第45話 【悲劇のライアン】
リベルタスは未来国の道を歩きつつ、情報収集していた。
自分達を襲ったロボットの写真を見せ、知っているかどうかを聞いたり、タコの写真を見せたりしていたが、皆知らないの一点張り。
両ペアは別の場所にいたが、無意識に同じ行動をしていて、休憩を経て天琉ペアは飲み物を、ネルペアはアイスを食べていた。
天琉「予想はしてたが、情報が無さすぎるなぁ……」
ライアン「このままじゃ俺の気は済まねぇぞ!? 俺は1人になっても探し続けるからな!」
ライアンは自分の髪の毛を一部消し去った存在への恨みと、タコが見つからないことからくる焦りでイライラしていた。
怒りに身を任せて一気に飲み干した紙パックをゴミ箱に投げつけ、見事にホールインワンさせる。
それを見ていた天琉はさすがのコントロールに評価の言葉を言い、ライアンは少し気分が落ち着く。
そんな2人の会話の輪に1体のゴミ箱ロボが近づいてくる。
それはこの国に来てはじめてみたロボと同じタイプだった。
ゴミ箱ロボはゴミを発見したことを2人に知らせているが、周りを見渡してもそれらしい物はなく、故障なのかと思う。
ゴミ箱ロボ「ゴミノ清掃方法ヲ、検索中……」
そんなことを言いながら何故か目のような部分で自分達を凝視していた。
その状況から判断して、思いたくもないことを思い付いてしまい、お互いに確認しあう。
それは、このロボットが「自分達をゴミと認識しているのでは?」ということだった。
だが、流石にそんなことはないだろうと苦笑いしていると、ゴミ箱ロボは検索を完了する。
ゴミ箱ロボ「検索完了」
そう言った次の瞬間、ゴミ箱ロボのお腹部分が伸びて、何かの核のような物が露になると、そこにエネルギーのようなものが溜まり始める。
それを見た2人は「ほへ?」という声を出すと、ゴミ箱ロボは清掃方法を説明する。
ゴミ箱ロボ「清掃方法、焼却」
言い終えた瞬間、2人は危険であると察知してゴミ箱ロボの正面からお互い右左逆に即座に移動すると、エネルギーはレーザーとして放たれた。
ビームが放たれた場所を見てみると、地面が焦げており、相当な威力だったらしい。
その事に2人が驚いていると、そんな暇は与えないと言わんばかりにゴミ箱ロボは2回目を撃とうとしてきたため、2人は逃亡を始める。
天琉「なんだよあれ! ただのゴミ箱じゃねぇの!? あんな恐ろしい武器搭載されてるなんて予想できるか!?」
ライアン「できねぇよ! そもそもなんで俺たちがゴミ判定されてんの!? 意味わかんねぇんだけど!」
そんな会話をしながら逃げている中でもゴミ箱ロボは追いかけてきていて、分析をした後に乱射モードに切り替えたらしく、小刻みなレーザーが襲ってくる。
1体だけなら撒けるだろうと逃げ続けていたが、他のゴミ箱ロボもレーザーを撃ってくる始末。
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叫び声を上げながらその訳のわからない状況から何とか逃れ、一旦その場で息を整える。
そして、喉が渇いたためライアンが近くにあった自動販売機で飲み物を買おうとすると、何やら軽快な音楽が流れ始める。
どうやら何かが当選したらしく、もう1本飲み物がもらえると思いワクワクしていた。
しかし、そんな思いはいとも簡単に打ち砕かれた。
自動販売機のタッチパネルが開き、中から槍が飛び出てきたのだ。
眉間を貫きそうになったが、咄嗟の判断でえびぞりになりなんとか避ける。
その事にライアンは勝ち誇り、それを見ていた天琉はヒヤヒヤした思いになったことをライアンに言っていると、いきなり黙り込み青ざめてしまう。
ライアン「どうした? そんな青ざめて」
天琉「いや、とりあえず…… 頭隠せ」
そう言われて何故だろうと思いライアンは頭をさわると、帽子がなくなっていることに気がつく。
もしやと思い先程槍が飛んでいった方向を見てみると、槍が帽子を貫いた状態で壁に刺さっていることを確認する。
わかった瞬間に自分が今一番見せたくない部分を急いで手で覆い隠し、周りの見ていたであろう一般人を睨む。
最初は笑いそうになっていた人々だったが、その剣幕を見た瞬間、笑ってはいけないと顔を逸らす。
元から笑わない人々は、気を使って見ないようにしていた。
