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第46話 【敵の思惑】

突然暗闇の中から現れたダンジを警戒していた3人だったが、ひとまずいつからここにいたのかを聞くことにした。


ダンジ「ここらは俺の庭だ」


だいぶカッコつけた感じで言ったが、まったく信じてもらえなかった。


庭と言うのは言いすぎだと思い、流石に細かい説明をする。


聞いたところによると、ここは元々ダンジが未来国で潜伏するための数ある廃墟の1つらしく、天琉達は偶然そこに逃げ混んだと言うわけだ。


ダンジは先程言ったように、ロボットに襲われる理由を説明してくれると言うので、警戒しつつもその話を聞くことにする。


ダンジ「てめぇらはEI社に目をつけられたのさ」


EI社とは、エゴイスインダストリー社の略であり、未来国でかなりの権力を持つ会社だ。


その会社の社長であるエゴイスがリベルタスの命を狙っているとのことだ。


何故そんな大手の会社がわざわざ自分達のことを狙うのかわからなかったが、その訳を話す際に、ダンジは思いもよらない名前を出した。


ダンジ「お前らNo.88を…… いや、タコを探してんだろ?」


その名前を聞いた瞬間、ダンジが何故その事を知っているのか疑問に思い聞いてみると、あちこちで聞き回っているところを見かけたらしい。


ダンジ「タコは元々エゴイスの野郎の社員の1人でな。技術力も高いから連れ戻したかったんだろ」


リベルタスを襲ったのは、仲間が死ねばタコの心が折れ、完全に自分の支配下におけるなどという考えをしたのだろうとダンジは推察していた。


それを聞いた3人はあまりにも非道なやり方に腹が立ち、タコの安否を心配していた。


憶測ではあるが自分達をまだ始末できていない現状、タコはまだ危害を加えられていないのではないかと考える。


そんなとき、ダンジは取引を持ち出してくる。


取引がどんなものなのか知る必要があるので、玲来がその内容を訪ねた。


ダンジが提供するのは、リベルタスがおかれている状況と、タコの居場所、そして安全にその場所に移動するための手段などだった。


そんな良い条件ばかりを持ち出してくるからには、相当な対価を払う必要があると覚悟する。


しかし、ダンジが望むことは1つだけのいたってシンプルなことだった。


ダンジ「EI社で好きに暴れろ」


そんな内容を聞いた3人はポカンとしていたが、そんな3人にダンジは理由を話す。


ダンジ「俺はエゴイスに嫌がらせがしたいんだよ。それにお前らならワンチャン俺が望む結果にまで追い詰めてくれそうだしな」


それを聞いた3人は一度話し合うためにダンジに許可をとり、少し離れた所に移動する。


取引の内容としては美味しい話だが、完全に信用できると言う保証はない。


だが、天琉とネルはダンジが仲間からバカだと言われていることからそう言うことを考えるのは出来ないのではないかと考察する。


そのときダンジは大きなクシャミを出し、玲来はその事に少し戸惑う。


そして、自分達に課せられた「好きに暴れろ」と言う事に関しては、最初からそのつもりなので問題はない。


仲間を拐い、仲間の大事な物の一部を焼き払い精神を砕いたようなやつには死なない程度の制裁を加えるべきだと思っているからだ。


そんなこんなで3人は条件を呑むことにした。


ダンジ「うっし、お前らには取引通り、俺に協力して貰うからな」


