第40話 【我が家へ帰還】
帰りにも行きと同様に船酔いに苦しみながらもチームハウスへと帰ってきた3人は、依頼人に魔族の調査結果を報告したあと、2日の休みを取った。
その後、留守にしていた間にあえて少なくしておいた食料や日用品の買い出しをした。
そこからは大した依頼はなかったが、天琉は魔獣の討伐依頼を1日に1回は受けていた。
炎牙と会話が出来るようになっただけでなく、炎牙の霊力をオーラのように纏わせてするパワーアップ、「霊力供給」を使いこなせるようになるための修行の一貫だ。
体力の消耗は供給する質量にも影響するが、応用なども試しておきたかったというのもある。
例えば、全身に霊力を纏う場合は身体能力全てが上がる。
しかし、より破壊に適したやり方は、一部分にのみ纏わせるということだ。
例えると、技の1つである「流星光底」のように、刀だけに纏わせればより威力が上がりるという感じだ。
以前、転がる岩から逃げるときに出した跳躍力は、足だけに纏わせていたからだったらしい。
その他には、ネルがラブリュスに教えてもらった料理を作ろうとしてできた何かを食べたり、ライアンが新しく買ったVRのシューティングゲームをロビーでやっていて夢中になっていたせいで、マインの尻尾を踏んで半殺しになったりとあった。
あとは天琉が知らない間にイマジナリーフレンドを作るほど疲れていると勘違いされて気味が悪いほど優しくされたりとした。
そんなことを色々としているうちに、魔大陸から帰ってきて1週間が経ち、依頼で遠出していた人物が帰ってくる。
玲来「玲来が帰りましたぁー!!」
元気よく帰ってきたことを知らせる玲来に3人と1匹が返事をして迎え入れるが、ライアンが疑問を抱く。
ライアン「タコは一緒じゃねぇのか?」
そう、帰ってきたのは玲来だけであり、タコの姿が見えなかったのだ。
玲来「なんか、個人的な用事があったらしくて、未来国に残ったよ?」
一緒に残らなかったことを不思議に思って聞いたところ、1人で行きたいと言われ、玲来もタコが真剣な表情をしているのを見て了承したらしい。
ライアンは特に仲がいいタコと話せないことに落ち込むが、すぐに帰ってくるという玲来の言葉を信じて待つことにする。
気分を変えて、依頼内容と何をしてきたか、どんなものがあったのかを聞くことにした。
未来国と言うほどやはりそれはまさに近未来都市と言わんばかりの街並みで、どこもかしこもキラキラとしていたため、玲来はずっと目が輝きっぱなしだったという。
タイヤのない浮いた乗り物や、なにも場所に足を置くと現れる足場の動く歩道。
さらにはこの中央都市でもみられるような見た目の自動販売機が、会話までしてくれるロボットだったりと、色々なロボット達がいっぱいだったそうだ。
玲来は子供のようにはしゃぎまくっていたが、タコが抑えてくれたお陰でなんとか正気を保てたそうだ。
それを聞いて天琉は「ナイスタコ!」と心のなかで叫ぶ。
玲来は好奇心旺盛なため、気になるものを見つけるとすぐに追いかけてしまうことがある。
状況に応じてはちゃんと我慢はする。
しかし、それらがたくさんありすぎると自分でも制御できないほど暴走する。
これは自分でも反省していることでもある。
そのあと、タコにお灸を据えられつつも依頼人の元にたどり着き、買うものを確認する。
今回受けた依頼は、普段家から出ずに研究ばかりをしている研究者が、在庫がなくなってきた部品やらなんやらを買ってきてほしいと言うものだった。
部品のことを聞いているとき、タコは同じく何かを作る者として理解できてはいたが、玲来は何がなんだか全く分からなからず、説明を聞いても頭から煙が出るだけだった。
タコに大丈夫かどうか質問されたとき、よくわからなかったが、元気よく「オッス!」と答えて買い物に出掛けた。
天琉「言っちゃなんだが、よくわからないのについていく必要あったか?」