これならまだ安心だろうと天琉はホッとしていたが、見えぬ方向から言葉の刃が飛んでくる。
子供「ねぇ、ママ! あのおじちゃん、おけけ無いよ!」
子供の純粋かつドストレートな言葉の暴力というなの巨大な刃がギリギリ保たれていたライアンのメンタルを遂に砕いてしまった。
その結果、ライアンはその場で吐血して涙目になって倒れてしまう。
それを見ていた天琉はライアンの名前を叫びつつも、その有り様から純粋無垢な子供は時に最強なのだと知る。
その後、近くにいる人が連絡してくれたのか、未来国の搬送ロボがやって来てライアンの容態を確認する。
搬送ロボ「診断結果。メンタル攻撃ニヨル精神的ストレス、及ビ頭髪ノ一部破損ヲ晒サレタコトヘノショックト断定」
メンタルのダメージのせいでこうなったのにも関わらず追い討ちをかけるかのような説明をすることに天琉はツッコミをする。
病院の住所を受け取った後にライアンは搬送されていくのだった。
天琉「……あれ? もしかして今の俺って、ボッチ?」
◆
ネル&玲来ペアは休憩のためにアイスを食べていた。
ちなみに味は買った店の限定商品の、全ての季節の果実の味をぶちこんだ色鮮やかなアイス。
「オールシーズンレインボー」である。
何もかもをぶちこんでいたため、大丈夫かと心配する要素はあったが、2人は冒険してみようと思い購入。
その味は以外にも絶品で、まさに奇跡のブレンドと言って良いだろう。
2人は幸せなオーラを放ちながらアイスを食べていると、1体のかわいらしいロボットが近づいてくる。
身長は2人が見下ろさなければならないほどしかない。
玲来「なにこの子めっちゃ可愛い!!」
玲来と同様にネルも可愛いという気持ちを露にするオーラを放ち、それを影の中から見ていたマインは嫉妬心を抱く。
可愛いロボ「ハジメマシテ! 僕ハマルマル! エゴイス様ノ会社ノ、マスコットロボダヨ!」
名前のセンスが安直だが可愛いとも思えて、さらに可愛らしい喋り方と動きでより2人の目を釘付けにする。
会社のマスコットがこんな町中で何をしているのかを聞いてみる。
マルマル「僕ハネ! タダノマスコットジャナクッテ、皆ノコトヲ、悪イ人達カラ守ルッテイウ、オ仕事モヤッテルンダ!」
それを聞いた2人は感心して称賛の言葉を伝えていると、マインが不服そうな声を出してしまう。
マルマル「ダカラネ、ボクネ……」
そう言うとマルマルは腕を上げ指を三人に向けると、指先が蓋のように開き、その中から小型の銃口が出てくる。
それを見た2人とマインの頭の上にハテナが浮かんでしまい、玲来は「へ?」という声を出してしまう。
マルマル「テメェラモブッ殺スノサ!!」
それを聞いた瞬間玲来は驚きの声をあげるが、それを発したと同時にマルマルはエネルギーの弾丸による銃撃を開始する。
2人は持ち前の反射神経と運動神経を活かして弾丸を避ける。
訳がわからない状況ではあるが、マルマルの殺意は本物だろうと悟り、その場から逃げる。
しかし、マルマルはすぐに2人の後を追い始める。
マルマル「逃ゲテンジャネェヨクソドモガ! ボクノビームアタリヤガレヤ!」
玲来「なにあれ!? 可愛らしさの欠片もなくなったんだけど!」
そんなツッコミをしているなかでもマルマルは過激な事を言いながら弾丸を撃ちながら2人を追いかけてくる。
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2人はマルマルの追撃からなんとか逃れ、何故いきなり襲ってきたのか話し合っていた。
ネルからの意見としては、マインを差し置いてマルマルを可愛いと誉めすぎたことで、「動物をいじめる悪者」だと判断されたのではないかという案が出る。
ネルは本気でそう思っているため、マインを抱っこしながら頭を撫でる。
玲来はその案を聞いて、違うかもと思いながらもあり得るとも思うので、候補にいれつつ他の原因を考え、マインに謝罪の意味を込めて頭を撫でる。
マインは拗ねてはいるものの、幸せそうな表情を浮かべる。
玲来「とりあえず、安全の確保のためにも天琉たちと合流しよっか。別れてから良い具合に時間経ったし」
とは言ったものの、まずどうやって合流するかが問題だった。
連絡手段を持っておらず、待ち合わせの場所を決めようとしたが、ライアンがすぐに行こうと焦って行ってしまったため決めることもできなかった。