三人は同時に「は~い」と気だるそうに返事をする。


ダンジ「露骨に嫌がってんじゃねぇよ!」


天琉「んで、これからどうすんだよ」


ダンジ「テメェらは顔が割れてる。しかも都市内で徘徊してるEI社のロボが生体スキャンするせいで、ただの変装をしたとしてもすぐにばれる」


じゃあどうすれば、と言い欠けたときにダンジはあるものを収納空間から取り出す。


天琉「う、嘘だろ?」


玲来「大丈夫なのこれ……」


ネル「面白そう」


3人は渡されたあるものを見て驚きと不安しかなかったが、今はこれしかないと妥協する。


ダンジ「うっし、じゃあとっとと着ろ!」


ーーーーーーー



ーーーーー



ーーー



ーー


路地裏からダンジが出てきてしばらく歩いて行くと、振り向いて何かを急かす。


すると路地裏から3体のゆるいロボットのデザインの着ぐるみが出てきて、それぞれ「赤」「白」「黒」と色が異なっていた。


赤「ほんとにこれで大丈夫なんだろうな?」


白「これ可愛いんだけど、移動手段としては……」


ダンジ「大丈夫だって! 行けばわかる」


そう言われても赤と白は不安だったが、とにかく進むしかないと思い3体はダンジについて行く。


黒は以外にも楽しそうで、ワクワクとした雰囲気を出しており、時々中から嬉しそうな犬の声が聞こえてきた。


しばらくすると、EI社の夜間警備ロボが着ぐるみを怪しみ、生体スキャンをしようとする。


そのとき、ダンジが3人に教えた通りにしろと指示を出し、黒以外の2体はもうやけくそになってそれを実行する。



赤「情熱掲げるラブパワー! レッドユルルン!」


白「愛らしい真っ白ボディ! ホワイトユルルン!」


黒「可愛いは最強。 ブラックユルルン」



3体がそれぞれの決め台詞を言うと、綺麗ににならびポーズを決める。




「「「三人会わせて、ユルルンジャー!」」」




名乗りが終わると、警備ロボがスキャンを終了する。


警備ロボ「ユルキャラヒーロート断定。ナンテ可愛サナンデショウ。是非、応援サセテクダサイ」


そんな会話をしたのち、警備ロボはお辞儀をして去っていった。


その結果にダンジはドヤ顔を3体のゆるキャラに向け、2体はその結果に驚いていた。


この着ぐるみはダンジが昔EI社から持ち出した試作段階の潜入スーツ「アイラシスギルン」と言われるものだ。


これは可愛さを利用して機械の生体スキャンさえも防ぐと言う優れものだ。


しかし、試作段階の物は先程のような演技をしなければならないという欠点がある。


スーツの性能に驚くも、時間が惜しいので進むことにした。


しばらくたったとき、天琉が他の2人はどうしたのかと質問する。


ダンジが言うには未来国にいることにはいるも、2人とも自由行動してるらしい。


ルアは最近の流行りを確認しに行き、黒鉄は未来国で有名な丼物の全店舗を制覇しに向かったらしい。


その事を聞き、以外にも自由人であることに驚いたが、天琉は同時にその丼物が気になりヨダレが垂れる。


その後も演技を繰り返しながら進んでいき、ついに目的地にたどり着いた。


しかし、そこには1つの古びた建物しかなく、3人は騙したのかと思うが、ダンジはすぐに説明する。


ダンジ「あそこはEI社が秘密裏に魔石を採掘してる場所だ。魔石の採掘場所は、未来国のヤツらが平等に使えるように公開するもんだが、エゴイスの野郎はあそこを独占してやがるんだ。しかもあそこはかなり良い魔石が取れる」


