてくる。
天琉は疑問に思って質問するが、見た方が早いと言われ見てみることにする。
床穴を抜けた先にはとんでもない光景が広がっていた。
違法なものの開発とか、強制労働とかそういうのではない。
同じ人間の顔の写真が何枚も豪華な額縁に入った状態で飾られていたのだ。
目に入る物だけでも20枚は軽く越えるだろう。
天琉はその光景に「うわぁ」と言う声を出してしまい、これ以上見ていられないと思い、下に降りる。
ダンジの警告文「衝撃に注意せよ」とは、あの光景に対する精神的衝撃の事だったのだろう。
2人は別の道がないかと考えてしまうが、ダンジの地図通りここしか入る場所がない。
少し気が重たくなるが、意を決して床穴からその部屋に入る。
額縁の下にはそれぞれに番号が書いてあり、なんの番号だろうと思ったが、いち早くこの部屋から出たかった2人は考えるのは後回しで部屋の外に出る。
そして、おもいっきり深呼吸をした後に部屋の扉を見てみると、そこには部屋の名前が書いてあった。
「社長 エゴイス かっこいい専用写真館」
どうやら書いてあった番号はその写真のナンバーを表しているようで、ここはかっこいいという部類に入るらしい写真を飾る専用の部屋らしい。
それを見た2人はエゴイスはナルシストであると認識した。
2人はある意味さっきのロボットよりも精神的にダメージを受けた感覚を覚えながら、タコを探すために警備などに気を付けながら社内を進む。
進む途中で何かの研究室を見つけ、ここでいったい何が行われ、タコが何故連れていかれたのか分かるかもしれないと思い、慎重に部屋に入る。
その部屋には中に液体が入った大きなカプセルが2、3個ほど置いてあり、その近くで研究員の数名が何かの作業をしていたので、こっそり情報を集めることにする。
何とか机の下に隠れた2人は、研究員たちの会話の内容を聞くことにする。
それは2人にはあまりよくわからない内容ではあったが、カプセルの中身の話をしているようだった。
何が入っているのだろうと気になり、天琉がよく見ようとしたが、霜でよく見えなかった。
中身をしっかり確認するためにすこし頭を近づけたが、それがいけなかった。
机に頭がぶつかってしまい、机の上に置いてあったグラスが落ちて割れてしまう。
それを確認した玲来はゆっくり天琉の顔の方を向き、ジッと見つめると、天琉しばらく沈黙したのち「てへっ」というふざけた仕草を見せる。
当然玲来は「何してんのぉ!?」と念のため小声でツッコミをし、バレていないと願いながら研究員の様子を確認する。
しばらく研究員たちの後ろ姿をジッと見るも、バレた様子は安堵の息を着くと頭を「ギュルンッ」と効果音がつくような速度で180度回転させ、こちらを凝視した。
天琉「首ぃ!!?」
玲来「それ大丈夫なのぉ!!?」
2人は研究員が人間だと思っていたので驚いてしまうが、彼らはロボットだったらしい。
侵入者の姿を確認したと同時に格闘をするように構え、カプセルの端末を操作し、中にある物を出す。
それはパッと見魔獣並みの大きさの犬だったが、背中から羽が生え、片目にサイボーグのように機械になっていた。
見たこともない生物に驚いたが、今は襲いかかってくる者たちに対処しなくてはいけないと思い、机の下から出てすぐに体勢を整える。
襲いかかってきたロボットはそれなりに動けるようだったが、強敵という程ではなく、すぐに倒せた。
犬も同様でそこそこの強さしかなかったので、倒すことができた。
その後、机の上に置いてあった資料に目を通し、どんな研究をしていたのかを確認する。
そこには人型の人工生命体やホムンクルス、別々の生物を組み合わせる研究などをしていた。
目的などは作業員であったり警備のための番犬役などを作っているらしい。
それを見た2人は命を弄ぶような行為であることに苛立ちを覚え、何故こんなことをするのかと疑問に思い、会ったなら問い詰めることにする。
その思いを新たに2人は次の階へと行き、次の部屋を調べてる見ることにする。
その部屋は「キメ顔専用写真館」だった。
天琉・玲来「もういいわ!!」
地下水路を黒い人物と1匹が進み、水の音と足音だけを響かせる。
途中で天琉と玲来を襲ったロボットに同じように襲われそうになるが、すぐに自分の槍で壊す。
倒したあとは優しく座らせ、弔う。
そして、ロボットたちをこんな雑な扱い方をするエゴイスに対し怒りを覚え、1匹の吠えを聞き歩みを始める。
ネル「絶対、ボコす」