この広い未来国の街から2人の人間を探すのは困難だろう。
そう思いながら道を歩いていると、少し遠くの前方から聞きなれた声が聞こえてくる。
何だろうと目を凝らすと、曲がり角から天琉が焦った様子で出てきて、こちらに向かって走ってきたのだ。
偶然会えたのは良かったが、何故あんなにも焦っているのかと疑問に思っていると、天琉がやってきた曲がり角から別の何かが出てきたのだ。
それは見る限りロボットだが、ただのロボットではなく、6本の腕を持つ女性のデザインの恐ろしいロボットだった。
6腕ロボ「お客様! ここなんてどうでしょう? 未来国でもっとも優れた会社、エゴイスインダストリーです! ちなみにここは私の生まれ故郷で……」
天琉「もういいから追ってこないでぇ!!」
玲来「いや、どうゆう状況!?」
そのツッコミの声を聞いて2人の存在に気がついた天琉は、走りながら2人に聞こえるように大きな声で説明する。
1人になってしまい、知らない場所を1人でいくのは不安になったので、案内役のロボットに案内してもらおうと話しかけたところ、背中から4本の腕が出てきて、攻撃が混じった接客を始めたらしい。
説明されてもよくわからない状況なので、その事については後回しにした。
次にライアンがいないことに気がつき、どうしたのか聞くと、天琉は少し考えると「まぁ、良いヤツだったよ」とだけしか言わなかった。
玲来「いや、全っ然説明になってないけど!?」
天琉「詳しい話は後だ! 命が惜しければ走れぇ!」
そう言いながら天琉はどんどん2人に近づいていき、身の危険を感じた玲来はネルに逃げようと提案しようとするが、先程までネルがいた場所におらず、後方を見てみるともう逃げ始めていた。
その後、天琉に後で覚えておけよと思いながら全速力で走り始める。
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あの後も様々なロボットたちに訳もわからず襲われてしまい、大変な目に遭った。
逃げている内にすっかり夜になってしまったが、3人はようやくロボットたちの目の届かない設備が古い廃墟に逃げ込んだ。
ここは人通りも少なく、ロボットが全くいないので、今のところここが1番安全なのだ。
3人は一度落ち着いたところで、別れた後に起こったことを報告しあう。
一致することは、全員がロボットに襲われたということだった。
その事を聞いた玲来はあることを思いつき、ネルにある確認をとることにする。
玲来「マルマルってエゴイス様って言ってたよね……」
その事をネルに確認すると、ネルとマインは一緒に首を縦に振る。
玲来はそれを確認した後、天琉を追っていた案内役ロボが紹介をしていた会社の名前が「エゴイスインダストリー」だという確認をする。
玲来「もしかしてだけど、今まで私たちに起きた出来事って、その会社が関係してるんじゃない?」
そう考えた理由は2つあり、1つはロボットに襲われると言う点。
チームハウスを襲ったロボットたちも、未来国で自分達を襲ったロボットたちも、自分達だけを仕留めようとしてきていた。
玲来は、ロボットたちが他の一般人には反応せずに、自分達だけを狙っていたことを見てそう判断した。
おそらくその犯人がそうするように仕組んだのだろうと。
2つ目の理由は、日常会話をするロボットが共通してエゴイスという言葉を言っていたこと。
天琉を襲った案内役のロボットも、ネルと玲来を襲ったマルマルもエゴイスという名前を出しているということから、襲ったロボはその会社の物だけだと考えられる。
玲来「全部私の考察だけど、筋は通ってるんじゃない?」
天琉「確かに……。でもなんで俺たちを襲うんだ?」
「そこは俺が教えてやんよ」
いきなり暗闇の中から男の声が聞こえてきたので、3人はロボたちに見つかったのかと思い身構える。
しかし、玲来以外の2人はその声をどこかで聞いた覚えがあり、それも身構える理由になっていた。
それは2人が魔族国で聞き、実際に戦った相手の1人だった。
暗闇の中から綺麗な水色髪と柄の悪い笑顔が出てきた瞬間、天琉とネルは何故ここにいるのかと疑問を持たずにはいられなかった。
ダンジ「よぉ、派手にやってるみたいだなぁ? リベルタスよぉ」