それを聞いて3人は、エゴイスは自分の利益しか考えていないのだなと認識する。


ここには特にロボットはいないので、もうスーツを脱ぎダンジに返そうとするが、あと何着か持ってるのでくれるらしい。


鉱石を採掘する建物のなかに、EI社の敷地内の倉庫に繋がる転送装置があるらしいので、そこから行けと言われる。


そして、ダンジはここで別れると言い、3人に別れの言葉を告げるが、玲来がダンジを引き留める。


玲来「1つお願いがあるんだけど……」


ダンジ「な、なんだよ…」


しばらく沈黙が続いたあと、玲来は真面目な顔をしてダンジにある要求をする。


玲来「ついでにタコとライアンの分のスーツもちょうだい」


その事を聞いた天琉は「いるか!?」とツッコミをするが、玲来はチーム全員でスーツを着て可愛い戦隊写真を撮りたいとのこと。


玲来「だってさ! 戦隊ヒーローって5人揃ってこそでしょ! うちは5人だからちょうど良いじゃん!」


天琉「そりゃまぁ…… そうだけどよ」


玲来「てか天琉、以外にもこう言うの好きでしょ?」


天琉は図星を疲れたようで冷や汗をかくが、玲来は知っているしネルには魔族国で見られているので隠しようがない。


ダンジ「お前も大変だな…」


その後、水色と黄色のスーツをもらいダンジと別れ3人は建物のなかに入る。


そこには聞いた話の通りに転送装置が配置してあり、常に稼働している状態のようだった。


3人は今回の敵の敷地内に行く緊張感を持ちながらも、初の転送装置によるワープと言う体験に胸を踊らせていた。


少し大きめの装置だったので3人でいっきに行くことにする。


そして、3人の身体が光につつまれていき、その場から姿が消える。


少し眩しかったため目蓋を閉じていたが、ゆっくり目を開くと、3人はトンネルのような空間を空を飛ぶような感覚で移動していた。


当然その未知の体験に思わずテンションが上がってしまう。


しかし、そんな楽しい時間はすぐに終わりが見える。


入り口のようなところで再び光に包まれると、3人は倉庫のような場所にたどり着く。


少し余韻に浸っていたいと言う気持ちがあったが、また今度語り合おうと言う結論に天琉と玲来は決め、小窓から本社のビルの場所を確認する。


そこから除くと、ここ以外の建物は普通のビルという感じだったが、明らかに1つだけ目立っている一番高いビルがあった。


天琉「聞いてた話の通りほんとわかりやすいな」


玲来「わかりやすすぎて罠だって深読みしちゃうほどだよね」


本社の場所がわかったところで、すぐにそこに向かおうとするが、ネルがいないことに気がつき、後ろを振り返ると、ネルは壁に片手をついて無表情ながらも顔色が青ざめていた。


そんなネルを見た2人はどうしたのかと心配すると、ネルは「酔った」とだけ答える。


普段ネルは乗り物酔いなどはしないが、空間を移動するということにはよう体質だったらしい。


これに名をつけるのなら「転移酔い」だろう。


ネルは気持ち悪そうにしながらも2人に言葉を告げる。


ネル「私の…… 事は…… いい、から…… 先に……ウップ。 行って……」


ネルはその言葉を放った瞬間気力の限界を迎えたらしく倒れるが、マインがほどよいサイズに大きくなりネルを支える。


2人は心配だったが、行かないわけにもいかないので、マインにネルを任せて本社に向かうことにする。



EI社本社にあるエゴイスの自室にマキナが知らせを持ってくる。


マキナ「マスター。魔石格納庫にリベルタスの生体反応を確認しました」


その知らせを聞いたエゴイスは、リベルタスの行動に呆れる。


同時に魔石採掘所の場所が何故わかったのかを疑問に思う。


だがそんな問題は頭の隅に置き、あることを思いつく。


エゴイス「マキナ。警備ロボの数を減らせ。できるだけ奴らがここにたどり着きやすいようにしろ」


マキナはその事に疑問を持つが、エゴイスの笑みからあることを思い出す。


エゴイスはあることをマキナに指示すた。


エゴイス「例のものの調整を急がせ、No.200の戦闘準備の報告」


マキナは言われた通りに手配していると、エゴイスはタコを拘束している部屋に放送を流す。



エゴイス「残念なお知らせだ、No.88。お前の仲間たちはここにやってくるらしい。下らないことに、お前を助けるなどというために」


タコはそれを聞いて喜びの表情を見せるが、それと同時にわざわざそれを知らせてくるエゴイスに疑心を抱く。


エゴイス「だが好都合だ。この社内で奴らを始末するところをお前に見せてやろう」


タコ「昼間の間に仕留められなかったくせになに言ってんだ! あいつらはお前みてぇなやつにやられねぇよ!」


エゴイス「もしかすると、本当に僅かな可能性があるとするならお前の言う通りだ。だが、お前の心を折ることは出来る」


その意味深な言葉を聞いたタコだったが、エゴイスすぐにその疑問を晴らす言葉を放つ。


エゴイス「私はNo.200をやつらにぶつけ、お前をやつらの前につき出す」


それを聞いたタコは焦りと怒り、そして恐怖に包まれ、なにも言うことが出来なくなった。


マキナにタコの監視とリベルタスの動きを見るように指示したのち、風呂に入りに行くと言い、エゴイスは通信を切る。

マキナ「No.88…… いえ、タコ。覚悟を決めなければいけません」


タコ「……そうだな」


タコはマキナから受けた言葉で仲間たちと、恩人の顔を浮かべ、何かを決心したかのようだった。














タコ「見ててくれよ。メティスさん」

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