玲来「失礼な! それに1人だけになると寂しいでしょーが! それに、未来国には美味しいアイスがいっぱいあるって聞いたことあるから、ついでにって……ね?」
それを聞いた3人は、絶対依頼を口実にアイスを食べに行ったなと思い、ネルはズルいと思う。
買うものはタコが次々と選んでいき、玲来はその品をカートにいれて運ぶという自分に出来ることをしていた。
タコは選ぶときに専門的なことをブツブツと言っていて、玲来はそれを聞いていて頭がクラクラとしていたが、最終的に「こう言うことは今後タコに任せればなんとかなる!」という結論に至った。
その後からは玲来はタコが次のコーナーに行くというと元気な声で返事をして付いていき、それを何度か繰り返して買い物は終了した。
その後は依頼人に頼まれたものを受け渡して報酬を受け取った。
そして、そこから玲来は解き放たれたようにタコの案内で未来国を散策することにした。
未来国にある服を見て回ったり、飲食店などを回り、自分が一番の目的である有名なアイスを食べたりと色々楽しんだ。
中でも一番楽しんだのはゲームセンターであり、ホログラムを撃ち落とすと言うものだった。
タコがお手本で最初にやって見せてくれて、タコは手慣れた様子でフルスコアを達成。
小さい頃、ある人とよく遊びに来ていて、運動も兼ねてやっていたそうだ。
見ていてウズウズしていた玲来はすぐに交代してもらい、目の良さを生かしてフルスコアを果たした。
タコは初見でそれをなした玲来に驚きの目を向けていた。
他には格闘ゲームをやったが、さすがに手慣れたタコに負けて悔しがった。
玲来「そういえば、その時なんか表情暗くなったんだよね」
天琉「何でだ?」
ライアン「思ったより玲来が手強かったとか?」
玲来「いやぁ、その後何回か挑んだんだけど、手も足も出なかった……」
その暗くなったタイミングというのは、玲来が格闘ゲームを何回も挑み、流石に切り上げようと言って店から外に出たとき、「次は負けないから!」と言った時だったらしい。
疑問に思って質問すると、タコはすぐに明るい表情に戻り、「そうだな」と言ったらしい。
その後、大陸横断列車が出発する時刻になったころに、先程言った理由でタコと別れ、1人で帰ってきたと言う流れだ。
玲来「そうだ皆! お土産色々買ってきたよぉ!」
次元収納から波のようにお土産が出てきて、危機を察知した天琉とネルとマインは避けるが、ライアンは反応しきれずその波に飲まれる。
それを見て天琉は魔大陸で買ってきたお土産と、買ってきた魔族なりきり角を渡した。
ライアン「お…俺の心配は……?」
ネル「流石に、もう、慣れた」
その辛辣であるものの本当のことである言葉を聞いたライアンは涙目になってトホホと言う。
お土産は未来国の美味しい食べ物やかわいいグッズ、皆に似合いそうな未来風の服など様々。
お土産を皆で見ている中で、天琉と玲来がゲームセンターの話をしていた。
玲来「いやぁ、タコには負けるだろうけどさ、天琉には負けないと思うんだよねぇ」
天琉「いやいやぁ、俺も目は良い方だし同じくらいだろ?」
玲来「そうだろうけどぉ、格ゲーなら絶対負ける自信無いわ~」
天琉は勝負事はガチでやるタイプで、その対抗心と言う名の心に火が着き、ライアンの部屋にあるソフトを半強制敵に借りて対決するのだった。
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未来国の何処かにある大きなビル。
その中にある1つの部屋には、水色髪の女よりの顔の男が1人で座っていた。
その部屋にどこからともなく声が響き渡る。
「休憩は終わりです。持ち場に戻ってください」
「……わかった」
そう言って男は部屋から出て広い格納庫のような部屋に入り、金髪で青色のメッシュが特徴的な、眼鏡をかけた男と対面する。
「さぁ、続きを始めるぞ。No.88」
「何回も言ってるだろ? おれはタコだって」
「私も何回も言ったはずだ。お前に意見する資格は無いと」




